第四話 メル友
「許そう」
「まぁそれはいいとして。ねぇ、これからどうするつもり?」
勇者は腕を組んで首を傾げて俺に聞いた。
「どうすると言われてもな、、、」
うーん。どうしたらいいんだろ。だって、お互いが敵対関係だと分かっていて、「はいさよなら」とは言えないもんな。どうしたものか。
しばらく考え込んでいると、勇者が口を開いた。
「あのさ、スマホ、持ってる?」
「?、持ってるぞ?」
「そっか、、その、、、」
「なんだ?じれったい。恋でもしたか?」
「違うわ!あーもう。メルアド!交換しよ!」
「え?メルアド?」
何のために?こいつ、何言ってんだ?
俺たちは勇者と魔王の関係性だぞ?
「そう!いやなんかさ、酒屋で話してて思ったけどさ、俺たち案外気が合いそうじゃね?って」
「まぁ、確かに?」
「でしょ!?だからさ、メルアド交換しよ?」
「交換してどうするんだ?」
「連絡を取るんだよ。俺はお前の愚痴を聞くから、お前は俺の愚痴を聞いてほしい。」
「それなら良いけど」
「あとは、また、いっしょに酒飲もうな」
驚いた。
メルアドを交換しようと言われたことじゃない。
いっしょに。その言葉をまさか勇者にかけられるとは。
なんだろう。なんだかとても嬉しい。魔王になってから、一切感じなかったこの感情をまさか勇者のおかげで感じるなんて。
俺は、とことん魔王に向いてないな。
それでも、なんとなく生きる楽しみを見つけた気がする。勇者に感謝だな。
ありがとう。
「ありがとな」
「えっ」
「どうした?」
「魔王って、、、感謝って知ってるんだ」
「おい、流石に失礼だとは思わないのか」
「お前だから思わん」
お前だから。魔王だからじゃない。お前だから。
その言葉がとっても嬉しい。
まぁ内容は置いといて。
もし、俺に友達ができたならこいつがいいな。
「あ、そういえば名前は?」
「名前?」
「名前、分からないと不便だろ?」
「そういうものか」
「そういうものだよ。教えて?」
名前か、ここ200年くらい「魔王」とか「魔王様」とか、名前で呼ばれたことなかったな。
「俺は……ドラスト・ヴェグル」
「そっか。ヴェグル、よろしくね!」
ヴェグル、か。なんだか不思議な感じだな。
でも、悪くはない。
「お前の名前は?」
「聞いてくれた!俺はねリンリー・エルスタ」
「よろしく、エルスタ」
それからメルアドを交換して、しばらく雑談した。
俺には昔から、こんなことができる人はいなかったからとても新鮮で楽しかった。
「あれ?思ったより時間ヤバくね?」
「え、マジで?ほんとにやばいじゃん」
エルスタのスマホの画面に映した時刻をみてあせる。
(ヤッベ。部下どもにバレる!)
「すまん!エルスタ。帰るわ」
「オッケー。焦りすぎて怪我するなよー」
「そんなヘマしねぇよ!」
(急いで帰らないと)




