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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ちのあじはこいのめいそう
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100 適性

 ◯ 100 適性


 今回の瘴気のばらまき事件の被害は、僕の怪我も含めて一括でメレディーナさんが管理組合に提出し、すべて幹部の人達の判断に任せる事になった。マシュさんがあれは酷い嫌がらせだろうと、メレディーナさんに言っていたが、何したんだろう。


「嫌がらせなの?」


「あー、アキの場合ので言うと、殴られたのを一発ずつ、分けて被害を出したんだ。それも何発目だから前からの被害の蓄積も上乗せして……資料の多さに向こうの担当がぞっとした顔してたよ」


 スフォラをチェックしながら、マシュさんが言った。


「うわぁ……」


「アキの影響だろう……怒っている意思表示ですわ、とか言ってたぞ」


 マシュさんは、メレディーナさんの言い方を少し真似て言ったけど、似てなかった。


「えぇ……と、そうなのかな?」


 それを見て微妙な気分になったが、その事には触れないでおいてあげた。


「……まあ、分からなくもないな、今回ばかりは」


「そ、そうだね。かなり被害が出たんだしね。ストレスが溜まってたのかな」


「だな、それに半分は独立してるのだし、少しは関わらせて欲しいと上に要望を出したんだが、突き返されたみたいだな……」


 マシュさんが納得いかないと言った顔で、そんなことを言った。メレディーナさんならもっと怒っていそうだ。


「ところでもう、歯は生え揃ったんだな」


「んー、まだもうちょっとだけど、舌が治ったからもう喋っていいって、今朝メレディーナさんが言ってくれたんだ」


「そうか、良かったな。今回の事件はかなり注目を浴びたからな……まあ、おかげでスフォラの活躍が注目されて、かなりいい感じの話も来てる」


「ありがとう。マシュさんも良かったね」


 確かにあの活躍は注目されるのは分かるかも。


「アキには災難だったが」


「うん、でも、おかげで助かったから感謝してるよ」


「他の連中のスフォラーのペット機能はまだあそこまで育ってないからな……まあ、モニター一号の成長が早いのは仕方ないし、ずっとペット機能で使ってるせいもあるしな」


「使ってる人は多いの?」


「ああ。レイとメレディーナは道具として使っているからペット機能は無しだし、研究班でも半分以上はそうだな。割と少数派だな……家にいるときだけペット派が多いみたいだな」


「へえ、そうなんだ」


「力の強い者なら、大型の動物も、車とかの移動手段にも使えるからな……アキには無理だぞ、そもそも未だに地球では実体化もままならない状態だろう」


「う、本体の状態なら15分くらいは……」


 白い目でマシュさんに見られてしまった。


「すいません」


「怪我ばっかりしてるからだ。予定ではスマホくらいの形は取れてたはずなんだが。まあ、仕方ない。おかげで目や声の変わりの器官として使えるのが証明されたしな……転んでもただでは起きないって奴だな」


「すごいですね」


「……もしくは、運が良くなってるのか?」


 マシュさんは真面目な顔で少しの間、考えていた。僕はその間に車椅子から降りて、カシガナの様子を見に庭に出た。

 今は、三つ目の花が咲き始めていて、その後は花が咲く様子は無かった。僕の植えたカシガナは冬場の収穫が多い種類のはずだけど、その種類とはすでに色も実の形も違っている。新しい種類だろうとルカード班長が言っていた。

 元々、環境で変わりやすい、と言うか適応能力が高いので順応しやすい上に僕のカシガナは契約して血を吸ってるから、かなりの珍種に分類される。確認されてるのはこのカシガナだけだ。

 うーん、いいかげん名前を付けた方がいいだろうか? 個体として識別する方がいいのか……それとも一纏めに括っていた方がいいのか……なんだか悩むなあ。名前を必要としてない気がするんだけど、気のせいかなぁ。まあ、実が出来て食べてみてからでもいいか……。


「三つ目の花はなんだか少し色が違うし、なんか感じも違うね」


 部屋に戻り、車椅子に座るのを手伝って貰いながら聞いてみた。


「……魔力が籠ってるせいだな」


「あれが魔力?」


 猫スフォラが膝に乗って丸まった。スフォラが使うのとも違う感じだけど……。


「そろそろ、魔法も覚えた方が良いかもしれないな」


「う、ん。なんかスフォラのとは違う気がするんだけど」


「違いが分かるのか?」


「うん、何となく……」


「そうか……あの感じだともしかしたら魔力の結晶をつくっているかもしれない」


「魔力の結晶? 魔法を使うのと違うの?」


 何だろう、何が違うんだか分からない。


「ああ、あー、魔法は魔力を使う方法が分かってれば、アストリューなら誰でも出来る。で、魔術は媒介を使って魔法の効果を永続的に保ったり、魔法が苦手な人の為に補助としても使ったりするんだが……。魔力結晶はその媒介のいい材料になる」


「へえ……」


「もし、結晶が作られたなら……また大騒ぎだな」


「そうなの?」


「……まあ、作られる結晶の内容にも因るが、かなり希少な生物に更に格上げされるな。もし強力な力に耐えれる純度の物が出来るなら、欲しがる者が多くなる。狙われる可能性も否定出来ない……今朝にはセキュリティーを目一杯上げといた。メレディーナにも報告してある。このまま魔力が高まるようなら、家の周りごと工事するとか言ってたから、覚悟しとけよ?」


 マシュさんが深刻な顔をしてカシガナを見て言った。


「大事になって来たね」


 額に手をやって天を仰いでから、


「他人事じゃないぞ! のほほんとしてる場合じゃない。当事者という自覚を持て」


 と、マシュさんに指をさされて指摘された。はっ、確かに、そうかもしれない。困ったな、どうすればいいんだ?


「あ、でも、他の人も契約に成功すれば、大丈夫じゃないかな」


「能天気が……成功する確率は低いとみている。調べたが、植物との契約は難しいと統計でも出ている。というか適性者が少ないと言うべきみたいだが」


 ぼそっと何か呟いてから、不機嫌な調子でそんな説明をされた。


「そうだったんだ」


 あんなに皆、頑張ってるのに難しいんだ。


「まあ、魔法生物班は分かってるみたいだが、足掻いてみないと分からないし、カシガナの順応する特性からしたら、もしかするとっていう期待もあるようだな」


 そっか、複雑だな……契約出来るのなら皆にして欲しいけど、適性の問題なら僕にはどうしようもない。


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