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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
あくいのろんど
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134 追加

 ◯ 134 追加


 ナザレさんと会ってから、毎日、庭の工事が行われている。明日には工事は終り、残りの敷地に植物を植えるだけだ。昨日、生まれた紫月は、まだ眠る時間が長いみたいでお昼寝をしている。マリーさんが僕の姿の紫月の服を鼻歌を歌いながらご機嫌で作っていた。

 どうやらお揃いで僕の服も作っているらしかったが、口は挟まないでおく事にした。


「随分、種を植えてたね」


 レイは僕が工事の終った区画で作業をしているのを、見ていたみたいだった。


「うん、春ぐらいに芽が出る物が多いけど、冬の間の物もいくつか植えたよ。温室は赤道近くの植物も植えてみた。カシガナも一つは15センチくらいに育ってるし。メレディーナさんに返して貰った方もさっき植えたよ」


「そうだね、妖精が生まれた後のカシガナは綺麗に消えてたからね……」


「そうだね、跡形も無かったけど、どこに行ったんだろう」


「全部、魔力転換して紫月を生み出したんだと思うよ」


「そんな事が出来るんだ?」


「うん、カシガナはそうしたみたいだね。親木として残る場合もあるけど、今回はアキがいるしね。種属全体だから、そこらにあるカシガナ全部が親木になるから、必要は無いと判断したんだと思うよ」


「へえ、そうだったんだ」


 その後、スフォラが妙に甘えて来て困ったが、何となく昨日の二人の変身の多さに嫉妬している気がしたので、僕は他の動物も登録する事にした。スフォラと相談しながら、決めたのは空を飛ぶ種類だった。なるほど、飛びたかったんだな……。水色の蝶のスフォラを見ながら、鳥だとこの室内は狭いしなあと、ぼんやりと考えていた。

 僕は何処に何を何時植えたかをスフォラと一緒に記録し、写真も貼付けておいた。自分の植えたい種類はもう植えたので、皆のリクエストを取ってみた。


「一応は神殿の意向を聞いてからの方が良いんじゃないかしら〜、あたし達個人よりは先にそっちを優先するべきだわ」


「そ、そうなのかな、じゃあ、メレディーナさんに聞いてみるよ、でも皆のリクエストも聞いておきたいんだけど……」


 意外と重なるかもしれない。


「望蒼月華はお肌にいいんだ。あれが良いなあ、ブリクトレーデも良いけど」


「ハプシュジュツリーよ。あれの繊維は良い糸が出来るの〜」


「コーヒーの木で良いぞ」


「コーヒーは植えたよ」


「そうか、そこは気が合ったな」


「そうだね」


 珍しくマシュさんと意見が合ったようだ。菜園班でも植えていたので苗を貰って来ておいたのだ。実が生るのはかなり育ってからだけど……。

 妖精の生まれたカシガナからは種は二つしか取れなかった。その種から育ったのはもう少し収穫出来ると良いのだけど。また血を吸うんだろうか。

 夜になって、スフォラと紫月が一緒に仲良く部屋中を飛び回っていた。良かった。どちらも姿が変わるから面白い事になってるけど……。レイは神殿に戻っていて、ここに加わっていない。いると大変な事になりそうだ。

 マシュさんが言うには元々、環境で変わりやすい特性が凝縮し、こういう形になったんだろうと。こういう能力は多いのか聞いてみると、これだけ変われるのは珍しいと答えが返って来た。二、三種類が普通なんだが、と首を傾げていた。ふうん、そういうものなんだ。


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