表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
あくいのろんど
144/159

139 情報

 ◯ 139 情報


「全く、胸くそ悪いあの女が映った時は、切れそうだったわ〜」


 そう言いながら、マリーさんはロープを解いてくれた。食い込んで痛かったんだよね。紅芭さんと蒼史がマリーさんの台詞を聞いて何か言いたげだった。お互いに顔を合わせて首を横に振ってやり取りをして、何も言わずにロープを片付けに行った。台詞の内容に齟齬があるそぶりだった。それよりも制服が油臭い。


「また殴られたの?」


 レイが泣きそうな顔で僕の顔の心配をしていた。血を拭いてくれているが、固まっているのか取れないみたいだ。


「もう、死ぬかと思った」


 やっと、話せるくらいには落ち着いた。


「もう、大丈夫だよ。映像を見たら油を撒いてたから、常軌を逸した連中だってすぐに分かったよ」


「そうよ〜、何の映画かと思ったじゃないの。冗談にしてはきついと思ったらリアルなんですもの〜、しかも、あの女がしたり顔で映ったから、作りかけのお洋服をダメにしてしまったわ〜」


「確かに映画みたいだね」


 僕でさえ現実だって認めたくなかったから、分かるよ。


「で、今から何があったか詳しく映像を見なくちゃ〜。アキちゃんは着替えを用意して貰ってるから、油を落として来てね〜」


「うん、そうするよ」


 職員用のお風呂で全身を隈無く、三回は洗った。油の匂いは取れただろうか? 用意して貰った服に着替えて、さっきの部屋の近くに戻ったら、紅芭さんが怒った様子でどこかに向かっていた。


「なんか、紅芭さんがどこかに行ってたけど……」


 室内に入って聞いてみると、


「ああ、情報管理課の所に苦情を言いに行ったよ」


 どうやら、今回の事の苦情を言いに行ったらしかった。


「ま、ボクからもトウカちゃんに言うけど、直接当事者達に言った方が利くかなと思ってね。この女の人をまだ匿ってる、というか情報を流しているのは誰かを聞きに行ったよ。見た目に騙されて、彼女の言う事を鵜呑みにしているのは誰か、突き止めるんだよ。漏らしていい情報か判断つかない人に、情報を渡すなんて馬鹿げてるからね」


 なるほど、そういう事か。確かに微妙だったけど、どこかから聞いたんだとは思う。


「もう、男に決まってるわよ〜。とっちめてやるんだからっ」


 マリーさんはまだ怒っていた。


「それで、向こうは調べはまだ続いているみたいだから、明日になってから聞こう。アキは学校帰りだったみたいだけど、顔も腫れてるし一旦治療だね」


 確かに頬が痛い。携帯電話もないし、トシとの約束もある。でも、こんな顔では家に帰れない。 

 アストリューに行って、いつも通りにメレディーナさんに見て貰った。今回くらいならアストリューにいればすぐに治るから良かったんだけど、レイは顔に傷が残ったら嫌だと言って、強引に神殿に連れて行かれた。

 メレディーナさんはいつも通りに検査して、神殿でゆっくりして行ってねと言ってくれた。マシュさんが何か疲れた表情で紫月を連れて来てくれた。


「何回も大丈夫だと言って聞かせたが、ここに来ると暴れてな……」


「うん、僕も家が良かったんだけど、メレディーナさんがここにいなさいって言うから」


 羽根の生えた動物の姿をした紫月が、嬉しそうに僕の所に飛んで来た。うーん、可愛い。


「そうか、メレディーナが言うならいた方がいい、どうせ家も酷いからな」


「何かあったの?」


「これを見ろ」


 マシュさんに家の画像を見せられた。壁に穴が空いて玄関のドアが外れたままになっている。


「何か襲って来たの?」


 何か大きなものが突撃したみたいだ。


「いや、マリーが取り乱して出て行った後だ。ドアを開けるのが面倒だったんだろうが……修理は明日になるみたいだし、今夜はこっちに泊まった方がいい。……ところでマリーが出て行く時、あの糞女とか叫んでたが何かあったのか?」


「うん、これを見たら分かるよ」


 そう言って謎の女性の集団に襲われた映像を見せたら、納得していた。


「多分、マリーさんの“あのくそ女”はこの人だよ、夢縁の総合案内の受付の人……あ、元ね」


 この人の名前知らないや。伊奈兄妹のあの反応が分かった気がした。マリーさん、切れてるし。


「衝動的な犯行じゃない分、質が悪いな……」


 マシュさんでさえ嫌そうに映像を見ていた。この人達の説明は明日にして貰えるそうだ。それと、事情説明も経験したら? とレイに言われているので説明をしないといけない。

 事情と言われても思い当たる事は殆ど無い。全員名前も知らない他人だ。唯一、ジェッダルの事件に関わりがある、という事だけは分かっているけど、後はなんだかさっぱりだ。そもそも、この人達に殺される程の事をした覚えはない。


「多分、明日には良くなってるよ」


 僕は明日の事情聴取の事を思って、自分で元気づけた。


「そうだな、修理されてくれれば落ち着く。さすがに玄関のドアがないのは落ち着かないからな」


 僕達はそれぞれ別の事で思っていたがまあ、そんなもんだ。


2015、2、24

あらすじをまともなのに変えました…今頃ですけど。

…←この記号も、書き終えるときに見つけました。要望があったら変えて行きます。

頼りない作者ですが、最後までもう一息です。どうかよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ