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第5話 心理だけじゃないカウンセリングで大口顧客ゲット

とんでもない間違いをしました!

別作品を投稿しました。

お許しくださいm(*_ _)m

「相談は基本ネットで受け付けるのね」


スクールカウンセリングが終わったあと、下校までの時間があるときは学校で文乃さんと起業の準備をしている。


「そう。まず最初はそれでアドバイスをして、会う必要が有れば直接会って話す」

「最初の顧客探しが大変ね」

「高校生が起業するだけで地元のニュースにはなるよ。でも、それだけじゃ足りないから、今のうちに実績を作っておく」

「実績?」

「この学園の関係者以外のカウンセリングをするんだよ」

「それで口コミをしてもらうのね」

「うん」

「じゃあ、早速違う学校の友達に連絡してみるね!」

「頼むよ」


何て感じで始めたのだけど…。


「圭祐くん、これ以上無理よね?」

「うん、想定外だった」

「やっぱり『無料』は魅力的なのね」

「まだ起業前だからさ、お金取りにくくって」

「とにかく予約はこれ以上増やさないとして、こんなメールが来てるわよ」

「何?」


『姪が世話になってあなた様のカウンセリングの事を知りました。ぜひ私の相談にも乗ってください アウト・ボックス 中田舞花』


「アウト・ボックス?」

「有名なアパレルブランドよ。特に女子高生に人気があるわ」

「そこの関係者さん?」

「社長さんよ。自分で会社を立ち上げて大きくした有名人」

「起業の大先輩?!」

「そうなるわね」


そんな人が何の相談だろう?

姪御さんを観たことがあるって話だけど…。


「今まで観た人のリストに中田って人は居ないわ」

「姪だから苗字が違うのかもな」


とにかく返事を出してみよう。




メールのやり取りをして、確かにその人は前に観た女子高生の母親の妹、つまり叔母であるとわかった。


そして相談内容は『今後の経営方針について』。


「高校生に聞く内容じゃないわよね?」

「それでも聞きたいくらい困っているんじゃないか?」


ネット占い師の頃は恋愛相談した人の姉や母親が『私もお願いします。聞きたいのは仕事の件ですけど』ってのあったからな。


「日曜日に会ってくるよ」

「私も会いたいな!あのブランド大好きなの!」

「公私混同は駄目だぞ。それに、連れていくのは秘書だ」

「え?メグなの?大丈夫なの?」

「もう何回も一緒に行ってるからな」

「そうかもしれないけど、小学生よね?」

「少なくとも文乃さんよりはしっかりしている」

「えー、ひどーい!」




日曜日。


待ち合わせ場所まで電車で移動する。


特急の指定席に座ってメグと最後の打ち合わせだ。


ちなみに最初は愛美ちゃんと読んでいたのだが、『みなさんにはメグと呼んでほしいです』という本人の希望でそう呼ぶことになった。


「有名人だろ。メグは会うのが楽しみじゃないか?」

「興味がないブランドなので」


とそっけない返事をするメグ。


「でも会社の状況、業績、最近出している商品の事などは覚えてきました。最低限の情報をこのファイルにまとめてありますが、わからないことは聞いてください」

「さすがメグ」


なでなで


「そ、それは仕事がうまくいってからでお願いします」


顔を背けて少し頬を赤らめるメグ。

そういう所は小学生らしい可愛い反応するよな。


今の格好はメグのママから借りたスーツだから、とても小学生に見えないけど。




ようやく目的地に付いた。

アウト・ボックスの1号店だ。

本社は別にあるけど、自宅に近いここで会いたいらしい。




「ようこそ、お越しくださいました」


言葉遣いは丁寧だが、その表情や仕草には一人で会社を立ち上げて大きくした自信のようなものを感じる。


そんな彼女がどんな相談をしてくるのだろうか?


「本当に無料でいいでしょうか?会社の経営方針ですけど」

「起業してから贔屓にしていただいたり、知り合いに紹介してもらえればいいですよ」

「それなら遠慮なく…この会社を売ろうかと思ってるの」


ドドーン!


そんな擬音が聞こえてくるほどの爆弾発言だった。


「業績好調で、今年の新作ももれなくヒットしてますよね?」

「ええ、でももう辞めたくなって」

「理由は?」

「ん、えっと…私もう38なのよ」


見た目は30くらいにしか見えないし、モデルも出来そうな雰囲気なんだけどな。


「ふと気づいたらそろそろ子供を産みにくい歳だなって」

「40までに結婚して子供を作りたいんですか?」

「結婚はしなくていいから、あの子たちに妹か弟を作ってあげたいのよ」


ん?

あの子たちに?


「圭祐さん、先に情報を記入してもらいましょう」


ああ、驚いてすっかり忘れてた。


メグがカバンから書類とペンを取り出してくれる。


前もって依頼人の情報を貰うと話が早いのだが、話す時間が多く取れる時は目の前で記入してもらう方が書いている様子色々な事が読み取れる。


「ここに生年月日と家族構成と…を記入して下さい」


サラサラと記入していくのを見て、その達筆さに驚く。


この書き方からしてかなり潔癖もしくは堅物だけど所々抜けている感じだな。


なんて筆跡からも性格が読み取れたりする。


娘 雪美 高校3年生

娘 七海 中学3年生


受験生二人持ち?


結婚 無し


シングルマザーなのか。


「お子さんのお父さんは?」

「精子バンクだから分からないわ。それとね、私処女なのよ」


は?


「処女のまま出産するとキリストみたいなすごい子供が生まれるかと思ったから、二十歳になってすぐに海外に行って、勝手に人工授精してきたら親から勘当されちゃって」


そりゃそうでしょうね。


「それで生活するために作ったのが今の会社なのよ」


話がぶっ飛び過ぎです。


「メグ、起業のきっかけって」

「『娘たちが大きくなったら有名になった自分のを着せたいから』という情報がありました」

「それは後付けなのよ。とにかく仕事をしたかったのと、縫製とか得意だったから」


なるほどなあ。


「それでね。受験生になったら二人ともピリピリしちゃって、私の事邪険に扱うのよ」

「そうなんですか」

「それで、弟か妹を作ってあげればまた家族の会話が増えるかなって」


発想がいちいち凄いな。

そういう頭じゃないとヒット作は続けられないのかも。


「それで、会社をこのまま売っていいのかなって」

「二人目を産む時は会社をやりながら産んだんですよね?」

「そうよ。だけどね、今度はじっくり育てたいの。だからお仕事辞めて、しっかりじっくり子作りもしてね」

「え」

「…」


直視しなくてもメグが恥ずかしがってるのが分かるぞ。

小6にはちょっと刺激強いだろ。


「体外受精しないのに結婚はしないんですか?」

「だってほら、新しいお父さんと連れ子の関係って難しいでしょ?」


確かにそうだけどね。


「だけど普通の子作りも経験したいのよね」


困った時はカードだな。


彼女が選んだカードは…。

大変失礼致しました。

続けて更新します。

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