俺のこと
「何する気?!離してよ!」
琴音が叫ぶ。俺はつかんでいた彼女の手首をひねり、ドアに彼女の体を押し付けた。
「黙れ。とにかくここにいるんだ。おまえをどうこうする気はない」
「じゃあ、離して!」
俺はつかんでいた手首を離した。力いっぱい握り過ぎた。彼女の手首が赤くなっている。
「このまま、私はどうなるの?私は君が何をしているか知らないし、興味もない!」
「どうもしない。どうもしないけど。。。どうしたものか。。。」
「なにそれ!」
俺はしばらく黙った。本当にどうしていいかわからない。
「。。。初めてなんだ。。。俺がここに来てから、誰かに見られたのは」
「えっ?どういう意味?君は不登校児って事?」
「いや、そうじゃなくて。。。その。。。なんて言うか、俺はここの制服を着ているけど、生徒じゃない」
「じゃあ、何よ!こんな部屋も知っているし、なんだかわけわからない!卒業生?」
「いや、卒業生でもない。。。なんて言うか。。。俺はここで幽閉されてるんだ。。。信じられないだろうけど」
「幽閉??何で?ここ学校だよ!バカじゃない!」
「いや。。。そうだな。学校だ、学校だよ。知ってる。もちろん、それは知ってる。でも本当だ。ここは俺の部屋だし、普段はここから出ない」
「なんで、学校が君を捕らえないといけないのよ!変じゃない?」
「うん、変なんだ、変なんだけど、そうなんだ。わかりやすくいうと、捕らわれてると言うか、学校と契約してるみたいな。。。」
「じゃあ、職員じゃん」
「うーん。。。そうでもないような。。。」
「わけわからない!はっきりしないね、君!」
「。。。そうだな。。。じゃあ、俺がこれから言うことを信じてくれるかい?とても変なことを言うけど」
「。。。いいよ。君はもう相当変なこと言ってるし、話半分で聞いてあげるよ」
「うん。。。そのくらいがいいな。俺さぁ、この学校で、人をさらってる」