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22話 新たな伝統魔法でラピスちゃんを捜索しよう

日本の長い歴史の中でも、魂を呼び寄せる伝統で有名なのが、[イタコによる口寄せ]だ。東北地方北部が有名で、昔はテレビ番組とかでよく紹介されていた。私自身も小学5年生の夏休みに、イタコの伝統を知るため、恐山近辺に家族旅行も兼ねて行ったことがある。あの時点では家族も健在であったため、口寄せの体験をしていないけど、取材で双方の許可を得てから、イタコへの感謝の手紙をいくつか読んだ限り、口寄せの力は本物だと思った。


「日本伝統の[口寄せ]ですか。魔法のない世界で指定された人物の魂を呼び寄せるのであれば、それは紛れもなく本物で、かなり強力な力ですね。今から、ユミルがそれを魔法として作るのですか?」


「はい。スキル[プログラム]を基に組み立てていけば、私の望む伝統魔法を作れるはずです。今からやってみますね」


・日本伝統[イタコによる口寄せ]

・私が主導となって、術を起動する

・この世界には、魔力の本流とされる地脈が大地の奥深くにあり、それが全世界を駆け巡っている。私の魔力の糸をその血脈にまで伸ばし接続して、リアテイル様が私を経由して、我が子に語りかけていく。

・呼びかけに反応があれば、すぐに語りかけ1本の魔力ラインを形成させる。

・そのラインを通じて、ラピスちゃんをこの地に召喚させる

・トーイも力を貸してくれるので、ラピスちゃんが敵に襲われないよう、口寄せ中は、エレメンタルスキル[反射]によるシールドを形成させて、敵を跳ね返す。


うん、素体としては、こんなところかな。

問題は消費魔力だけど、私はこの世界の魔法体系を知らないから、ここはスキルに任せよう。この素体を基にして、計算してくれると思う。


これを、伝統魔法へ組み込む。


NEW 伝統魔法[口寄せの儀]


効果

発動者自らがイタコとなって、口寄せを行い、目的の魂を自分のもとへと呼び寄せることができる。理論上、世界中に漂う魂であれば召喚可能だが、発動者または協力者との絆の深さ次第で、召喚されない場合もある。黄泉の国にいる魂も呼び出せるが、現世での滞在期間は15分である。


詠唱:口寄せの儀、始めます

消費魔力:500


儀式に必要なもの

①呼び寄せたい者の血縁者

②呼び寄せたい者との関係性を指し示す絆の深さ

→深ければ深いほど強力な力となって、探索能力を向上させ、容易に口寄せが可能となる。

③エレメントスキル[反射]→口寄せ中、悪意を反射させ、余計な侵入を拒める

④協力者→発動者の身体に触れることで、口寄せに関与する探知能力などの力を向上させることが可能。


やった!!

1日1回が限界だけど、これでラピスちゃんを探し出せる!!


私は、リアテイル様とトーイと協力してプログラムを立ち上げ、それを伝統魔法[口寄せ]として昇華させたけど、皆の力を借りても、私自身の消費魔力量は500もあるんだ。転生特典時に貰ったものと違い、消費魔力量が明らかに多い。今後、伝統魔法を作る際は、前もって消費魔力量をプログラムに入れた方がいいね。制作不可なら、前もって教えてくれるはずだ。


「できました!!」


これで、次の段階に進める。


「ユミル、今後魔法の組み立てに関しては、あなたの事情に精通している人の前だけで実行しなさい」


「どうしてですか?」


リアテイル様が、真剣な眼差しとなって、私に語りかけてくる。

突然、どうしたのかな?


「あなたの魔法構築速度が、あまりにも驚異的だからです。この世界の魔法体系で新規魔法を作り上げたい場合、魔法に呼応する職業とその専門スキルを磨き、長期の研鑽を積むことで、初めて作成可能になります。今のこの世界で、魔法を新規作成できる者は極少数しかいませんし、貴方ほどの速度で新規魔法を発案し構築させる者は、この世にいないでしょう」


そうなると、人前で披露して簡単に作り上げたら、間違いなく注目されるし、王族貴族にも狙われる。既に、一度だけ披露しているけど大丈夫かな? あの捕縛されたメイドさんには、『魔法を今から作ります』と言ってないし、披露しただけで終わってるから問題ないと思うけど、少し気になる。


「わかりました。人前では、魔法を作成しません」


私の場合、伝統に関わる魔法であれば、色々なアレンジを施せるから、作成範囲も幅広いと思う。気をつける点は、伝統魔法必須な状況下であっても、人前で魔法を作ると発言してはいけないこと、そしてその場で作らないことだ。


「それじゃあ、早速使用しますね」

「ええ、お願いします。ただ、気になるのは、呼び出せる時間なのですが、日本のイタコたちはどの程度の時間を要しているのでしょう?」


「う~ん、そこは人によって違いますね」


というか、テレビだと編集しているから、一瞬で霊魂を呼び出しているように見えるけど、取材した限りでは、人によって違いますと言われた。もう一つ重要なのは、依頼された人物と呼び出す霊魂との絆の深さも重要と言っていたかな。日本だと、霊魂がどこにいるのかも不明だけど、きちんと探し出せているのだから、それだけ強力な力なのだと思う。それらを説明すると、リアテイル様も納得してくれた。


「わかりました。補助する私が、どれだけ我が子を愛しているのかが鍵のようですね。私があなたの身体に触れ、我が子ラピスを愛情持って呼び掛けましょう」


リアテイル様の子供ラピスちゃんの捜索開始だ!!



○○○



私が女神像のある祭壇で祈りを捧げ、口寄せを開始する。


トーイは自分の右手を私の左肩に置き、口寄せする際の悪意を反射で寄せ付けないようフォローする。


リアテイル様は自分の左手を私の右肩に置き、世界の何処かにいるラピスちゃんを私と共に見つけ出すため、必死に祈る役目を担う。


『ラピス、ラピス、何処にいるの? ママの呼び掛けに応えて…お願いよ、ママはあなたをずっと探しているの』


発動させてからずっと懸命に祈っているけど、ラピスちゃんはリアテイル様の呼び掛けに応えてくれない。


どうして、お母さんの呼び掛けに応えてくれないの?

1年以上彷徨い続けていれば、相当心細いはずだ。


それに、この子は何の知識もない……あ、そうか!!


まだ、生まれてもいないのだから、ラピスちゃん側から見れば、自分の名前も知らないし、声だけで母親と言われても信じられるわけがない。いきなり声が聞こえても、不気味に感じるだけだ!!


「リアテイル様、私に考えがありますので、祈りを中断してください」

「わ…わかりました」


呼び掛けに応えてくれないせいで、彼女の顔には絶望に染まりつつある。


「トーイ、ラピスちゃんの魂って、どんな形なの?」

「形? 現世に降りたばかりの魂は、何色にも染まっていないから、純粋無垢な白だよ。生まれてもいないから、ただの小さな球のはずだ」


その状態で、1年以上も世界を漂流しているのか。

自分の形すらも、理解していない可能性があるよね。


「ありがとう」


ラピスちゃんだけでなく、不特定多数の魂に訴えているかのような話し方をしよう。あの子本人だけに聞こえているとわかれば、余計に不信感を抱いて、きっと声に応えてくれない。


少し間を空けてから、私はラピスちゃんに祈り始める。


『私の声を聞けている方はいますか? 私は、ユミルって言います。今、ある魂を探しているの。その子は母親へ通じる道を歩いている途中、周囲に見える景色に見惚れちゃったせいで、迷子になってしまったの。もう1年くらい前の出来事なんだけど、今言った内容で、該当する人はいますか? 該当する方は、自分の名前も知らず、思い出自体も持っていないから戸惑っているはずです。どうか、応答してください』


上手くいくかな?


『そ…れ…僕かも?』


口寄せを始めてから、どれくらいの時間が経過したのかわからないけど、ラピスちゃんがやっと応答してくれた。リアテイル様にも聞こえたようで、何か喋ろうとしたけど、トーイが無言で何も言わないよう訴えている。


『あなたは、自分の名前も知らないの?』

『うん、わからない。お姉ちゃん、僕のことを知っているの?』


『勿論、知ってるよ。私の横には、あなたのお母さんだっているもの。お母さんは必死になって、あなたを探しているわ』


『僕のお母さん?』


『私もお母さんも、あなたの味方だよ』


焦ったらダメだ。

相手の気持ちを考えよう。

優しく語り、ここは怖くないよとアピールするんだ。


『居心地の良い声だ…寂しかった…誰も僕を受け入れてくれない』


声のトーンははっきりしているけど、何だか様子がおかしい。


『もっと、早くに君の…声を…聞きたかった…もう虐められるのは嫌だ。何処に行っても、皆が僕を虐める…もう歩きたくない…疲れた…もう…もう』


あれ? 声が急に途切れた。

なんで?

あ、せっかく繋がったパスがどんどん細くなっていくのを感じる!!

トーイとリアテイル様を見ると、絶望的な表情を浮かべている。


「そんな…あの子の魂としての存在が消えかけているんだわ!!」

「え!? トーイ、魂だから死なないのでは?」


「魂だって、不死と言うわけじゃない。魂の中にある意志自体が、自分の存在を完全否定したくなるほどの負の気持ちに陥ってしまうと、力が段々と衰弱していき、やがてふっと消えてしまうんだ。あの子は何の経験も重ねていない未成熟な魂、悪い魂に見つかり虐められ続けたせいで、自分の存在価値を無くしつつあるんだ。このままだと、近日中に消滅する可能性が高い」


危機的事態だよ!!

もう、相手の許可なんて待っていられない。

でも、無理矢理ここへ召喚させたら、ショックで消滅する可能性もある。

どうやって助ければいいの?


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