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『すーぴーマン』

作者: すーぴー

 僕の名前はすーぴーマン。兵庫県尼崎市すーぴー星から電車を乗り継ぎ、片道三時間四十二分掛けて、昨年春に埼玉県さいたま市地球にやって来た。意外と近いな。

 家から自転車で十五分の市立常盤中学校に通っている。二年三組。クラスでは国語係で放送委員だ。作文嫌いでアガリ症なのに何故、そんなところに入ってるのかって? 理由は簡単、可愛い女の子が同じ係で委員だからだ。

 その子の名前は早見あかり。皆からは「あかりん」と呼ばれている。ボーイッシュで女子人気も高いが、紛れもなく将来の美女子候補生だ。

地球人の中でも日本の女の子は群を抜いている。宇宙船の中でAKBやももクロのDVDを見て予習して来て良かった。日頃の勉強がモノを言うとはこのことだ。無論女の子は顔ではない。脚だが、その点も陸上部(短距離選手)なので難なくクリアしている。

 放課後の校庭を走るあかりん。たまに数学の宿題をやって来ないで罰として走らされていることもあるが、お蔭で彼女のカモシカのような脚を余分に拝めると言うものだ。まあ、ヒロインには一つくらい欠点があるものだし、案外僕は、彼女のそこに惹かれたのかも知れない。

 ともあれ今僕は[すーぴーカプセル]内でラブレターなるものを書いている。今時下駄箱にラブレターなんてなどと思うのは浅はかである。これが意外にモノを言うのだ。

 例えて言えばコンビニで買って来た肉じゃがをレンジでチンして彼氏に出すのと、手作りの肉じゃがを彼氏にあーんして食べさせるぐらいの違いがある。その差は歴然としていると言えよう。

さて何と書いたら良いものか。

 ドンドンドン! ドンドンドン!

 なっ何だ? 振り返ると誰かが[すーぴードア]を乱暴に叩いている。超高性能ベニヤ板張りなのでうっかりすると穴が空きかねないのだが。

 一体誰か。まさかすーぴー星からの追手とか? 僕がすーぴー星王位継承者と知ってのことか!?

「マー君! 何してんのマー君! ご飯出来たで! あっ間違えた。お友達来たで」

「うっさいなー! いちいち呼びに来んでもええ言うたやろが!」

「そんなん言うたかて…部屋でHなことでもしてたらお母ちゃん心配やんか」

「するかボケ! わしゃ勉強しとんや!」

「ほんまか? あんたまたおかしなラブレター書いてたんやろ? 『僕の正体はすーぴーマンなんだ』とか言うて。もうお母ちゃん恥ずかしいわ」

「何で勝手に人の机の引き出しん中覗くねん!」

「そやかて…引き出しん中でHなことでもしてたら思て」

「入れるかボケ! わしゃネコ型ロボットか! 早よどっか行け!」

「何やこの子は。お友達が来たから呼びに来たったのに。マー君が教室の机の上に忘れた国語のプリント持って来てくれたで?」

「わしゃ今忙しいんじゃ! 帰ってもらい!」

「折角来てくれたのに。済みませんねえ。何やあの子忙しいみたいで。なあ早見さん」

 嘘―っ!


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