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2人の出会い

今ステージを終えてカラフルパレッツが退場していき、次のグループがステージの端から出てくる。


そして紅白歌合戦が進んでいく。


3組ほどだろうか、ダラダラと紅白を観ていると、携帯が着信を知らせる音を鳴らす。


携帯を手に取り、通話ボタンを押す。


そうすると可愛らしい声が耳をくすぐる。


「涼?聞こえるー?」


「うん、聞こえてる。紅白とっても良かったよ」


「本当!?良かったぁ涼のために頑張った甲斐があったよ」


「踊ってる時の顔とか、振り付けとかめっちゃ可愛かったし、カッコよかった。」


「その感想が聞けて満足です!今からミーティングやってすぐ帰るから待ってて!」


「了解、ご飯どうする?」


「涼のご飯食べるー今日のご飯何?」


「なんと…優花。頑張ったご褒美にハンバーグ作ってます!」


「本当!?チョー特急で帰ります!!」


「うん、気をつけてね」


プープープーという音と同時に通話が終了する。


この会話からもわかる通り、今彼女と僕は大学進学を機に同棲を始めている。


2人で暮らしている事が世間にバレないように、マンションで、入り口は道路から見えないような場所を借りて生活している。


この条件でお手頃価格のマンションを探すのにかなり苦労しなぁ。


しかし電話が終わり急に眠気が襲ってきた。


最近は大学のことや優花の紅白に向けた練習のサポートで忙しく、かなり疲労が溜まっていた。


そのせいだろうか急に緊張の糸が切れせいで、ソファーで深い眠りについてしまった。


夢を見ていた。


優花と出会ってから今までのことを……



――――――――――――――――――――


「結構似合ってるかな」


鏡の前で真新しい制服を見に纏い、鏡に映る自分を眺める。


特におかしなところはなかったので早速出発する。


今日は高校の入学式、駅に向かって歩みを進める。


駅に着き、電光掲示板で電車の時間を確認して、ホームへ降りていく。


スマホをいじっているうちに電車が到着し、乗車する。


中学の頃は徒歩での通学だったのでかなり新鮮だった。


自分の家の最寄駅から学校の最寄り駅までは乗り換えなしで、30分ほど、15分ほどすると通勤通学ラッシュでかなり電車内が混み合ってくる。


ちらほら同じ高校の制服も見られる。


同じ制服を見に纏っている人たちをながらで見ていると、とある人に目が固定される。


最初の感想は、一言で言うと綺麗と言う一言に尽きるだろう。


キューティクルバッチリのロングの黒髪、黒曜石のような瞳、筋の通った鼻筋、白く輝く肌。どこをとっても欠点が見つからない。


だが、彼女は少し顔色がすぐれないようだった。


入学式での緊張や、エマージェンシーな事かもしれないと考えたが、彼女の周りを見てすぐになぜ彼女の顔色がすぐれないのか理解した。


痴漢だ。

彼女のスカートの中に後ろから手が入っている。


その手が少し動くたびに、彼女は不快そうに顔を歪める。


僕は信念として困っている人がいたら助けると言う事を掲げているので、どうにかして助けてあげたかったが、そこまで距離も近くなく、尚且つ電車はほぼ満員で身動きが取れない。


ならば答えはひとつであろう。


「痴漢です!!」


と大声で叫んだ。


この声に驚いたのか、彼女への痴漢は無くなっていた。


するとそのすぐ後、学校の最寄り駅にもうすぐ到着する旨の車内放送が流れた。


電車が駅に着いたので人をかき分けて、電車から降りる。


左右を見渡し、階段を探し、歩き出すと同時に、後ろから声をかけられた。


「あ、あの」


「はい?」


「先ほどはありがとうございました」


声をかけてきたのは先ほど痴漢にあっていた子だった。そうして深々とお辞儀をする。


「あ、頭を上げてください。そんな大層な事してないですから」


「いえ。痴漢されていた時、すごい怖かったんです。周りにいる人は助けるどころかいやらしい目線を向けてきて、とっても心細かったんです」


「君の助けになれたなら何よりです。それでは」


特に話す話題もなかったので背を向けて去ろうとすると再び呼び止められる。


「あ、あの!最後にお名前だけ伺ってもいいですか?」


「名前?僕の名前は佐々木涼よろしく」


「私は日下部優花ですよろしくお願いします」


そう言って彼女はまた深々とお辞儀をした。


それで入学式を終えた後のクラスで再会してそこから……



―――――――――――――――――――



…う!涼!涼ってば!!


肩を両手で揺さぶられ、意識を夢の中から現実界へと引きずり出された。


「あ、やっと起きた」


「!?優花ごめん寝ちゃってた。」


横目で時計を見るともう0時を回っていた。


「どれくらい寝てた?」


「えーと、私が帰ってきたのが30分前くらいかな?寝顔見てたら止まんなくなっちゃって」


えへへ、とはにかむ彼女はとても可愛くとても魅力的に映る。


テレビでは見ることはないであろう顔である。


これがアイドルと付き合っている特権というやつだ。


「冷蔵庫にハンバーグ入ってるから一緒に食べようか」


「うん!!」


2人で夕飯にしてはかなり遅いが、楽しい食事を終えたのち、眠りについた。




お読みくださりありがとうございます。


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