現実と夢とがクロスする
初投稿なので、書き方や誤字があるかもしれませんがもし良ければ読んでください。どうか是非最後まで!!
「私大きくなったら快斗のお嫁さんにいくね」
「約束だよ!!」
だがその約束が現実で叶うことはなかった。
数10年後
「あれから10年か」
と溜息をつきながらお墓の前に手を合わした。俺はあの日なにもする事が出来なかった、唯一手の中にあったのは段々と体温が下がっていく萌香の体だけだった。
10年前 8月29日それは世界でも累をみない大きな地震だった。三重県沖マグニチュード9.6最大震度7最高で30m弱の津波が押し寄せた。死者数は50万人を越え日本の経済に大きな打撃を与えた。
「よおー快斗夏休みの宿題終わったか?」
うぇだりーまた来たぜこいつ何年も何年も俺の夏休みの宿題映しやがって!!
「あー終わったよ今年ぐらいは自分でやれよ」
「いやー悪いね俺ってば人気者で夏休みは忙しいんだよ」
と何の悪びれもなく笑っているのは俺の小学生からの親友の宮澤颯泰だ。こんなやつだがあの災害で荒んだ俺にずっと話しかけてくれたいいやつなのだ。
「ジュース一本貸しな」
「りょーかーい、あのさこのクラスに転校生が来るらしいんだぜ」
「転校生?このクラスに?」
「ああそうだぜ、なんでもめっちゃ色白で可愛いって噂なんだぜ」
「興味ねえーよ、それにもう現実で親しい人は……」
俺はあの災害で心に誓ったのだ、もう親しい人はあまり作らなと。ましては恋人なんて、もう2度と味わいたくないのだ大好きだった人が自分の元からいなくなるなんて。だから現実で彼女は作らない。
「そうか」
と颯泰は何かを察したように少し寂しげな言葉でそう言った。
ガラガラ
「お前らさっさと先につけ、チャイムが聞こえなかったのか」
ザワザワ
「先生ーこのクラスに転校生が来るってほんとですか?」
「今は言えん、ほら校長の話始まるぞ前のプロジェクター見ろ」
ふーやっとホームルームが始まる校長のクソみたいな話を適当に聞き流して、さっさと帰ろう。
「皆さん夏休みはどうでしたか、楽しめたでしょうか、高校生なので節度を持って過ごしたと信じんています。ところで今日は何の日か知っていますか?そうです、あの大きな地震があった日です。ここから近畿地方は遠い場所に………………………以上で話を終わります」
「校長の話なげーよ、どんだけしゃべんだよあのハゲ」
「こら、そこそんなこと言うんじゃねーよ」
「それって先生が最近薄毛に悩んでるからですかー?」
「はぁもういい、その話は終わりだ。お前ら朗報だ何故か知らんが噂にも出ているよーにうちのクラスに明日転校生がやってきます。訳あって今日は来れないがまた明日紹介するからよろしくな以上、解散」
やっと帰れる。流石にもう慣れてきたけどあんなに長々と過去のトラウマの話をされたら気が滅入るぜ。
「快斗大丈夫か?話の途中苦しそうだったけど」
「ああ、なんとか。それよりどこか寄っていこーぜ」
「お!いいねーマックでも行くか」
「了解、ポテト奢ってくれ」
それからゲーセンなどにも行き家に着いた時には10時を回っていた。
「ただいま、父さん、母さん」
まぁ返事が返ってくるわけないか両親はあの時に…
やめだやめだ新学期そうそうこんな辛気臭いこと考えるのはさっさと寝よう。
「快斗起きてってば」
「悪い萌香寝ちゃってたか?」
「うん、現実世界の意識がまだ夢の中に上手く来れなかったみたいだね」
「みたいだね」
先に説明しておくと、ここはあの世という場所ではない、ここは俺の夢の中の世界なのだ。あの災害があった直後から萌香は俺の夢に出てき始めたのだ。いわば夢の中の住人となり、あの約束を果たしにきてくれたのだ。
「あれから10年だったがどう?そっちの世界は」
と萌香が興味と申し訳なさ半分で聞いてくる。
「俺自身の心の傷はまだ完治してないし、俺たちの地元もまだ復旧が終わってないみたいなんだ」
そう心の傷は完治してないのだ。俺は時々思ってしまうのだ。これは、幻覚なんじゃないのかと、心の病気なんじゃないのかと。
「でも、わりかし楽しくやってるよ」
と笑って言った。出来る限りあまり心配をかけたくなかったから。
「そう、ならよかったよ」
「うん。それより明日さうちのクラスに転校生が来るんだ!それも可愛いって噂の」
「なに?不倫ですかー?」
と悪戯げに笑いながら聞いてくる。
「そうなるかもな!俺のタイプだったら」
俺も同じようにイジワルに言ってやった。すると萌香がほっぺを含ませながら言った。
「いいもーんだ」
その仕草と言い方がとても可愛らしかった。現実世界ではまず満たされる事のない『愛情』というものだった。
「冗談だよ、俺が萌香以外の女性を好きになるはずないよ」
今度は真面目に目を見て言ってやった。すると意外だったのか、段々と顔がカーっと赤くなっていった。それから
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
と声にならない悲鳴を漏らした。
「もうバカ、また私の事からかって!」
「仕方ないだろ、可愛いいんだから!!」
俺はこの点においては世界の誰であろうと譲る事のできない事だ。出来る事なら『俺の嫁は世界一だぜ』ってエベレストの頂点から叫びたいレベルでな。
「ふふ、本当に楽しそうだね」
萌香はまるで我が子にでも向けるような暖かい笑顔でそう言った。
「そうだな、萌香が現実にはいないから随分と寂しいけれど楽しくやってるよ!本当に」
心からの言葉であった。何度妄想したことか、俺があの時に萌香を救えていたら現実世界はもっと楽しく過ごせたのにと。でも実際はそうはいかない。死んだ人は生き返らないのだ。そんな人がどんなに大切な人であっても。だから生きている間にしっかりと感謝や気持ちは伝えといた方がいいと思う。その人がいなくならないうちに。この事は唯一あの災害が俺に教えてくれた教訓なのなだ。『大切な人は明日にでも自分の側からいなくなる』
「そっかなら良し。今日ゲーセン行ったんだよね!私とも行こうよ」
萌香は言いながら指を勢いよく『パッチーン』と鳴らし夢の中をゲームサンタに変えた。
「久しぶりにこれやろうよ。子供の頃によくやったマ○オカート」
「いいなそれ。俺が強かったの忘れたか?」
「いや、私の方が強かったよ」
「まじ?ならここで決めようやどっちがツエーかよ!!」
「なん……だと……」
負けた。ボロ負けだ、それにラスト萌香のやつ手を抜いてただろ。こっちにチラチラ『遅くねーか』ってレス送ってきやがったし。ちょっかいかけて来たし。
「ふふーん。やっぱり私の方が強かったでしょ。」
ケラケラと笑いながらに言ってくる。
「ほら、次あれやるよ!!」
手を引っ張りながらケラケラと笑う。あぁ本当に幸せだ、こんな時間がずっと続けばいいのに。そしたら心から幸せだって言える。
楽しい時間はすぐ去るもので、段々と意識が現実に戻ろうとしていた。
「そろそろ、意識があっちに行きそうだね」
「ああ、かなりクラクラするよ」
現実世界に意識が戻る時、いつも目眩みたいにクラクラする。これマジで気持ち悪いから、どうにかならない物なんですかねといつも思う。
「じゃおやすみ。また夢見てね!」
「おう」
次の瞬間意識が切れた。
「ピピピー」
あん、もう朝か学校行かねーとなダルゥ。なんで日本の夏休みはこんなに短いんだよ、アメリカ見習えよ、アメリカ。あそこ2ヶ月もあるんだぜ。しかも今から朝飯も作らねーと。よし動くか。
「おはよ。母さん、父さん」
遺影の前で言った。今日から授業とバイト生活か、キツいな。でも俺は保護者はいるが両親はいない。だから自分でお金を稼がないと、より多く、そしてさっさと独立する。しかし、大学に行かないという訳には行かないので、勉強はそこそこ頑張っている。何故かって高卒で雇ってくれるとこなんて中々ないんだよ。今の日本には。少なくとも大学の卒業認定は取っとかないと。それより転校生って一体どんな子なんだろう?萌香や颯泰の前では興味ないって言ったが、どんな子なのかは気になる。人間関係でといった話でた。やばちょっと時間かけすぎた、急いで出ないと。
「いってきまーす」
鍵をかけ歩いて学校を目指した。
どうでしたでしょうか?面白かったですか?少しでも興味をそそられたら次の話を読んでください!!
読んでいる時に、あなたの好きな女の子が頭の中によぎったら私の勝ちです。
次話からは、転校生、香奈という女の子が出てきます。この子にもいろいろと訳があるので続きを読んでください。ここまで読んでいただきありがとうございました!!!