13 幼馴染
◯ 13 幼馴染
「で、ここに逃げ込んだと」
仕方ないなあと顔に書いて苦笑いを浮かべながら、更にもうひと箱ティッシュを提供してくれた。
「まあ、毎度の事だけどお前の妹、怖いな。オレにも色々あり得ないこと吹き込んで来てたからな」
「そうなのか?」
「ああ、昔な。今はめちゃくちゃ睨んでくる」
思い出してるのか、トシの眉がよって眉間にしわが出来てる。
「うわ……ごめん」
「バカ、お前が一番被害がひどいんだ、謝んなよ」
「う、うん……ありがと、トシがいてくれて助かったよ」
「今日はここに泊まっていけよ、顔合わせにくいだろ」
「ごめん」
「だから、謝んなって」
トシが仕方なさそうな苦笑いを浮かべて言った。その後、トシが家から荷物を取って来てくれた。
「おじさんに謝られたよ」
「父さんが?」
「いつも済まないってっさ」
「僕、家出は初めてだけどな……」
「いや、だってさ、いつもと行動パターン同じだし。帰らないだけで」
指摘されれば確かにその通りだった。
「はは……そういえばそうかも」
「だろ?」
僕達は笑った。
「それに、お前の家出って言っても150メートルだし」
「なんか、それ聞くとしょぼいな……」
ちょっと恥ずかしい記録だ。
「居所ばれてる時点で家出じゃない気がするけど」
「いや、そこは家出にしといてよ」
トシに氷を入れたビニール袋とタオルを渡され、泣きすぎた目を冷やした。
「母さんにはちょっと言い過ぎたかも、謝らないと……」
「おばさんも片方の意見しか聞かないのはおかしいよな」
「うん、そうなんだよ、変だよな……なんで僕の言葉が聞こえないんだろう」
「まあ、そういう時はじっくり家族会議だろ」
「うん」
「もう寝ようぜ、おやすみ」
トシが布団に潜り込んだ。
「おやすみ」
僕も床に敷いてもらった布団に潜り込んだ。世話をして貰いっぱなしだ、今度は返さないと、おじさんとおばさんにも……。笑ったおかげで気が抜けたのか僕はそのまま眠った。
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