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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
あくいのろんど
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125 買物

 ◯ 125 買物



 自分の部屋だ。少ししたら、レイとマリーさんが転移して来た。何時見ても不思議だ……。


「どうするの?」


「まずはアキちゃんのワードローブのチェックよ〜」


 そう言って、マリーさんはクローゼットを開けた。


「これ何〜?」


 徐に引き出しから出した服をつまんで聞いてきた。


「えーと、長袖のTシャツ」


「よれよれじゃないの、しかも色あせて……こんなの捨てなさい〜」


 ゴミ箱に入れられた。そして、穴の開いたジーンズもキャラじゃないとゴミにされた。冬のセーターもださいからとゴミにされ……残ったのは制服とチノパンとシャツ一枚だった。後はジャージも捨てられそうになったが、学校のだからと説明してなんとか思い止まって貰った。


「その着ている服も脱ぐのよ、サイズが合ってないわ〜」


「そ、そんな。これも捨てるの?」


「そんな膝がテカったパンツもダメよっ!!」


「そうだね、それはもう捨てた方が良いよ」


 レイにまで言われた。僕は諦めて最後に残ったチノパンとシャツを着た。季節的に上着が無いと寒い。制服のブレザーの下に着るニットのベストを着ようとしたら、それもゴミにされた。僕はそれを拾い直して、これも学校指定だからと説明した。


「狭い部屋だね」


 僕の部屋の様子を眺めながらレイが感想を言った。


「こんなもんだよ、日本の庶民は」


「ふうん、そうなんだ」


 まあ、マリーさんが大きいから、余計に狭く感じるのもあると思うんだけど。

 その後、僕達は玄関から出て行った。レイとマリーさんが、リビングで話しをしていた母さんと玖美に挨拶をしてから出て行った。二人ともかなりビックリしていた。母さんが食べかけのクッキーを手から取り落として、玖美はジュースを吹き出していたから……。

 あの感じだと母さんと玖美の話し合いはうまくいったみたいだ。お昼に起きて来た玖美と向き合って話すと母さんは僕に告げていたので、邪魔はしないようにトシの家に行ったのだ。そろそろ大丈夫そうだと思ったので家に戻ると、いつも見たいに話していたので大丈夫だとホッとした。でも、僕とは目を合わせてくれなかったのは仕方ない。敵じゃないと玖美が分かるまではそっとしておくのが良いと思う。


「お父様は居なかったけど、どこかにお出かけかしら〜?」


「うん。昨日テレビのリモコンが壊れて、修理か新しいのを貰いに電気屋に行ったよ。植木鉢も頼まれてたかな」


「一緒に行かなくていいの?」


「うん。多分父さんもどこかに寄ると思うし。邪魔はしたくないよ」


 多分、帰りにいつもの友人の家で、麻雀か何かしてお互いの仕事の話をするのだろう。ちょっと遅くなるとか言ってたし。たまに人数合わせに呼ばれたりもする。ハンデが無いといつもぼろ負けだけど。


「タクシー来たよ」


「タクシーで行くの?」


「そうだよ。バスにも乗ってみたいけど、時間が掛かるってマリーが言うから」


「今日は夕飯も一緒に食べましょうね〜」


「うん、言ってあるよ」


「じゃあ、安心ね〜」


 まさか高速に乗ってこんな街まで来るとは思ってなかったけど……。うちの県で一番栄えてる街だ。二人にあれでもない、これでもないと散々着せ変えられてヘトヘトに疲れ切った頃、ようやく、満足したらしかった。


「やっぱり、サイズが中々合わないわね〜」


「アキのサイズだと、子供サイズと大人サイズとの境目で良いのが無いんだよ」


「レディースも肩幅が合わなくてダメだし、意外に手足が長いのよ。袖がどうしても短くなるの〜。既製品は難しいわね〜」


「今度はアストリューで探す?」


「そうね〜、そうしましょうか」


「後は髪を切りましょうね」


「まだ、あるの?」


「これで最後よ〜」


 それを聞いて安心したよ。もう、日が暮れて真っ暗だ。どこかの美容室に連れて行かれてマリーさんがオーダーをした。終ったときには夜のご飯はもう良いから帰りたい気分だった。

 タクシーに揺られて、移動した後に入った場所は寿司屋だった。回ってない寿司屋は初めてだった。お勧めのものを大人しく食べた。寿司はレイのリクエストだったみたいだ。その割にはさび抜きだったけど。

 買い物が済んで家に着くと父さんが帰っていた。レイ達は父さんに挨拶をしていた。父さんもソファーの上で正座をしてよく分からない反応をしていた。大丈夫だろうか……。

 部屋に入った僕達は買って来た服をクローゼットに入れた。その際、マリーさんにこれとこれの組み合わせをするのよとか、靴はこっちの革靴を合わせるのよ〜とか、細かく説明された。とにかくスフォラにコーディネイトを覚えて貰った。


「ジャケットはどうしても気に入る物が無かったわ。それだけは残念ね」


「そうだね……硬い雰囲気は似合わないし、かといってラフな物はもっと似合わないし難しいね」


「そうね〜、爽やか系で、ちょっと可愛いが入るとベストなのよ。冬に入るこの時期の色味よりも春にでる淡い色調の方が合うのよね〜。春物は長いシーズン着回せるからそれまで待ちましょう。最悪あたしが作るわ〜」


「そうだね、マリーの手作りなら安心だね」


「でしょ〜。じゃあ、アストリューに戻りましょうか」


 僕の長い買い物の旅は終った。レイとマリーさんの事は家族は忘れるらしかった。次に会う時までは思い出せなくなっていると言われた。うん、あの様子だとその方が幸せだと思う。この二人は揃ってるとインパクトが強すぎだし。

 アストリューの家に帰ったら、レイが用事が出来たと言って直ぐにどこかに行ってしまった。マリーさんとフリーマーケットの打ち合わせをしながら、マグカップに入ったココアを見つめた。

 何か無いかとネットを閲覧して見つけたマグカップ内で作るケーキだ。レンジで一、二分か。そのままレシピを見ながら、マシュさんの大量のマグカップから一つ出して作ってみた。

 夜中にそんな物食べたら太ちゃうわ〜と、言われたが、この状態でコップを売ったらダメかなと言ったら、良いアイデアね〜と今度は褒められた。明日はこれを何種類か作ってみて、良かった物を出してみようとマリーさんと盛り上がった。ちなみに売るコップは143個ある。そのうち、マグカップは37個だ。


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