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3/7

琴音との出会いはひどかった

「私は。。。君の。。。」


「うーん、まぁ管理者かな。おまえは俺がなぜここにいるかを知っているし、目的も理解している。そんなやつは生徒ではおまえしかいない」


「でも管理なんてできない!」


「俺の行動は誰かが見ていないといけない。俺一人では判断が出来ないことが多いから。相談相手でもいいけど、俺はあまり話し好きではない。だから、おまえが俺の行動をそっと見ておいてほしいんだ」


「わけわからない!」


俺と愛染〈あいぜん〉琴音の約束は、こんな感じで取り交わした。

俺のやっていることは、あまりに異常だ。それは自分でも知っている。だからこそ、誰かに知っていてもらいたい。


琴音は、背筋の伸びた子だ。バトミントン部に所属していて、朝練なんかない緩い部活なのに、その日はたまたま自主練で来ていた。


俺が朝の始まりを人知れず行い、体育館のシャワールームから出たとき、琴音はちょうど一人で素振りをしていたところだった。


琴音は俺を普通の生徒だと思ったらしい。

動揺は俺の方がしていた。

真っ先に俺がとった行動は、ポケットに入れている非常用の携帯警棒を取り出して、琴音を襲うことだった。彼女を連れてとにかく帰らなくては。


琴音のコメカミを警棒の柄で打ち、朦朧としたところを抱きかかえ、内ポケットに入れていた薬を口に含ませた。



特別生徒会室の光景は異様だった。

俺の他に女がいる。しかも体操着だ。


とりあえず俺は、朝食係のホマレに気づかれないようにしないといけない。

7時だ。小窓が開く。

トレイにはクロワッサンとスクランブルエッグとベーコン。それとオニオンスープ。


ホマレが「今日のホームルームはね、」

とか言い出した瞬間、


「悪い、今日は気分が悪い。一人にしてくれ」


急いで話を止めた。


ホマレはしばらく黙っていたが、「あっそ」と言って、教室へ戻っていった。


さて、琴音だ。

どうしよう。顔を覗き込むと、まだ起きそうにない。薬が強い。


よく見ると綺麗な顔をしている。

肌つやがいいのは、もちろん、

目鼻立ちがはっきりしたタイプだ。


ここで、何かをするわけにはいかないが、無性に性欲に襲われる。

待て、そんなことをしている場合じゃない。


まず、そうだな、朝食を、食べよう。


スクランブルエッグをベーコンで巻き、醤油を垂らす。塩分過多だが、これがどうにもたまらない。そして、クロワッサンで、すくうようにエッグを食べるのも好きだ。クロワッサンは二つある。一つはエッグをつけて、もう一つはオニオンスープに浸しながら食べる。味はややこしいが、朝は多少柔らかい方が食べやすい。


食事が終わると、紅茶を入れた。

少し砂糖を入れるが、基本的に渋い方がいい。


で、琴音だ。

生徒会にどこかへ連れてってもらおうか。

いやいやそれはまずい。


別に生徒に見られてもよいが、俺が焦りすぎていた。

しかもこんな場所に連れてきてしまったのは、これもまた失敗だろう。

どうする?


一限目のチャイムが鳴る。

とても大きな音だった。


琴音が気がついた。

俺は咄嗟に構えた。


「ここは?」


「。。。生徒会室。特別生徒会室だ」


「そんな教室あったっけ?」


旧棟の五階の端だからな、誰もこんな所にこない。


「。。。授業が始まっちゃってるじゃん!やばい!」


やばいのはこっち。


「おまえ、今日は授業には出られない。しばらくここにいるんだ!」


「なに?君は私にそんなこと言う権利あるの?君も授業に出ないといけないでしょ?」


「俺は。。。授業には出ない」


「なにそれ?君、ヤンキー気取りかなんか?よく見たら制服の形も違うし、留年組?」


「。。。おまえ、この状況わかってんのか?おまえは俺が拉致ったんだぞ?」


「でも校内じゃん。とりあえず教室に行くわ」


「ダメだ!」


「なんでよ!」


「おまえは俺を見た」


「なにそれ?君は少し危ないコかな?やめてよ、気持ち悪い。もう出るから!」


琴音が立ち上がると、小走りでドアへ向かった。俺は琴音の手首を掴みひねりあげた。


「何するのよ!」


琴音は、発狂したような大声をあげた。


俺はもうどうなってもよかった。


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