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6月19日の喫茶『発明所』・・・
聞くところによると、代金、お金の代わりになる証明は、先に提示してほしいらしい。言われた通り、ワンピース店員にスキャンしてもらって、いつもの席に着いた。
的林「はぁ~」
白髪店員「ご注文を承ります。」
的林「・・・う~ん。」
店員「お悩みですか?」
的林「えぇ、まぁ・・・」
店員「でしたら、気分転換に店長お勧めの、蜂蜜ミルクティなどはいかがでしょう?」
的林「ん?蜂蜜?」
店員「はい。甘いものは頭の回転を良くすると聞きますし、蜂蜜は砂糖と違って老化を抑えたり、脂肪を燃焼しやすくしてくれたりと、とても良いんですよ。」
的林「はぁ、ではそれで。」
店員「承りました。」
彼は厨房に入っていった。そして緑の店員に渡したのだろう。少し待って、緑の店員が品を運んで来た。
店員「どうぞ、」
的林「あの、貴方達の名前は何ですか?」
店員「は、はい。私は得穂 作。とくほは稲穂の穂を得ると書き、つくるは簡単な方の一文字で作です。」
的林「得穂 作さんですね。それから~」
作「はい?」
的林「いえ、他の店員さんはなんですか?」
作「それは・・・教えれません。自分で聞いてください。」
的林「え?あ、はい。」
私は気持ちを落ち着かせるため、出された品を飲んだ。
作「それで、どうしたんですか?」
的林「はい?」
作「いや、いきなり人の名前を聞いてきたりして・・・」
的林「あ~私、この際、日記を書いてみようと思いまして。それに書く貴方達のことを色で表すのは失礼かなと・・・」
作「あ、そうだったんですか。これはどうも。」
的林「いえいえ。」
あれ?話す内容を忘れたかな?
的林「す~つ~」
作「ん?どうしました?」
的林「いえ、少し考え事を。」
作「悩み事ですか?良いですね~私達も悩むことで新しい路を切り開くことが出来ますから。」
切り開く・・・
的林「思い出しました。近頃この辺りで天文台が次々と建っているのは知っていますか?」
作「あ~性能が従来の9倍はあるとか・・・」
的林「はい。それで、うちがその候補地になったんです。」
作「貴方の家ですか?」
的林「いえ、銀行です。ですから立ち退き~なんて・・・」
作「立ち退き?どうやるんですか?」
的林「え?うちにはあまり貯蓄が・・・ん?あ、要らないんでした。」
作「そうですよね~要らないんだったらどうするんですかね~」
的林「要らなくなるまで待つとか。」
作「しかし貴方のところは銀行。要らなくなることは・・・」
的林「何言っているんですか?この前も言いましたが3ヵ月後にはもう・・・」
作「いや、4年後には必要なんでしょう。」
的林「そう言えば、4年後4年後って一体なんなんですか?詳しく聞かせてください。」
作「詳しく、ね~ 信頼の違いですよ。」
的林「また信頼ですか。」
作「お~お金の信頼が、貴方のように消えない人間が増えて、戻ってくるからです。」
的林「お金の信頼が戻って増えるから、銀行が滅びないんですね。」
作「残念なことに。」
的林「はい。」
作「このままでは、この社会が、またお金にしがみついてしまうと思っています。」
この前からこの人の熱弁を聞きまくっている気がする。ここは私が前に進めようと思い、提案した。
的林「そんなに心配なら、議員にでもなれば良いじゃないですか。」
作「し、しかし、貴方は・・・貴方は仕事を無くす身なんですよ?私はあくまで裏からのアドバイザーでありたいんです。そして私は・・・貴方に紹介されたい。」
的林「何貫かしているんですか?そんな変な欲望は捨ててください。私は、コンビニのバイトでもしていますから・・・」
作「・・・そうだ。4年間働く場所が無かったら、うちに来ませんか?」
的林「な!・・・何を。」
作「まぁ、来たら教えますかね?でも、今日はもう時間ですし、行った方が良いですよ。」
2時10分前となっていた。
今夜・・・窓から空を眺めると、流れ星が3つ降った。
続く・・・