第12話 コール アンド レスポンス
全員出すと登場人物の整理も出来ますね。
そして起業のための『団結式』が始まった。
いきなり俺自身の挨拶からだ。
「…という訳で会社を起こすこととなりましたが、高校生である私にどうか皆さんの力を貸してください」
話す言葉は事前に考えていたけど、大勢の前だと少し緊張するな。
「…この会社を成功させて、私は必ずここに居る皆さんの事を幸せにしてみせます。だから一緒に頑張りましょう!」
あれ?
ここで『おうっ!』とか反応があると思ったけど何でみんな顔が赤いんだ?
何かまずいことでも言ったかな?
話を終えたところで文乃さんがこそっと耳打ちしてくる。
「(小声で)挨拶の言葉って、ネットで拾ったりしたんじゃないの?」
「(小声で)え?自分の言葉で言いたいから、自分で考えたよ」
文乃さん、どうしてため息ついてるの?
やっぱりおかしかったの?!
「次は副社長である桐間綾子さんに挨拶をお願いします」
それでも文乃さんは相変わらずの美声で進行をしてくれている。
「…ですから社長である圭祐さんを支え…え、えっと、一生付いていくつもりです」
ざわっ
ん?さすがに一生は言い過ぎだよな。
ほら、みんな顔を見合わせてるし。
「次にメイド長である萩原奈美先生に挨拶をお願いします」
「先生って言わないで。少し恥ずかしいから」
先生はさすがに人前で話すのは慣れてるよな。
堂々としてる。
「…ですので、自分にできることをやり、会社に貢献したいと思います。そ、それと、圭祐さんが幸せにしてくれるそうなので、わ、私もその気持ちはとても嬉しいので、ふつつかものですが、よ、よろしくお願いします」
ざわざわっ
あれ?
最後で何で急にどもっちゃうのかな?
先生でも緊張するんだな。
○文乃視点○
どうしてこんな『告白と返事』みたいになってるのかな?
圭祐くんってこの会社を私物化する気?
局長の私も最後に話すんだけど、ちゃんと『返事』をしないと取り残されそうね。
べ、別にそこまで気になっている訳じゃないのよ。
同級生として見守る義務のような、恩人に対するお礼のようなものだからね!
って、私、誰に言い訳してるんだろ?
○圭祐視点○
次はメグの挨拶だな。
「…です。そして社長直属秘書として、圭祐さんの一番近くで『女房役』をしっかり勤めたいと思います」
ざわざわっ
おお、まるで野球の投手捕手のように『女房役』をしてくれるんだ。
メグは色々気がつく子だからありがたいな。
あれ?でもすごくうまく話せていたのに、どうして赤くなってるんだろ?
言いたいことを間違えたのかな?
完全記憶力を持っていても間違いとかあるんだな。
次は文乃さんだな。
「…と考えています。また、私の役職は局長ということですが、同じ『局』の字を持つ『春日局』のように、この女性ばかりの職場をうまくまとめていけたらと思います」
ざわわっ
元々局長って役職名を『お局様』から思い付いたんだけど、まさかここで出てくると思わなかったな。
○奈美視点○
文乃さんったら、自分を通さないと圭祐くんには手を出させませんよって意味?!
あら?メグちゃんが近づいて行ったわ。
「春日局は乳母だけどいいの?」
「!」
あっ、文乃さんが膝から崩れ落ちたわね。
というかさっきからメグちゃんストレート過ぎるわよ。
さすがに圭祐くんが小6に手を出すとは思わないけど、見た目はもう大人なのよね。
中身の方もしっかりしてるし…私はあんなこと言っちゃったけど、教師と生徒なのよね。
でもあと1年半経てば教師と生徒じゃなくなるから、それまでは私も文乃さんに負けないように圭祐くんを守っていくわ!教師として!
○圭祐視点○
挨拶とか終わって、あとは立食しながら雑談。
「あ、あの、圭祐さん」
「ニーナさん?」
「あの、私、まだそういうことは早いかなって思うので…」
ん?もしかしてニーナさんもうちで働く気があったのかな?
「その気があるなら嬉しいな」
「私なんかでも嬉しいですか?」
「もちろんだよ」
「そ、それなら、その、とりあえず『お友だち』からでお願いします」
そんな役職あるのかな?
そうか!
俺たちはまだ学生だから、友達から始めて信頼度を高めないといけないよな。
「わかったよ。よろしくね」
「はい!」
「…圭祐くん」
「なあに文乃さん?」
「つまり会社に入る可能性のある人はとりあえず『友達枠』にするのね?」
「やっぱりそうした方がいいよね?まず関係を深めて信頼度をあげないと」
「関係を深めるってすぐそういうことを…ああもう、局長って大変だわ!」
「便りにしてるよ、春日局さん」
「それは無し!乳母とかありえないから!」
え?どうしてそこで乳母が出てくるの?
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来週の更新は控えめになりそうなので今夜もう1話更新したいです。




