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死にたい勇者と死にたい魔王はメル友になりました  作者: 辰胡
20代目勇者と8代目魔王
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第四話 メル友

「許そう」

「まぁそれはいいとして。ねぇ、これからどうするつもり?」


勇者は腕を組んで首を傾げて俺に聞いた。


「どうすると言われてもな、、、」


うーん。どうしたらいいんだろ。だって、お互いが敵対関係だと分かっていて、「はいさよなら」とは言えないもんな。どうしたものか。


しばらく考え込んでいると、勇者が口を開いた。


「あのさ、スマホ、持ってる?」

「?、持ってるぞ?」

「そっか、、その、、、」

「なんだ?じれったい。恋でもしたか?」

「違うわ!あーもう。メルアド!交換しよ!」

「え?メルアド?」


何のために?こいつ、何言ってんだ?

俺たちは勇者と魔王の関係性だぞ?


「そう!いやなんかさ、酒屋で話してて思ったけどさ、俺たち案外気が合いそうじゃね?って」

「まぁ、確かに?」

「でしょ!?だからさ、メルアド交換しよ?」

「交換してどうするんだ?」

「連絡を取るんだよ。俺はお前の愚痴を聞くから、お前は俺の愚痴を聞いてほしい。」

「それなら良いけど」

「あとは、また、いっしょに酒飲もうな」


驚いた。

メルアドを交換しようと言われたことじゃない。

いっしょに。その言葉をまさか勇者にかけられるとは。

なんだろう。なんだかとても嬉しい。魔王になってから、一切感じなかったこの感情をまさか勇者のおかげで感じるなんて。

俺は、とことん魔王に向いてないな。

それでも、なんとなく生きる楽しみを見つけた気がする。勇者に感謝だな。

ありがとう。


「ありがとな」

「えっ」

「どうした?」

「魔王って、、、感謝って知ってるんだ」

「おい、流石に失礼だとは思わないのか」

「お前だから思わん」


お前だから。魔王だからじゃない。お前だから。

その言葉がとっても嬉しい。

まぁ内容は置いといて。

もし、俺に友達ができたならこいつがいいな。


「あ、そういえば名前は?」

「名前?」

「名前、分からないと不便だろ?」

「そういうものか」

「そういうものだよ。教えて?」


名前か、ここ200年くらい「魔王」とか「魔王様」とか、名前で呼ばれたことなかったな。


「俺は……ドラスト・ヴェグル」

「そっか。ヴェグル、よろしくね!」


ヴェグル、か。なんだか不思議な感じだな。

でも、悪くはない。


「お前の名前は?」

「聞いてくれた!俺はねリンリー・エルスタ」

「よろしく、エルスタ」


それからメルアドを交換して、しばらく雑談した。

俺には昔から、こんなことができる人はいなかったからとても新鮮で楽しかった。


「あれ?思ったより時間ヤバくね?」

「え、マジで?ほんとにやばいじゃん」


エルスタのスマホの画面に映した時刻をみてあせる。


(ヤッベ。部下どもにバレる!)


「すまん!エルスタ。帰るわ」

「オッケー。焦りすぎて怪我するなよー」

「そんなヘマしねぇよ!」


(急いで帰らないと)

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