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序
バットエンドです。
甘甘な恋愛話でもありません。
好みが分かれると思いますので、お好きな方のみ、閲覧ください。
捕らわれて、いる・・・。
心を捉えて放さない、それ、に。
面影が脳裏に刻まれて、鉛のごとく重くする。
悪い夢に、惑わされている・・・。
心に灼きついて、離れない光景。
薄氷のごとく壊れやすい。蜃気楼よりも頼りない、幻。
思い出と呼ぶには辛すぎる。記憶と呼ぶには透明すぎる情景。
捕らわれて、いる・・・。
瞼の裏に烙きついた、それ、に。
幻が魂に食い込んで、苦しい呻きが漏れる。
苦い夢に、惑わされている・・・。
心に灼きついて、消えない想い。
負けないために。押しつぶされないために。逃げてきた。
けれど、もう耐えられない。
時にさらわれて、何処とも知れず忘れ去っていくのには。
だから、自由になりたい。
自分自身を、すべてのしがらみから解き放ってしまいたい。
だからこそ、決して忘れられない情景は、私を窒息させるほどきつくきつく縛り上げるのだ。