7.初・スーパーマーケット
「おい、起きろ」
「もうちょっとー。マリー、まだー」
俺は布団をひっぺがした。
「お兄様、寒い。あ、おはようございます」
「ああ、おはよう。今日はお前が行きたがっていたスーパーマーケットに行くぞ。さっさと行く準備をしろ」
「侍女はおりませんの?」
「自分のことくらい自分でしろ!」
今日一日こいつの世話かぁ。……疲れるな
「お兄様。これはなんて破廉恥なの?この服を用意したのはあの‘女将さん’て女よね?膝がチラチラ見えてしまう」
「おー、普通に馴染んでるじゃねーか。お兄様じゃなくて『お兄ちゃん』な!」
また女将さんの悪口かよ。しょうもないな。こっちに適応しようとする意志はあるのか?
「あ、スカートの丈だけど。それ長いほうだからな」とだけ俺は言っておいた。
スーパーマーケットにて、
「あの押すやつはなんですの?」
「手が疲れないようにだな。俺は疲れるほど買い物しないから、必要ない」
「アラ、このあいだの男前なお兄ちゃん!隣にいるのは妹さんかい?似てるね~」
「お兄様に馴れ馴れしい。この平民が!」
俺はもうウンザリしてきた。
「ソフィ、お前はもう黙れ」
「妹が申し訳ありません。今日ってなんか特売ありましたっけ?」
「お兄ちゃんが見逃すなんて!今日は冷凍餃子が特売よ」
ふむ。冷凍餃子か……。賄いがない時の調理に便利なんだよな。
「ひとつ買っておくか」
あとはお遣いで小麦粉1キロと卵を30個(3パック)だったな。俺はお遣いの品をひょいひょいとカゴに入れていった。――聞いたことがある声が聞こえる。聞きたくないけど、聞くか。
「ここからここまでを全部お願い」
はぁ?スーパーマーケットでそんな買い方するやついねーよ。
「すいません。こいつの冗談です。今、こいつの中でお嬢様ごっこが流行ってるんです。ほら、お前も頭下げろ!」
「何言ってるんです?王族が簡単に頭を下げるわけないでしょう?」
「ハハハ。設定が王族のようで。重ね重ね申し訳ありません!」
俺が頭を下げた。ソフィが目を瞠るけど、それだけの事をお前はしでかしたんだよ!
「すいませんでした」
俺は再び謝り、頭を抱えた。
「ソフィ、勝手に動くな。勝手に話し出すな。いいな!」
ソフィはコクコクと頷いた。はぁ、一安心。
あとはせっかくだから、向こうの世界への土産を買おう。
プチプラ化粧品にラップ・ポリ袋各種・石鹸・洗剤ってとこだな。父上のリクエストにこたえると俺の身が危ないからやめよう。母上に攻撃される。怖い。
あとは会計に行くだけだ。
レジで言わるた金額を支払い、マイバックに品物を入れていった。
「戻りましたー」
「何だかお疲れみたいだね」
「まぁ色々あって……。ソフィが暴走して俺が謝罪して」
俺はお遣いの品を渡したのち、店に出る準備をした。
「ソフィは部屋で休んでろ!」