5、知音の契り。
俺はなにが起きてるのか分からずやりとりを聞いていた。知音の契り?儀式?なんとことだ?
そんなことを考えている間に儀式をする場所についた。
「ここが鈴の音の聖域じゃ」
「……?」
ここでなにをするんだ?
目の前に、大きい鈴(結婚式にありそうなやつ)とふたつの平らな丸い石が下にふたつおいてあった。
「颯馬。ここではね召喚された勇者と召喚士が知音の契りを交わす場所なんだよ」
そういえば俺はノエルに召喚されたのか。
今更気づいた。どっちかっていうと連れてこられただもんな。
「えっと…知音の契りって何だ?」
「まぁ勇者と召喚士が永遠の契約をする事だよ」
「へぇ~…って永遠に!?」
「うん。だけどそんな重いものじゃないから心配しないで。」
重くは無くても永遠に、というかここにいる時まで、俺はノエルと一心同体になるらしい…むずっ!
あとで聞いた話だが、
知音とは、昔この国での王子が専属のバイオリニストを雇って、お互いに良き理解者だった。王子が亡くなってしまうと、自分の音を理解する人は現れないだろうと、そのバイオリニストは弦を全て切り、王子の墓に供えたというはなしだ。
まあ…このように自分の良き理解者ということだ。
……話を戻そう、これから俺らは知音として契りをかわすのだ。
「帝くん、ノエル準備ができたぞ」
というと王様は俺たちに紫色と紺色の鈴を渡した。
鈴は傾けると何色にも発光しとても綺麗だった。
そして、音も心が澄み渡るような心地がする。
「んでなにをするんだ?」
「んーとね。この巨大な鈴の前に立って、王様が鈴を鳴らしたら僕たちも、一緒に鈴をならすんだ。準備はいい?」
そういったノエルは緊張していた。鈴を持つ手が震えていたのだ。まあ俺は今、足がガクガクだ笑
「おう…大丈夫だ…!」
緊張する…遅れたらどうしよう。落ち着け…颯馬
「じゃあ睡蓮の鈴をならすとしよう。」
王様が大きな鈴を鳴らした。
まるでこの世界の時が止まったようだった。俺はノエルをちらっと見て目配せすると、互いに鈴を鳴らした。
とても心地いい音色だった。この世界すべてが浄化されるように。緊張なんて吹き飛んでいた。
…それからしばらくして音色が止まった
「…これで儀式は終わりだ。これから2人には知音として一緒に行動してもらう。この鈴は大事に持っておけ。…準備が整ったら王の間にきて欲しい。何かあったらメイドのシエルに頼んでくれ。……この世界は2人にかかっておるからな…頼んだぞ2人とも」
俺は、自分の手にこの世界がかかっていると改めて実感した。
これから、俺の新たな世界での異世界ハーレム(?)ライフが始まるんだ!
とわくわくもしていた、颯馬であった。
「「はい!」」
そして俺たちは鈴の音の聖域を後にした