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1.俺の日常 

な、なんてことだ!?こんなことがあっていいんだろうか?

 スーパーマーケットの卵が98円……。おひとり様1パック限り。という事は俺は1パックしか買えないのか……。しかし、98円……。などと考えていると……。

「お兄ちゃん、考え事してたら売り切れちゃうよ!アラ?男前ね。私がキープしていた分をお兄ちゃんにあげちゃう!」

 どっかのおばさんが俺のカゴに卵(激安)を入れてくれた。

「お兄ちゃんこの後もここで買い物?」

「はい、えーと。精肉・鮮魚。あと冷凍食品とか?」

「アラ大変。早く行かないと売り切れちゃうわよ。考え事してる暇はないわ。スーパーマーケットでの“お買い得の日”は戦争よ」

 俺はその言葉に従い、精肉・鮮魚などの売り場でほしいものを手に入れた。あぁ、そうだ、家族にもなんか買った方がいいだろうなぁ。安いうちに買っておこう。



「大将!女将さん!戻りました!」

「はい、おかえりなさい。欲しいものは買えたのかい?」

「はい、スーパーマーケットでの安売りの日のコツを教えてもらいながら。安いうちに家族にもちょっとしたものを買いました!」

「おやおや、それは常温保存で大丈夫なものかい?」

「はい。チープな化粧品を少々、サランラップとか、洗剤とか石鹸とか。化粧品は家族ですけど、洗剤とかが侍女に好評なんですよ!」

「そうなのかい。それはよかった。もうすぐ開店だよ、準備しといで」

「はい!」


 俺は異世界では王族をしている。何故ここにいるかというと、王族(男子)は代々こっちに来るらしい。しかも出張のような…。



「いらっしゃいませー。何名様ですか?」

 俺はお決まりの台詞で応対。

「えーっとぉ。2名なんですけど、いいですかぁ?」

「2名入ります!」

(ねっとりしたしゃべり方がウザいな。でも仕事仕事!)

「ねー、お兄さん。名前何て言うの?」

「ネームプレートに書いてあります。オーダーを聞いてもよろしいでしょうか?」

「んもうっ!とりあえず生っ2つ」

「お通しはこちらになりますが、お料理の方はどうします?」

「んー、あんまりわかんないから、お兄さんのオススメにしようかな?」

「当店で一番値が張りますよ?」

 流石にひいた。酔っていたら酔いも醒めただろう。

「じゃあ、大将の日替わりを2つお願いしようかな?」

「大将!日替わり2つ入りました!」

「あいよっ」

 なんで返事が女将さんなんだろう?

 

ここは俺にとっては天国だ。賄いは絶品だし。朝食もつく。昼食は自炊しなきゃいけないが、ここの2階に居候でミニキッチンが付いている。昼食も大将の指導が入る。今は大分俺が作れるようになったけど、当初はほぼ昼食も大将が作っていたようなものだ。夕食は賄いで旨い。朝食も残りをアレンジしたらしい。俺にはわからないがうまい。なにより、飯が温かいのがいい!

 王宮だと毒見に毒見を重ねて、俺が口にする頃には冷えてるし…。王宮にはないコメっていうのもいいよなぁ。ウットリとしてしまう。


「お兄さーん」

 ん?俺が呼ばれたのか…。

「お兄さんの名前、教えてよ!」

 俺はネームプレートを見せた。

「えーと、瀬名瑠偉?かっこいい名前ね。でも、ぜんぜん名前負けしてない」

「恐れ入ります」

「ねーえぇ?店が終わったら外で待ってるから、付き合って?」

「俺は店が終わっても店の外に出ませんし、この店はそういう店ではなく純粋に大将の料理を楽しむ店です。目的が俺ならば、帰ってください」

「SNSに書き込んでもいいんだ?『客を蔑ろにする店』って」

「それは脅迫と受け止めてもいいんでしょうか?」

 俺は女将さんに持たされていた小型のボイスレコーダーを見せると、彼女たちは顔を青くして店をでようとした。

「ダメですよ。ちゃんと料金は払って帰ってください。帰るならね」

 俺は入り口を立ちふさぎながら言った。彼女らは「迷惑料よ!」と捨て台詞(?)を残して帰っていった。3万円也ー。

「おーい、この2人前の日替わりどうする?」

「もしよければ、俺がいただきます!」

「そうだねぇ、あったかいうちに召し上がれ!」


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