11 疑惑
◯ 11 疑惑
いつの間にか、教室に残っているのは自分一人だった。カバンを持ち、意を決して家に帰りだした。帰り道の間、僕は昨日の事を思い出していた。
ーー昨日
「ただいまー」
玄関を開けて入った。
「お帰りなさい、今日は遅かったのね」
「お帰りー、遊び過ぎだぞー」
母さんと妹の声が聞こえた。リビングで何やら買い物したものを広げている。一瞬、デジャブを感じて嫌な事を思い出し眉をひそめてしまったが、振り払い近づいていく。
「千皓、ありがとうね、ここのところ忙しかったから、おかげで気分が晴れたわ。でも良かったの?」
母さんがちょっと微笑みながら話しかけて来たが、何かした覚えは無い。
「え? 何の「まあいいじゃない」こと?」
妹が、僕の言葉を遮る様に大きな声で言う。
「え、何?」
僕はもう一度聞く。
「何でも無いよー」
妹がまた答えるが、おかしい。妹がこういう不自然な態度を取るときはろくでもない事が多い。
「母さん、さっきの「何でもないって言ってるでしょ」何の事?」
妹が僕の喋るのに合わせてかぶせてくる。妹より声が低いからかき消される。こんなにしてまで隠そうとするなんて怪しい。
「それより、この前食べてみたいって言ってたケーキ買って来たんだよ。食べようよー」
妹がケーキの箱を持ち上げて嬉しそうにいう。
「ダメよ、この時間から食べちゃ、それは夕飯が終ってからよ」
買い物の袋を片付けながら母さんが笑った。ここで誤摩化されてはダメだ、これで何度失敗しているかわからない。
「母さん、ありがとうって何? なんの「お兄ちゃん、しつこい」事……」
妹が母さんとの間に割って来て進路を妨害している。
「何でも良いでしょー」
一瞬、妹の目が殺気を含んだかの様に鋭くなったと思ったが、すぐに笑顔で制してきた。怖い。でも、このままじゃダメだ。嫌な予感がする。
「僕は、母さんに聞いてるんだ」
「ひっどい、妹と口聞くのが嫌なんだ? お母さーん、お兄ちゃんがひどいのー」
勝ち誇った顔でこっちを一瞬見て、キッチンに移動しはじめた母さんの腕に自分の腕を絡ませ、甘えだした。
「まあ、兄妹喧嘩は良くないわよ」
母さんは妹に甘い。妹の甘言に乗せられて言う事をよく聞かされてる、と言うか最近はまるでコントロールされてるかのようで怖い。どうしてこうなったんだろう。僕は一度、深く息を吸い込んでからもう一度、母さんの顔を見ながら聞いてみた。
「違うんだ。母さんに、どうしてありがとうなんて言うのか、聞いてるだけだよ」
「あら、今日の軍資金をくれたって玖美が「もー、楽しかったよね」」
「軍資金? 知らないよ「ほら、もうー、夕飯作るのに邪魔だよ」そんな事!!」
まさか、またか?!
「僕は、「ほらほら、出て行って」軍資金なんて知らないよ!」
妹がキッチンから追い出そうと押してくるが、踏ん張って僕は、妹の声で消えない様に声を張り上げた。
「誰にもお金は渡してない」
「もー忘れちゃったの? お兄ちゃん、ボケが始まったんだー。前の時もお金が無くなったとか言ってわたしのせいにしようとしたし、証拠もないのにひどいよ」
じゃあ、その邪悪な笑みは何だ? まるで告白している様なもんだよ! あの時は机の上に財布を置いてたし、魔が差したのかと思ったが……今度はカバンの中に入れて更に机の引き出しの中にしまい込んだはずだ。調べにいきたいが、こっちが先だ。居ない間に母さんに妹が何を吹き込むか分からない! 僕は、妹の口をキッチンに在ったジャガイモで塞ぎつつ、問いかけた。
「むぎむご〜」
「僕は、玖美にお金を渡していない。だから母さん、今日の買い物は僕のせいじゃ無い。ありがとうって、どうしてそうなったの? 僕のバイト代は銀行だよ、下ろしたお金は記録されてる。間違ってないよ、調べたらすぐ分かる。前とは違うっ、っつう!!」
妹に指をかまれた。
「暴力反対ー!! このっ!! このっ!! このっ!!」
妹が叫んだと思ったら、ジャガイモやらタマネギが飛んで来た。
「ふぎゃあっ!!」
飼っているネコに当たったらしく、悲鳴が聞こえた。
「お福さん!!」
僕は鍋に手をかけようとしている妹を見て、慌ててその場を逃げ出した。お福さんを拾うときに背中に痛みを感じたが部屋に向かって走った。どこかに何かがぶつかってカンッ、という音を立てるのを背中に聞きながら……。
ありがとうございます。
設定が甘いし、登場人物が足りない、、、そしてどこに向かってるんだ。
とりあえず、詰まるまで書いてから細かく見ていこうと思います。
12月7日修正中、、、たいして変わってないけどね。




