第二話 邂逅
今回も稚拙な文ですが、見てくださると嬉しいです!
「一体ここは何処なんだろう……?」
私が異世界についてから1時間近く経ったと思われるが、辺りは樹海で何処かへ行く訳ににも行かずその場でへたり込んでいた。
目線を上げると、月が夜空に二つ。二つある時点で異世界だと判断することは出来るが、これでは私が今異世界の何処にいるのか全く分からない。
それに何故だか知らないが、自分が女の子に生まれ変わっているということだ。
服装は白を基調としたファンタジー世界に居るお嬢様のドレスのような服装。
確かに生まれ変わるなら性別がどちらになるか分からないのかも知れないが、女性の話によれば私は10歳な訳で、少しくらいこの異世界で生活した記憶があってもいいんじゃないかと思っていたのだが、前世のマヨネーズ死するまでの記憶しか頭に無かった。
おかげで自分の名前が全く分からない。
それに加えて元々私は男だったのに今は女。普通違和感が合ってもおかしく無い筈なのだが、全く持って違和感が無い。
記憶はあっても心は女の子なのか?
よくわからない。
「そういえば、あの人がプレゼントをくれるって言ってたっけ……」
あの女性の言葉を思い出した私は、自分の服の中を覗いてみた。
「あれ、何処にもない。まさかめんどくさいからって嘘ついたのかな……?」
そんなことがあっていいのか?と思ったが、あの人ならやりかねないと思わず思ってしまった。
はぁ、とため息をついて座ると、カラン、と音を立てて自分の隣に何かが落ちてきた。
何かと思い、目線を移すとそこには真っ黒なナイフと手紙が落ちていた。
もしかするとこれがプレゼントなのでは?と思ってナイフと手紙を手にとった。
「えっと、なになに……」
『そのナイフがプレゼント。使い方はとりあえず手から離さなきゃそれで大丈夫。以上。』
手紙の文章はそこで途切れていた。
あの人らしいなんとも適当な文だが、本当に適当すぎる。止めてほしい。
「しかし、これからどうしたものか……」
ガサガサ!
急に後ろの茂みが騒がしくなった。
思わず私は茂みに視線を移すが、草が動いている以外特に変化はない。
恐らくあそこに何か居るのだろう。あの女性の行ったとおりならこの世界はファンタジーな世界。いわゆるモンスターが出てきてもおかしくはない。
仮にモンスターだとしたら私は戦えるのだろうか、戦うも何も10歳の少女の体で何ができるのか。
このプレゼントで貰った黒いナイフの使い方もよくわからない。ただ持っていれば何とかなるとは書いてあったが、不安が拭いきれる訳ではない。
そんなことを考えていると茂みから何かが飛び出した。
「えっ?」
「は?」
茂みから出てきたのは、10歳の少女である私の体の半分くらいしかない小人だった。
だが、その小人が手に持っているのは私の体と同じくらいのサイズの剣で、目があった私を警戒しているのかその剣の切っ先を此方に向けている。
「誰だお前。ここは人間が来る場所じゃないぞ」
「誰だ、って言われても誰かもわかんないんです」
「嘘言うな。そういうこと言うやつ皆この森を荒らしに来る」
こういう話が通じない相手は本当に嫌いだ。あのときの不良を思い出した。
別に相手は不良でもなんでもない。むしろ可愛い子供に見える。
普通こんな子供が樹海に居る訳ないし、森を荒らしにくるって言ってるしそれに私のこと人間とか言ってる時点でモンスターだよね。
「君、モンスター?」
「うるさい、オレの質問に答え―――――」
私はその子供が喋りきる前に自分が手に持っていた黒いナイフで小人の頭を刺した。
「あ……がぁ……」
咄嗟の事でよけることが出来なかった小人はうめき声を上げながら息絶えた。
動かなくなるのを確認して、ナイフを抜き取ると返り血が大量に服についたが、一瞬でその血が消えた。恐らくこの服もあの人からのプレゼントか何かなんだろう。
人間の子供みたいなモンスターを殺したが、不思議と罪悪感が湧かなかった。
「誰か居るのか!?」
近くで声が上がる。
言葉から察するに音に気づいて声をあげたのだろう、これは助かった。
ナイフの血を服で拭き取ってドレスの内側に付いていたポケットに片付けて声がするほうへ行くと、いかにも冒険者と言わんばかりの格好をした女性が立っていた。
良かった。この人は人間だ。
見た目が人間と言うだけでモンスターの可能性を拭いきれないが、多分大丈夫だろう。
「すみません、ここは何処ですか?」
「君こそ誰だ?エルフの森は勝手に入っていい所ではない」
「すみません。気がついたらここに居て記憶がないんです……」
「記憶がない?」
私の反応を見て冒険者のような人は怪訝な顔をして此方を見つめた。
立ち入り禁止の場所にお嬢様っぽい格好をした10歳の少女が記憶をなくして倒れてました。なんて話そう簡単に信じてもらえないか。
「まあいい、君が誰であれここは入っていい場所ではない。私も用があるので君をいったん外に連れて行った後私が戻ってくるまでまっていてくれないか?その後話を聞く」
「分かりました」
冒険者のような人は私を担ぎ上げてその場から走っていった。
お姫様抱っこなのは別にかまわないのだが、この人が走るたびに胸がカオにぺしぺし当たる。役得なのかもしれないが、ちょっと邪魔だ。
信じてもらえたという訳では無さそうだがこの人の用事が終わってから説明しよう。
しばらく胸にぺしぺしされながら抱っこされていると、森の外に着いた。
「ここで待っていてくれ。すぐ用事を済ませてくる」
冒険者のような人は樹海へと戻っていった。
良く迷わずに入っていけるものだ。
そもそも人間は入っちゃいけない場所って言っていたのに。
疑問が残る中目指すべき場所が無い私はその場で待つことにした。
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