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登場人物説明

少女篇1で登場した人物の概略です。

少女篇2からの登場人物や少女篇2を読まないと分からないことは書いてありません。

よう珪己けいき


本小説の主人公である少女。現在十六歳。八歳のときに自宅を武人に襲撃され(詳しくは前述した楊武襲撃事変の記載を参照、八年前のこと)、そこで自分以外の母や家人全てを殺害された。その時の経験で鬼や暗闇、狭いところが苦手である。

事変の後、強くなりたいとてい古亥こがいの道場で武芸を学びだす。少なくともこの国の首都・開陽で武芸を学ぶ女人は現在、珪己しかいない。そのため菊花姫護衛の任を受け一時宮城に入った(詳しくは少女篇1参照)。

その功績により武挙を受けることなく武官となることを認められる。が、まだ正式な武官とはなっていない。

なお、楊武襲撃事変に不可抗力的に関係する二人の青年、侑生ゆうせいえん仁威じんいについて、楊珪己はつながりがあることを全く知らない。


よう玄徳げんとく


楊珪己の父親であり文官。枢密院すうみついん長官である枢密使すうみつしを務める。四十歳前後。

武に通じず枢密院長官となった官吏は楊玄徳が初である。

李侑生と袁仁威、二人とは楊武襲撃事変で深いつながりを持つ。事変では楊玄徳は首謀者である武官に捕まり一時殺害される直前の状態に追い込まれた。


侑生ゆうせい


楊玄徳の部下、枢密使の副官である枢密副使すうみつふくしにある文官。二十四歳。

楊武襲撃事変の前までは武官であり、袁仁威の同期であった。事変をきっかけに楊玄徳のために生きることを選び、武官を辞し科挙を受け首席で文官となる。

ただ、当の楊玄徳からは「そろそろ自分のために生きなさい」と諭されており、今後について悩んでいる。

文官一の出世頭かつ美形ときて女性に人気がある。ただ、雰囲気は柔らかいが、愛すらも任務のためには利用する冷徹な一面を持つ。少女篇1でも理由あって楊珪己の恋人のふりをしていた。


えん仁威じんい


筋骨逞しい武官であり近衛軍第一隊の隊長。年は李侑生と同じ二十四歳。

楊武襲撃事変を機に、侑生とは逆に武官の道をまい進し部下の育成に尽力する。その結果、部下に思い慕われる上司となり、かつ、この若さで最強の武官が集う第一隊の隊長の任を拝受している。

事変後、一時期、清照せいしょうの愛を利用して空虚を埋めていた。約一か月後には清照の元を去るが、その後八年間もの長い間自分に一途な愛を注ぐ清照を無視していた。今でも清照を動かした愛について恐れを抱いている。そのため、事変以降は女性との関係は持っていないようである。

とはいえ本人は根本的には誠実で実直。

男装し正体を伏せていた楊珪己を、最初は生意気と感じ剣で向かいあったこともある。


清照せいしょう


李侑生の姉。二十六歳。

年齢以上に魅惑ある体つき、雰囲気を有する。

昔から詩歌の製作が得意であったが、今は愛、特に過去の恋人であった袁仁威との愛に関する詩歌の製作に熱中している。このたび、ようやく八年前の仁威との恋にけりをつけることができた。

少女篇1では登城前の楊珪己に化粧や女性としての立ち振る舞いの最低限を教授した。

楊珪己のことは弟のつてを頼って開陽にやってきた田舎貴族の娘だと思っている。


ちょう英龍えいりゅう


湖国の現皇帝。第三皇帝であり今年で即位十年になる。

年号は貴青きせい。三十歳。

後宮に三人の妃を持っていたが、現在は二人しかいない(少女篇1参照)。

幼いころは後宮に住んでおり、現在の妃の一人であるれいと仲良くしていた。その縁で麗が無理やり妃に据えられ、かつ抱いて子を宿させたこと、出産で体を壊したこと、といった自身の行いを後悔していた。そのため女人を抱けなくなっている。が、楊珪己の助言もあってようやく胡麗とは和解した。

以上の一面以外は基本的には皇帝らしい皇帝である。


ちょう龍崇りゅうすう


趙英龍の異母弟。齢は二十代後半。

華殿(宮城内にある皇帝・皇族・妃・子供らの住まう殿)を統率する。

常に黒一色の衣を身にまとっているので黒太子と称されている。

その衣の色のせいだけではなく、まとう雰囲気は夜の仕事に就く者のようだ、と楊珪己に指摘されたことがある。

実際、人を抱くことや抱かれることを愛の行為とは思っていない。


れい


現皇帝・趙英龍の妃の一人で淑妃しゅくひ、皇帝にとって最も位の高い妃である。

後宮勤めの女官が名もない官吏との間に成した子で、麗は生まれてこの方、一度も後宮から出たことがない。幼い頃は英龍と二人で後宮から逃げ出す夢物語を語り合っていた。

妃となった当初は低位の才人さいじんであった。が、子を成し淑妃となる。

産褥悪く出産後は寝台から出ることができない体となっている。

菊花のことも理解できず親らしくふるまうことができないでいたが楊珪己の活躍により解決の糸口をつかむ。


菊花きっか


現皇帝の血をひく唯一の子。七歳。

年齢らしい無邪気で素直な心と好奇心を持つ。虫が好き。交流のない両親に心を痛め、母親のために自身の存在を消そうとしていた。が、楊珪己と出会い考え方を改める。顔も知らない父への手紙を書き、結果、無事家族は和解するに至った。


てい古亥こがい


楊珪己の通う道場の師匠。当時は近衛軍をまとめる将軍であった。

楊武襲撃事変で絶体絶命の楊玄徳、李侑生、袁仁威を救った。

が、そのために自身の部下の多くをその手で殺め、その責任と後悔から武官を辞する。

生きる道を失いすべきことが見つからないとき、楊玄徳から誘われ、楊家の隣の古民家で道場を開き今に至る。

だが、ここ数年は弟子へ稽古をつけるのが面倒になり、楊珪己に師匠代理を任せている。


しゅう定莉ていり


楊珪己が宮城にいる期間、同じ新人武官として共に稽古の相手をした少年。十四歳。

背丈は楊珪己と同じくらいで、そのため袁仁威によって二人は稽古相手として組み合わせられた。その際、楊珪己に体術を教える。


おう美人びじん


少女篇1では姓が王であることしか分かっていない。美人は妃の位。

現皇帝即位時に胡麗同様に妃として召された三人のうちの一人。現在までの十年間、一度も顔すら見たことのない皇帝との関係に耐え後宮で暮らしてきた。

楊珪己が皇帝の褥に呼ばれたことがきっかけでその我慢が限界を超える。

少女篇1では最終的に自決する。

自身の美貌に自信があり、美容に関する品を入手するため、月に一回は後宮内に芯国の商人を無断で呼び寄せ密貿易をしていた。


果鈴かりん


王美人の侍女であった女官。

王美人に心酔しており、知らなかったとはいえ武芸の心得のある珪己に力技を挑み、珪己を捉えることに成功した。皇帝の前でも珪己に武器を突きつける気概がある。

芯国の商人から教わったという新聞を製作し後宮内の女官に見せて喜ぶ一面を持っていた。


きん昭儀しょうぎ


少女篇1では姓が金であることしか分かっていない。昭儀しょうぎは妃の位。

胡麗、王美人と同時期に妃となった三人のうちの一人。

王美人と同様に冷遇されてきたことしか一巻では分かっていない。


蔡蘭さいらん


楊玄徳の妻であり、楊珪己の母。

楊武襲撃事変で武官の手にかかり殺害された。

本編投稿はもうしばらくお待ちください……

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