第4話 社長専属秘書はJSです
ようやくシングルマザーの娘が登場ですが、ちゃんと高校生とかも出ますからね。
起業するには事務所が必要だ。
そしてそれには丁度良い場所が提供された。
経理をしてくれる綾子さんの自宅だ。
「この部屋とその部屋を自由に使っていいんです?」
「愛美と二人暮らしだから部屋は余っているのよ」
「助かります」
するとドアの向こうからこちらを見ているメガネの女の子に気がついた。
「こんにちは」
「…こんにちは」
無愛想な返事をして向こうに行ってしまったのが愛美ちゃんだろう。
「ごめんなさいね、愛美ったら人見知りで」
「いえ、お構いなく」
「そうだわ!夕ご飯の買い物忘れていたわ!ちょっとここで待っててね」
「手伝いましょうか?」
「そんなに買わないから大丈夫よ。それに慣れているから」
足腰が悪いと言っても杖があれば歩けるくらいだ。
でも、やっぱり手伝いした方が良かったかな?
とか思っていると、いつの間にか部屋に愛美ちゃんが入ってきていた。
「あなたがママの言ってた、一緒に起業する相手?」
「そうだよ」
「あなたもママのこと捨てるの?」
え?
「ママが中学生でメグを妊娠した時、妊娠させた相手が逃げた。メグを生むと決めたとき、ママの両親が見捨てた。そしてこの前はママが会社から捨てられた」
「俺から捨てるようなことは無いよ」
「心理カウンセラーって儲かるの?」
「やり方次第だね。心配?」
「儲からなくてもママを捨てないならいい」
そんなにお母さんのこと心配してるんだ。
「だから、メグも働かせて」
「え?」
「メグがママの足りない分も働くから」
近寄ってくる愛美ちやん。
この子小6にしては背が高いし発育良すぎない?
スタイル的には綾子さんよりずっと大人っぽいかも。
「だからママを捨てないで」
「小6だよね?まだ早いよ」
「だって、ママが不幸なのはメグのせいなの。メグを妊娠したから相手に逃げられて、メグを産んだ時に下半身が不自由になったの。仕事に就けないのもメグが居るせい」
そんなことを考えていたのか。
「じゃあ、ちょっとテストをしてみるね」
「はい」
俺はスマホを操作して愛美ちゃんに見せる。
そこに表示されているのは俺の研究の一部である、カードが示す暗示のデータだ。
「この意味が理解できるかな?あるいは書いてあることを覚えられるか?」
「…とりあえず書いてあることは覚えられます」
すぐ俺にスマホを返してくる愛美ちゃん。
「上から順に、『白うさぎのカード』。暗示は孤独と…で、次に」
少し見ただけなのに画面内の言葉を一字一句間違えずに言えた。
「覚えるだけしかできないけど」
それが凄いこととは気づいてないのか?
「いつも仕事をする時にこのデータを呼び出すのに時間がかかるんだ。でも頭の中に入っているならすぐに探し出せるはずだ」
検索ではまったく同じ言葉しか探せないが、人間の頭の中にあるなら似た意味の言葉で情報を引っ張り出せる。
愛美ちゃんならそれが出来るはずだ。
「愛美ちゃん、うちの会社に雇われてくれない?小6だから見習いみたいなものだけど」
確か働けるのは中学生からなんだよな。
「見習い?ううん、辞めさせられないならいい。捨てられないならいい」
そういう不安が常に付いているんだな。
「大丈夫だよ。愛美ちゃんのことは中学生になったら助手…いや『秘書』として雇うから」
「秘書?!」
秘書という響きは小学生には魅力的だろう。
「そう、社長専属秘書。だから辞めさせないよ」
「秘書だから?」
「うん。愛美ちゃんが必要だから」
「そ、そうなの?メグが必要なの?」
さっきまで無表情だったのに、急に顔を赤くしている。
ちょっと可愛いらしいな。
「これからは愛美ちゃんがママを幸せに出来るんだよ」
「良かった…良かった…」
ポロポロと涙をこぼす愛美ちゃん。
こうして俺は有能で心優しいJSの社長専属秘書を手に入れたのだった。
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