「いや癖強三銃士かよ!!」
「……ぇ、お……て。おー……」
「ん、んぅ……」
ゆさゆさと己を揺さぶる誰かの声と、何処か遠くから聞こえる暴風音、それに合わせるようにして時折する軋んだ音に晶子の意識は浮上する。
(うぅ、この世界に来てからのあたし、ホンットに気絶ばっかしてるな……いやでも、今回に関してはそもそも外部からの干渉……)
「っ!?」
気を失う直前の事を思い出し、自身が誘拐されたのだと気付いて勢いよく飛び起きた晶子。
「うわぁ!!」
「おわっごめ、ん!?」
途端、寝かされていたベッドの傍で子供の驚いた声が聞こえ、ひっくり返って頭を打ってはいけないと咄嗟に腕を掴んだ。が、指先から掌全体に感じるひんやりとした金属の感触に、相手が人間では無いとすぐに理解する。
「あ! やっと起きたー!」
「き、みは……」
そうしてようやく視界に入れた存在は、宙に浮かぶ正方形の箱に長い腕が付いたような見た目をしていた。丁度、晶子の方を向いている面にはモニターのようなものが取り付けられており、そこに喜怒哀楽様々な表情が表示されるようだ。
今はと言えば、何時までも起きてこない人物がようやく目を覚ました事に喜んでいるようで、ピコピコと軽快な電子音を鳴らしながらスマイルマークを点滅させていた。
「僕はモニー! ここでみんなに情報を伝える仕事をしてるんだー! 君の名前はー?」
「……あ、えっと、晶子、だけど……」
「しょうこ、ショウコ、晶子!!」
あまりにもフレンドリーに接してくる箱、モニーに毒気を抜かれた晶子がつい素直に名を名乗れば、何が嬉しいのか晶子の名前を何度も何度も繰り返していた。
「うんうん、良い名前だね!! 僕と同じ位いい名前だよ!! あ! 僕皆に君が起きたの伝えてこないと!!」
「えぁ!? ちょっとまっ!!」
こちらが何かを言う間もなく、モニーは御機嫌に舞い踊りながら部屋を出て行ってしまった。
「えぇ……ぜんっぜん人の話聞かないじゃん……」
一人残された晶子は仕方が無いと大きく溜息を吐くと、ベッドから立ち上がり部屋の中で唯一外の様子が確認できる窓辺へと歩いていく。
「てかやっぱここ、暴風平野の中心地にある研究所だよね」
窓を覗き込んでまず目に入ったのは、まるで灰色の壁のように視認できる程密集した激しく流れる風。ごうごうと物凄い音を立て、周辺の何かしらを巻き込んでいるらしく時折その激流の中を黒い影が流されていく。
だが風の勢いが強すぎるせいか、それらの影は数秒もすれば小さくなっていき、瞬く間に消え去ってしまった。
それ程の勢いがあるにも関わらず、窓は激しくガタつく様子も外れる気配も無い。
(ゲームで見た通りの荒れっぷり……そりゃ、あんな竜巻に護られてたら誰も近づけないよね……)
一切弱まる気配がない全貌の確認出来ぬ巨大竜巻を見て、晶子は大きな溜息を吐き出した。
「……アクラニャー元魔道具研究所、か」
アクラニャー元魔道具研究所とは、WtRs内に登場するダンジョンとタウンマップが混在する場所だ。暴風平野と呼ばれるマップの上空に存在し、風の英雄・ハーミーズに関連するシナリオの発生場所でもある。
ここで巻き起こる物語は、人間と命持つ魔道具、二つの種族の在り方や存在意義について投げかけてくるものであり、シナリオを進めれば進める程、人間の強欲さと黒幕の倫理観の無さに顔を覆うプレイヤーも多かったと評判だ。
(この風の壁は、魔力放流の影響で磁場が変化した事で起きたんだったっけ? で、ハーミーズが研究所に取り残されてる魔道具達を憐れんで、必要以上の風が干渉してこないようにしてたはず……)
近頃、少し朧げになりつつある現実での記憶を必死に掘り起こし、晶子は現状の整理を始める。
(この研究所は元々、有志の手で立ち上げられた孤児院だった。それでえぇっと……あ! そうそう、確か十三代目所長になった頃から風向きが変わり始めたんだよね)
ゲームプレイ時、WtRsの主人公は幾つかのシナリオをクリア後、もしくは暴風平野に足を踏み入れた際に起きるイベントによって、晶子と同じように研究所へと攫われる。
何の抵抗も出来ず強制的に連れてこられ、すわ敵対組織かと警戒したプレイヤー達は多かった。
しかし蓋を開けてみれば、『同じく女神に御役目を貰った』と語る魔道具達から歓待を受け、友好的に接してくる始末。
一体どう言う事かとエリア内を探索して見れば、研究所内の各所でとんでもない資料を発見する事になる。
なんとこの研究所、創設者から数えて十三代目になる所長の采配で孤児を使った実験施設へと様変わりしていたのだ。
表向きは身寄りのない子供達を温かく迎え入れる慈善団体を謳いながらその実、彼等を使って『生体魔道具』なる物を作ろうと画策し、戦争好きな国に売り込んで巨額の富を得る……それがこのアクラニャー研究所の実態だった。
(あのメモとか資料見た時、絶句したよね。神樹編も大概酷い事になってたけど、どっこいどっこいなヤバさしてる……いや、あっちよりも数段酷いかも)
孤児一人ひとりに実験番号を付け、どう言った実験に耐えれるか等といった事が書かれたカルテのような書類の内容を思い出し、無意識に舌打ちが零れた。
(にしてもこの研究所、ハーミーズが英雄になる少し前に壊滅させてたって聞いてるけど……その割には各施設とかも綺麗に残ってるっぽいんだよね。魔力放流にあってもこうして原型をほぼ残したままだし、何より魔道具達が普通に生活してるってのが割と謎のままだし)
アクラニャー研究所は封神大戦前に訪れたハーミーズ達一行によって悪事が暴かれ、無人の廃墟と化したと言われている。
しかし、ゲーム本編では何故か魔道具達が多く残っており、そこに居るのが当然のように生活をしているのだ。
(何で彼らがここに居るのか、長年ずっと謎のままだったのよね。誰かが再興させたって話も聞かないし、そもそもハーミーズが負の遺産を残さないために全てを風魔法で破壊したって設定資料にも書かれてた。本人の口からも聞けるタイミングあった、と、思う……)
七人いる英雄の中で、実は唯一人間だった頃の幼少期に言及があるのがハーミーズである。
彼はとある牧草地に生まれた貧しい子供だったが、流行り病と女神の管理のせいで両親を立て続けに失い、物心ついた頃にはアクラニャー孤児院に引き取られていた。
そこで彼を待ち受けていたのは、例にもれず口に出すのも憚られる程に凄惨な実験の数々。
地頭の良かったハーミーズは数人の子供達と協力し、数年をかけて脱出に成功するも、仲間達は次々と命を落としてしまった。
(その事がトラウマになって、ハーミーズは今も束縛や管理を嫌ってる。自由を謳い、貧しい子供達を守ろうとし、絶対に大人を信用しない。……そんな彼がようやく見つけた胸襟を開ける相手が、七英雄と異界の巫女だった)
七英雄達は皆、基本的に他者を思いやる心に溢れた善き大人達だった。それが幸いしたのか、初めの内は強く警戒をしていたハーミーズも、いつしか冗談を言い合い背中を預けて戦う事の出来る仲へと変わっていった。
(鑪さんとは、まあ……価値観の違いと言うか、性格的な問題で衝突する事も多かったみたいだけど、なんだかんだ一番背中を預け合える仲だったみたいなのよね。二人共、互いの性格諸々から嫌い合ってはいたけど、実際はあのメンバーの中でも特に連携のとれたコンビなんよなぁ……本人達は頑なに絶対認めん!! みたいな態度だったけど)
WtRsではどちらかをパーティに入れている状態でもう片方に会うと、ちょっとした会話パートが挟まるようになっていた。
鑪は険しい言葉でハーミーズに説教し、対するハーミーズは飄々とした口調で鑪を全力で煽る。
段々とヒートアップしていく口喧嘩に主人公が『仲が良いね?』と選択肢を選べば、即『仲良くない!!』『良くなどない!!』とハモった返事が返って来るので、プレイヤー間では喧嘩する程仲が良いと評判であった。
(……敵対、する事になるよ、ね……)
ハーミーズは七英雄達の中で最も女神を嫌っている人物だ。仮にこの研究所内で出会ったとしても、彼は容赦なく晶子を攻撃してくるであろう。
表向きは軽薄な言動の目立つ陽気な吟遊詩人を装っているハーミーズだが、途端女神の関係者には一切の手心が無くなる程に容赦がない。
(ゲームで最初に会った時も絶対戦闘になるんだから、もうほぼ間違いなく戦う事になると思う訳ですよ、うん。あの人、仲間にする条件もややこしくて大変なんだよなぁ……)
鑪と同じく仲間にする事が出来るハーミーズだが、彼の加入条件は他のキャラ達と違い幾つかの工程を挟まなければならない。
一つは複数回発生する事になるハーミーズとの戦闘を毎回勝ち抜く事。とはいえ、これは相手の体力を一定値以下まで削れば勝利扱いとなる為、低レベルクリアを目指しているなどの余程の理由が無ければ易々と達成可能になっていた。
二つ目は、ハーミーズとの戦闘になる前には必ず子供に絡んだプチイベントにおいて、提示される選択肢全てで『良い選択肢』を選び続ける事。選択に成功していると、徐々に彼の態度が軟化していくのだ。
そして最後の三つ目は——メインシナリオである元魔道具研究所編の物語を、特定のエンディングでクリアする事。
(前の二つは良いんだ、うん。レベリングとか武器の強化とかを諸々ちゃんと進めてるなら何の問題も無いし、子供関連のイベントもハーミーズの過去を知ってたら絶対そっちしか選ばないから。……もうさぁ公式くんマジで何であんな事させるの鬼か人の心ないなったんか??)
今でも鮮明に蘇る物語の結末に、晶子は顰めた顔を両手で覆った。
ハーミーズ加入条件に関わる元魔道具研究所編の物語は、他と同じく二つの結末が用意されている。
しかし、そのどちらを選んでもとあるキャラが犠牲に成り、尚且つ条件に一致する方の結末はより悲惨なものになっているのだ。
(いくらハーミーズの為とはいえ、この世界では絶対にあんな選択をしたくない……ううん、絶対にあんな事にはさせない。今のあたしなら、それが出来る筈)
顔を上げて、窓の外を睨みつける晶子。胸の前でグッと拳を握り締めながら、必ず幸せな終わりに導いて見せると心に誓った。
(……あ、そう言えばこれ、あたし誘拐されてる訳だけど……鑪さん達、気付いてるかな?)
ふと、地上に残されている者達の事を思い出し、晶子は首を傾げる。最後に会話したのはアルベートだが、彼は直前に退出しており晶子が連れ去られる瞬間を見ていない。他の面子に関しては顔を見てもいないのだ。
(いや、そもそもあたし、どれだけ気を失ってた? まさか数日寝てたとかじゃないよね?? そうだった場合さらにややこしくなると思うんですが……おーい、女神~? ……女神?)
何かと助言をくれる女神に訊ねようと念話を試みた晶子だったが、なぜか一向に応答がない。
それどころか念話自体も繋がっていないようであり、何度試してもチャンネルが通じる事は無かった。
(おかしい……ここに来てから繋がらなかった事なんて無かったのに。マナ解放が原因? あ、それともあれか? 回線開きっぱなのをアルベートに指摘されて、面倒くさいからって切ったのを根に持ってる?? ご、ごめんよ~……別にあんたが嫌いとかじゃないんだよぉ)
あの女神ならありえると思い言い訳をつらつらと並べ立てるが、反応の一つも感じられない。
いよいよ良くない状況に陥っていると察した晶子が冷や汗をかいていると、部屋の外から複数の気配が近づいているのに気付く。それと同時に漂ってきた強烈な腐臭に、晶子は瞬時に鼻を摘まんだ。
(ぅ……淀みの気配を持ってる奴が近いな。……あの子はここに来れないし、それ以外に考えられるって言ったら……アイツしかいないか)
脳裏に浮かんだ二人の内、片方は物語中の役割からして選択肢から除外される。となれば晶子の中で、このこびりつくような腐敗臭をさせているだろう人物は一人しかいなかった。
(あ、会いたくね~~~~~!! 初っ端からアイツに会わないといけないとかどんな拷問だよまーじつらいんですけど?? でも初対面で心証を悪くする訳にはいかない……)
そうこうしている内にも気配はどんどんと迫って来ており、悠長に考えている時間は無い。
(えぇい、どうにでもな~れ!!)
行動を怪しまれないよう意を決して鼻から手を離した瞬間、部屋の扉が開いて数体の魔道具達が入室して来た。
「あら、ほんとに起きてるのね。おはようございます」
「Okita! Okita!」
「お↑~はよ↑~ございまぁ↑~す!!」
「いや癖強三銃士かよ!!」
率先して挨拶をしてきた三体を見て、晶子はつい叫んでしまった。今、晶子の前にいるのは現実世界のプレイヤー達から『癖強三銃士』と呼ばれている魔道具達だった。
「お嬢様は、長いのと太いの、どちらが好きかしら?」
「チョコバナナを両手に構えながら際どい発言をすな!!」
どこからか取り出した串に刺さったチョコバナナを両手に掲げながらグイグイ迫って来るのは、クラシカルタイプのメイド服を着た女性型の魔道具。
奉仕型魔導人形・ミスオラージュ。
「Ohayousan! Karadano Tyousiha、Donai Dekka?」
「うんうん、体は絶好調よ。にしても機械音声関西弁の違和感凄いな……」
(このキャラ、ゲームでの台詞全部ローマ字読みで書かれてたんよね……初見の時、読みにくくてめっちゃ困ったわ……)
流暢な関西弁でこちらの体調を気にかけてくれるのは、招き猫のような姿形に瓶底眼鏡をかけ、手に銀製のそろばんを持った魔道具。
経理特化型魔導人形・まいどポクプン。
「ほ↑~んじつも! 良き一日となりますよう、この優秀な騎士たるわ・が・は・いが、こ↑~ころよりお祈り申しあげまぁ↑~す!!」
「こいつが一番癖強いな……」
大袈裟な身振り手振りで決めポーズを取るのは、中世騎士のような金色の甲冑と横巻カールになった金色の鉄板で出来た髪を揺らし、同じく金色の巻き毛をした特徴的な口髭を持った男性型の魔道具。
護衛特化型魔導人形・シュトゥルム卿。
(おうおうおう、よりによって最初に挨拶しにくんのがこいつらなんかい……起き抜けにこれってキッツいわぁ)
「それで、どっちが好き?」
「Tokoro de Ojou san、Kanemouke ni Kyoumi ha Nai Dekka?」
「こ↑~んの私が貴女様の護衛に御付きしますので、ど↑~うぞご安心下さぁ↑~い!!」
「っだ~!! いっぺんに喋るな!! 順番に返事するから!!」
晶子の都合などお構いなしに喋りかけてくる魔道具達に、痺れを切らして叫ぶ。それでもわちゃわちゃ、ジリジリと距離を詰めてくる三体に反射的に体が後退るも、すでに窓際にいた為に身動きが取れなくなってしまった。
(初対面でも容赦ないな!? ホントなんであたしってこいつ等ばっか引くの!?)
元魔道具研究所編の冒頭では、目覚めた主人公に数体の魔道具達が会いに来る。顔を見せる魔道具は毎回ランダムに選出されるため、目当てのキャラの挨拶を聞く為にわざわざセーブ&ロードを繰り返すプレイヤーもいた程だ。
晶子は一期一会を楽しむ派なので周回の度に誰が来てくれるかワクワクしながらプレイしていたが、どういう訳かこの癖強三銃士の誰かしらが毎回必ず選出されていてげんなりしていた。
決して彼等が嫌いな訳では無いのだが、実はこの三体、挨拶に選出される確率がかなり低めに設定されており、人によっては全く会えないままというのも珍しくないのだ。
が、なぜか晶子は彼らの中の一人とは必ず挨拶を交わす事になるので、オフ会メンバーからは羨ましがられる一方、会話出来る魔道具の枠が埋まってしまうので晶子はほんの少し辟易していた。
(いやね、別に彼らの事は嫌いじゃないのよ。でもね……癖が強いから疲れるのよ……)
彼らが善意から迫ってきている事が分かっている為あまり強く断れないなと思い悩んでいると、三体の後方でじっとこちらを見つめる魔道具と目が合った。
全体的な見た目は真紅のドレスを着た人間のようで穏やかそうに微笑んでいるが、四対あるその瞳からは薄ら寒さすら感じられた。
「……?」
(………………!? ファッ!? どちら様⁉)
接近してくる淀みの気配から、晶子はてっきり今回のシナリオの黒幕が現れるものだとばかり思っていた。しかし、いざ現れたのは全く見ず知らずの魔道具で、ゲームでは存在しなかった登場人物の出現に驚愕して固まってしまう。
唖然とした表情のまま無言で相手を見つめていれば、ミスオラージュが晶子の視線の先にいる魔道具の事を思い出したように紹介する。
「あぁ、こちらはラニア。万能型の魔道具で、皆のまとめ役を務めているんです」
「お初にお目にかかります。ラニア、と申します」
「ど、ども……晶子です」
美しいカテーシーを披露するラニアに最低限の礼儀を返さねばと返答すると、ラニアは気味の悪い笑みをより一層深めて嗤う。
「晶子様……美しい御名前ですわ」
まるで獲物を見つけた猛獣のように、ラニアは舌なめずりをして晶子に急接近してきた。紅く染まった爪先が頬を撫ぜ、四対ある目がきゅっと細まると共に、悍ましい臭いが晶子に纏わりついて来る。
瞬間、晶子の全身に怖気が走り鳥肌が立つ。
(こわこわこわこわこわ~!! なっんやあの目!? めちゃ怖なんやけど!? てか、淀みの腐敗臭させてんのはお前かあああああああ!!)
「あ、あはは……光栄です」
今にも鼻を摘まみそうなのを堪え、晶子は引き攣った笑みを浮かべて誤魔化した。
「おぉ~っと! 我々も名乗らねばなりませぬなぁ~! 吾輩はシュトゥルム! シュトゥルム卿と呼ぶことを許可しましょ~う!!」
「Maido Pokupun ya! Yorosyuu Na!!」
「ミスオラージュでございます。ご要望がございましたら、何なりとお申し付け下さいませ」
(う~ん、自己紹介も個性的……嬉しいような、めんどくさいような……)
三銃士の名乗りに苦笑を零しながらも、ラニアへの警戒は解かずにいた。そんな晶子の態度を分かっているのかいないのか、ラニアは温度の感じない微笑みを浮かべ続けている。
(にしても……えぇ……? ホントにどちら様?? ラニアなんてキャラはいなかったっしょ……てかくっさい淀みを纏ってるわりに、なんで敵意を感じないんだ?? ゲームの時、黒幕は敵意増しましだったと思うんだけど……ラニア、あたしが来た事に喜んでない??)
ラニアから向けられる不可解な感情に首を傾げていると、突然、ポクプンとミスオラージュに腕を引かれる。
「わわっ、なに!?」
「さぁさぁ~! 挨拶もそこそこに、早速行きましょ~か!!」
「Ikimasse!!」
「参りましょう」
「どこに!?」
困惑する晶子の背を押すミスオラージュに問いかければ、いつの間にか一人離れた所に居たラニアがこう答えた。
「我等が愛する魔導人形、この施設の動力源にして女神に愛された少女。ゼファーの元へですよ」
怪しく蠱惑的に笑うラニアに晶子は怪訝な顔をするも、魔道具達の力が強い事もあって大人しく連れて行かれるしか無かった。
次回更新は、10/17(金)予定です。




