不明な記憶
ピピピピ
鳴り止まぬ、五月蝿い目覚ましの...
ドーン
パリパリ
主人公「ふぁぁ。眠い」
...目覚ましの音が彼を起こす....え~と、それをぶっ壊した彼の元に近づく足音
ダダダ
目覚ましの音と同じレベルで五月蝿く向かって来る音。彼はこの音の正体を知っている
妹「お兄ちゃん、何やってるの!」
階段を駆け上がり現れた可憐な少女は、彼の妹だ。先ほどまで使っていたと思われるお玉を突き出し、怒る。主人公の彼とは違って真面目でしっかり者だ。
寝ぼけている彼は、何故怒られてるのか分からない。その姿を見た妹は、呆れて壊れた時計に指を向けながらやれやれとため息をつく
指の向けられた方に視線を向けると、 ようやく彼の視界に壊れた時計が入った
主人公「あー...ごめん」
別にそこまで高価では無いが、彼は今月に入ってもう3回もぶっ壊している
妹「明日は『成人、祝杯の儀』なんだから、しっかりしてよね。 ほんとお兄ちゃんは私が居ないと駄目駄目なんだから」
主人公「うっ、」
妹のあまりにも毒舌な言葉に、駄目駄目な兄の精神に100のダメージ
妹「ほら、いつまでもそんな顔しないで早く下に降りてきてね☆」
先ほどとは変わって可愛らしい笑顔を作り、降りて行った
ダダダ
遠ざかって行く音を聞き、妹の言っていた、儀式を思い出す。彼は成人、祝杯の儀という人生の節目を前にして今までの日々を思い出そうとした
主人公 (母が病気で死に、 父親が魔物に殺されて死んだ)
彼が真っ先に思い浮かべたのは、この2つ辛い過去のことだった。 この2つは彼にとって最も悲しく、最も辛い出来事であった
なぜだか頭に濁りがかかる。彼の意志か、それ以外かは分からないが、 彼は結果として
...パチン
両頬を手で叩いた。前を向くと開けっぱなしの扉。 心の中で閉めとけよと思いつつ、部屋から出る。目の前には妹の部屋。
妹曰く、『絶対に入るな』とのこと。 彼はふざけることはあっても、 人の嫌がることは決してしないため、 扉を開けずに階段を降りた。
ちょうど料理が運ばれてきた。彼が手伝うか?と聞いても、大丈夫と言ってくる。
妹・主人公「「いただきます」」
2人だけの空間。静まり返る、、、 ことはなく、妹は次々に話しを繰り出した。 それに対して彼は、うん、そうだね。と当たり障りの無い返事を返した。
妹「そういえば、食材無くなってきたから市場で買ってきて」
メモと一緒にお金を出す妹。この2人が生活しているお金は、 親が残してくれた遺産である。お金にまだまだ余裕はあるが、無駄遣いする訳にもいかず妹はぴったりの金額を出した。
彼は身支度をし、出発した。
-市場に移動ー
主人公「えっと、確かにここに、、うわっ」
市場の角を曲がると、一つの影が見えた。避けようと思ったが、起きたばかりで体が思うように動かせず、ぶつかってしまった
カナデ「いてて、すみません。急いでいて、ってアルトくん」
アルト「こっちこそ、ごめんカナデ」
荷物を持って向かって来た影は彼の幼馴染みのカナデである
カナデ「ううん、大丈夫」
アルト「それにしても、相変わらずだな」
散乱した大量の魔道書を見て彼は呟いた
カナデ「えへへ~これは私の生き甲斐だからね」
アルト「まだ成人の儀を受けてねぇのにもう魔法使い気取りか?」
そう、成人の儀とはその者の適正を知る儀式である。この世界では16になる年に自分の適正を神から与えられるのだ。しかし、適正を知ることが出来るのは神に使える者だけである
カナデ「いいでしょ別に。それに適性がなくても、魔法使いになった人はいるんだから。例えば、今から13年前、レイラ騎手団長は、適正は剣士なのにも関わらず剣と魔法を使い、新たな道を示したのよ。それに、、、」
カナデは魔法の素晴らしさについて熱く語った。こうなると3いや、下手したら6時間コースになってしまう。妹に頼まれた用事をすっぽかす訳にもいかずアルトは話しを終わらせようとした
アルト「わかった、わかった。そうだね、魔法凄いね」
カナデ「やっと分かった!他にも、、」
完全に逆効果だった。アルトが素晴らしさを理解したと感じたカナデはさらに詳しく、散らばっている本から1冊を取り出し、 慣れた手つきでパラパラとめくり、写真や地図を見せた。6時間コースを確定したアルトは、目に涙を浮かべ妹に怒られる未来を想像した
「それ位にしとけ、アルトが困っているだろ」
そう言ってカナデの後ろから剣の柄で頭を軽く叩いた
カナデ「うぅ、そんなこと無いもん。アルトも喜んで聞いてくれたし」
そこに居たのはアルトとカナデの幼馴染みハヤテだ。子どもの頃は年が同じと言う理由で、この3人と妹で遊んでいた
アルト「ありがとう、ハヤテ」
助け出してくれたハヤテに対し、彼はカナデには聞こえない程度の声量で言った
頑張って最後まで書いてみます
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