第三話 偽物の勇者
「俺は本物の勇者じゃない!本物だったなら受け止められたかもしれないけど、、俺は偽物だ!」
勇者はそう言って吐き捨てた。なんだよ、こいつも俺と同じじゃねえか。
「知っている。確か勇者の選出方法は先代勇者の死から10年経てば神託が王国におり、次代勇者を決めるのだったか。今回は10年経っていないな。」
「そうだよ。王国は勇者の居ない空白の10年間を恐れた。だから神託を待たずに代わりの勇者を用意した!それが俺だ!」
「王国は馬鹿だな。」
こんなやり方じゃ、慌てて用意した勇者という民の希望の象徴もすぐになくなってしまうぞ。
こいつは優しすぎるんだ。勇者に向かないほどに。
勇者なんて己こそ選ばれしものだと、奢っているやつの方が相応しい。
「だが、お前が選ばれた理由は勇者に見合う戦果をあげているからだろう」
「けど、、、だけど、、キラキラ輝いている純粋な瞳を俺向ける人々を見るたびに苦しくなるんだ。だって、まるで騙しているみたいだろう?」
痛いほどわかる。けど、ここで同意してしまってはこいつが勇者という立場から消えてしまう。この世界の希望となるであろう彼には生きててもらわねば。
「そうか?王国が決めた時点で選出方法は置いといてお前が選ばれた勇者であることに変わりないじゃないか」
「で、でも、、、、」
「そう、お前は勇者なんだ。さあ、この俺を討つがいい」
「いやちょっと待って」
「なんだよ」
「どさくさに紛れて死のうとしてない?」
「チッ」
バレたか。聡い子は嫌いだよッ。
「うわー、魔王様舌打ちした。図星かしら」
「黙れ。殺すぞ勇者」
「どうぞお願いします」
「あー、もーやだ。本当に嫌だ。うぜぇ」
そうだったわ、こいつ死にたいんだったわ。
「あらやだ、魔王様怖いわー。アタシ怖くて泣きそー(棒読み)」
キッッッツ。キッッッショ。キッッッモ。
「勝手に泣いとけ。というかキモ」
一つしか言わなかったのは温情。本当は3つとも言ってやりたいのを我慢した。まじでえらい俺。
「おい、いきなり辛辣やめろ」
よし、やり返してやろう。せいぜい鳥肌をたてるがいい。
「あなたがキモいのが悪いのでしょう?あなたがあまりにキモいからあんな対応になってしまっただけで、私は悪くありません。あなたがキモいのが悪いのですわ。」
「キモいキモいって連発しないで!なんか微妙に刺さってくるから!あと、ですわ調キッショッ」
「俺の気持ちがわかったか」
(もう大丈夫そうだな。元気になったみたいだ。)
「分かりました。先程は大変申し訳ありませんでした」
「許そう」




