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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
あくいのろんど
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124 有名人

 ◯ 124 有名人


 日曜日、心配だったトシの様子を見に行こうと思ったら、そういえばゲームの約束の一週間後だけど全くゲームをしていない事に気が付いた。慌ててマリーさんに尋ねたら、解呪イベントは二日後に始まって、2週間後にはゲーム配信終了の案内が届き、その一週間後には完全閉鎖になるって聞いたわ〜、と返事をしてくれた。もう、アドバイザーは止めたから予定変更が無い限りはその筈だと付け加えられたけど。そっか、これからは董佳様に直接聞かないとダメなのかな。

 とりあえず、攻略出来てるかどうかだよな……。


「どう? 攻略出来たの?」


「ダメだった。またアイテムを集める所からだ」


「一ヶ月の締め切りはまだなの?」


「二日後だからラストチャンスなんだ。今日、クエスト受けて狩りまくって資金集めからだな……」


「そうなんだ。また、二日後にチャレンジするの?」


「なんかその日から新しいイベントがあるって、メッセージが運営から来てたから、昨日の敗北は痛いんだ」


「なら、そのイベントに合わせて準備した方が良いんじゃない?」


「……それもそうだよな、二日じゃ碌な準備が出来ないし、クリアは無理だって分かってんだ」


「相談してみたら?」


「そうだな、その方が建設的だよな。なんか思いつかなかった」


「従兄弟にも相談してみたら?」


「そうするよ」


 まあ、一ヶ月以内に消えてなくなるゲームだけど、解呪イベントは念のために受けておいた方が良いと思うんだ。トシがスマホで従兄弟と連絡を取っていた。従兄弟も建設的なイベントの準備に向けた方が得だと気が付いたらしく、そっちに方向変換したみたいだった。良かった。


「アキが気が付いてくれて良かったよ」


「うん、無理なのにチャレンジするより、出来る方に掛けた方が良いよ。ゲームは楽しめないと」


「アキはちゃんとチュートリアルは、終ってるのか?」


「う……」


「その顔はやってないのか? 酷いな、約束だろ」


「いや、キャラ作りまではやってたんだけど……そこからが」


「まあ良いさ、イベント始まるのは明後日だから、帰ったらちゃんとやれよ?」


「えーと、これからちょっと出かけるんだ」


「忙しいのか」


「うん、ごめん」


「ちぇ、何処まで行くつもりだよ。駅前に出来たドーナツとか買って来てくれたら許すぞ」


「分かったよ。並んでなかったら買ってくるよ」


「そこは並んででも買ってくるだろ? 友達甲斐が無いぞ」


 なんだか拗ねているみたいだ。ちょっと罪悪感が湧いて来た。


「一人なら良いけど、今日はちょっと……」


 理由をちゃんと伝えたら、


「何? デートか? いつの間に?!」


 トシが目の色を変えて食いついて来た。


「いや、違うよ。男三人のデートなんて寒いから聞かないでよ」


 即座に誤解を解いておいた。


「ちっ、彼女とかなら友達を紹介して貰うのに」


 心底悔しげに項垂れて今にも突っ伏しそうな感じだ。そこまで落ち込まなくても……。


「ゲームは?」


「ゲームより、女だ!!」


「よく分かったよ」


「なんだ、何かあったのか?」


 テンションの低さに何かを感じたみたいで、僕は昨日の土曜日に、池田先輩に足を引っ掛けられた事を話した。


「どうも、演劇部の女子は先輩の持ち物、みたいなのを感じたよ。女子の方はどう思ってるのかは分からないけど、先輩はイケメンだから……」


「なんて羨ま……嫌みな奴なんだ」


「本音が漏れてたけど、大丈夫?」


「大丈夫だ」


 片頬がピクピク動いていたが、見ない振りをした。


「そんな奴……って池田? 池田 晃晴(あきはる)か?」


「知ってるの?」


「ちょっと有名だ。確か、メンズのファッション雑誌に時々、街角スナップとか言うのあるだろ、あれに写ってるらしいんだ。見た事無いけど」


「へえ……有名人だったんだ」


「演劇部か。役者にでもなりたいのか?」


「さあ……」


 池田先輩のそんな事までは興味ないよ。約束の時間になったので、家に戻った。妹の事はもう少ししてから聞いて貰おうと思う。微妙すぎて説明が難しい。僕には無理だ。


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