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2話 魔法の覚醒

【1回目の転生特典が発動されました。下記項目から、自分の望むスキルか魔法を3分以内で1つ選んで下さい】


①スキル【経験値×10倍】→戦闘で得られる経験値が通常の10倍

②伝統魔法1個入手+転生特典2回追加

→数ある日本伝統から、自分の悩みを解消させるものを魔法化させる


突然、変な画面が現れた。

この中から選ぶの?


【あと2分】


ちょっと待って!

2分で決められないよ!

トーイに相談する暇もない!


今の環境と年齢を考慮すれば、①が正解だと思うけど、トーイだっているから切り抜けられる気もする。


【あと1分。選択しない場合、特典自体が全て消滅します】


あと1分!

私の悩みを解決させる日本伝統って何?

もしかして家族のこと?

え~い、決めた!

自分のことよりも、家族が大事だよ!

②を選択します。


【伝統魔法を1個入手しました。今の環境を顧みて、伝統魔法[御霊送りの儀]が限定的に使用可能となりました。行使するには、カーバンクルの力が必要です】


この名称、似たような儀式が日本の神道とかにあった。


「ユミル、どうしたの? 気持ちもわかるけど、早くここを離れよう」


家族の方を見ている私を見て、トーイが心配してくれている。


「トーイ、私の目の前に大きな画面が、急に出現したの。そこに、転生特典の中からどれか一つを選ベって書かれていたから、私は伝統魔法を選んだの。そうしたら、あなたの力を借りれば、伝統魔法[御霊送りの儀]の行使が可能になるって」


「え……」


トーイは、何故か急に黙ってしまった。


「ユミル、君は転生者なんだね?」

「うん、ついさっき前世の記憶を思い出したばかりだけど」


何だろう…トーイの私を見る目つきが変わったような?


[ユミル、とりあえずステータスに表示された[御霊送りの儀]をタップしてみて」

「うん、わかった」


私のステータスに関しては今も表示されているので、言われた通りに[御霊送りの儀]をタップすると、画面が急に切り替わる。


伝統魔法[御霊送りの儀]


効果

亡骸の魂を神のおられる黄泉の国へと送る伝統的な儀式。こういった儀式はこの世界に10通り以上存在するが、この儀式には異世界の神聖な力が含まれるため、どんな悪意にも干渉されず、亡骸の魂を浄化させ、黄泉の国へ導くことができる。儀式に失敗した場合、異空間の安定のため、10日間この魔法を行使できない。


詠唱:只今より御霊送りの儀を執り行います

消費魔力:50


儀式に必要なアイテム類

①御霊前(赤色)と記載した白い封筒(亡骸1体につき1枚) 

②金貨一枚(亡骸1体につき1枚)

③玉串(亡骸1体につき1枚)

④清浄な鏡 

⑤精霊馬

⑥亡骸と鏡を照らす清浄な光 

*亡骸がない場合は魂でも可

⑦エレメンタルスキル[反射]


これ、日本の伝統知識がないと、絶対に出来ないよ。

家族の魂を、黄泉の国へ送りたい。


「トーイ、お願い力を貸して!!」


私はトーイに、先程の転生特典から起きた出来事と、儀式の効果、必要なアイテム類、消費魔力を説明すると、何故か絶句された。


「聖域にまで届いた金色の輝き……まさか、神は僕たちとユミルを出会わせるために

……」


金色の輝き? どういうこと?


「どうやら神様は、僕たちカーバンクル族とユミルを救うため、君に選択権を与えたようだ」


「え、そうなの!?」


「そして、君は正しい選択肢を取った」


神様は、私を見捨ててなかった?

それじゃあ、トーイとの出会いも必然だったの?


「君の願いを叶えるため、僕も手伝おう。伝統魔法を成功させ、君の望む埋葬ができたら、今度は君が僕たちカーバンクルに力を貸してほしい」


この魔法が成功したら、家族の亡骸はそのまま放置することになるけど、魂だけは確実に神様のいる天国へ行かせることができる。今の私にとって、トーイは命の恩人だ。私の願いが叶ったら、今度は、私がカーバンクルの力になってあげたい。


「恩人だもん、勿論だよ!」

「神よ、この出会いに感謝します」

「神様、トーイと出会わせてくれてありがとう」


いつまでも悲しんでいたら、みんなに笑われる。

絶対、儀式を成功させるんだ!


「ユミル、君はとびきり優秀な精霊術師の才能を持っている。それも、精霊とタッグを組むことで初めて行使できるオリジナル魔法付きだ」


私の知らない言葉が出てきた。

精霊術師って何だろう?


「君は、異世界の知識を持つ転生者だ。オリジナル魔法は、この世界に存在しない知識と融合することで生じるものなんだ。おそらく、前世の君自身が、住んでいた国の伝統と深く関っているんじゃないかな?」


伝統……そういえば、小学生の頃から日本の様々な伝統や迷信に興味があったから、それをレポートにまとめて提出したら、先生にほめられたっけ。それ以降、ネットサーフィンで伝統や迷信を調査して、かなり詳しくなったんだ。それをトーイに説明すると…


「基本、神は地上に干渉できない。でも、君の居場所を金色の輝きで僕たちに知らせ、君の持つ伝統知識を基に魔法を作り上げ、君に進呈したのさ。全ては、カーバンクル族と君を救うためにね」


そっか、神様は私を見ていてくれたんだ。それなら、私はその思いを無駄にしたくない。この魔法を成功させれば、家族の肉体は魔物に食べられちゃうけど、魂を天国へと導き救済させることができる。


「有意義に使うね。早速、儀式に必要なものを現場から漁ってくる」

「漁るって…君、肝が据わっているね。それじゃあ探しやすいよう、周囲に反射のシールドを張ろう」


「ありがとう」


トーイがシールドを張ってくれたおかげで、転落現場も雨に当たらなくなった。私は苦笑いを浮かべ、家族のいる現場へ戻る。


この儀式を行使できれば、今世の家族と最後のお別れになる。

黄泉の国へ行く家族を不安にさせちゃいけない。

今の時間がわからないから、太陽が沈まないうちに、早く行動に移そう。


白い封筒と赤いペンは……あった!


この中から比較的濡れていないものを選んで、[御霊前]と書いて、それぞれの遺体に置いていく。鏡も見つけたし、精霊馬に必要な那須とキュウリも散乱している食材の中にあった。説明欄には、亡骸に動物がいる場合は、魂を精霊馬に移すこともできると書かれていたから、この子たちもきちんと黄泉の国へ送ることができる。


あとは、玉串だ。


「トーイ、玉串か榊っていう木はあるかな?」

「榊なら、君の目の前にいっぱい自生しているじゃないか」


あ、周囲の木々が全部榊なんだ。 

残る材料は、[清浄な光]の一つだけだ。


「最後の一つ、清浄な光がまだだけど? 君は、光魔法を使えるのかい?」

「ううん、使えない」


おかしいな。

これって晴れていた場合は、どうなるの?

[亡骸を照らす]となっているから、光魔法が必要なのかな?


カーバンクルの助けを借りれば、今の私でも行使可能となっているから、多分魔法による光じゃない。


私は空を見上げる。

薄暗いけど、積乱雲よりも高い位置は、まだ明るいはずだ。

反射を使うとしたら、きっとここだよ。


「トーイ、あなたの力は[反射]なんだよね?」

「そうだよ」

「それなら、上空にある太陽の光を反射で集約させて、それを亡骸やこの手鏡に当てて欲しい」


光を集約させれば、分厚い積乱雲だって突き抜けることができるはずだよ。


「なるほど、考えたね。太陽の光は、半永久的に変わることのない清浄なものだ」


これで、全てのアイテムが揃った。


まずは、3人の亡骸を仰向けにして、平行に並べてから両手をおへその上に置いてあげよう。


「ふぬ~~ぬあ~~」


お兄様の亡骸を動かそうとしたけど、ビクともしなかった。


「何やってるの?」

「亡骸を綺麗に並べようと」

「気持ちはわかるけど4歳の身体じゃあ、どうやっても無理だよ」


そうだ。今の私は4歳の幼児だ。

こんな小さな手足じゃあ、運べるわけないよ。

仕方ない、このまま儀式を行おう。


手順に関しては、不思議と私の頭の中に入っているけど、異世界のせいか、私の知る日本のものと違うし、儀式自体にも何故かお盆で使用する精霊馬が使われている。


亡骸の前に、玉串を1本ずつ地面に刺していく。トーイは、那須とキュウリに、それぞれ4本の葉のない小さな榊の枝を刺し、精霊馬に見立てているものを観察して、頻繁に首を傾げているけど、日本のお盆で使用されるご先祖様を送迎するものは、これで合っているはずだ。荷物の中には財布もあったから、そこから人数分の金貨を取り出して、御霊前と書いた封筒の中に入れ、それぞれの亡骸に置く。


次は、トーイのシールド範囲内に私の魔力を……


「トーイ、魔力の扱い方を教えて」


「あらら、4歳の幼女が知るわけないよね。いいよ、僕が儀式を発動させるのに必要な[魔力循環]と[魔力制御]を教えてあげる」


「ありがとう」


お父様、お母様、お兄様、待っててね。

必ず儀式を発動させるからね。


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