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些細な嘘から始まった  作者: 紗倉 悠里
第三章 <始まった過去>
12/21

始めよう。

パーティーの日から一晩。

ポストを確認して新聞とったあと、学校行かないと。……あ、半日休んじゃった。ま、親も居ないから責められないけど。

……あれ?よく考えると、霞が居なくなって、親が心配しないのか?そういえば、メディアによれば霞の母親って自殺して父親は逃げたんだっけ?……うちと同じだ。少し同情するなぁ。

こんなに都合の良いことあるんだなぁ。私の都合じゃないけど、ね。


私は、自宅の前にあるポストの中を確認した。

いつも通り、新聞をとって家に戻ろうとしたが、ポストにはもう一つ手紙らしいものが入っていた。

表紙には……

「招待状 白咲 葵様」

と書いてあった。

招待状?私、さっきパーティー行ったばかりなんだけど。

もう一度、招待状を見てみる。薄桃色の封筒で、薔薇のシールが貼ってあった。

うーん、……怪しい。

とりあえず、開けることにした。


中を見ると、薔薇が添えられてあった。便箋は、綺麗な桃色だ。


『シザーキラー 様

今日は、私はーーーーと申します。

今度、光様宅でパーティーを開く主催者です。そのパーティーに貴方も参加してください。

行く時は、明日です。時間は、一日中。

あ、それと……鋏だけは持ってきてくださいね?

ーーーーより』


意味のわからない手紙であった。

まず、相手名前が黒く塗りつぶされていて読めない。

そして、パーティー?昨日、私は行った筈なのに……

それに、明日の一日中?とりあえず、明日に一日中パーティーをするってこと?

シザーキラーと言う名前と、鋏……を持って来いだって!?

……こいつ、私の過去を知っているのか?

何故だ!?あの過去はなかったことになったはずだ!


私は、手紙を床に叩きつけた。何故、知っているんだ?

不安と疑問。怖い、怖い、怖い。




私には、過去があった。それは、中学の時である。

意味のわからない、可笑しな、不思議な過去。こんなの、あり得ないはずなのに。



「Die」

私は、そう呟くと、今目の前にいる彼の右手を鋏で思いっきり切った。彼の目は引きつっていた。

切ると、彼は力なく倒れた。周りに赤い綺麗な血が流れている。地面が染まる、真っ赤に。なんて、綺麗なの……

私は、「シザーキラー」と呼ばれた女。

そのなの通り、鋏で人を殺す、または病院送りにした。周りは皆が私を怖がり、警察は私を捜した。だが、私は見つからない。何故って?だって私は、上手く逃げているし、必ず相手を殺した。ただ、一人だけは死ななかったけれど。だから、私のことがバレる可能性は極めて低い。人を殺す理由があったわけでもない。ただ、この鋏の切れ味を確かめたかっただけ。

この鋏は……誰かからもらったものだ。

母親が死に、父は逃げてしまい、引き取り手もいなかった時、私は一人ぼっちの子供だった。

ある日、私が前に住んでいた家のポストに手紙が入っていた。

赤い薔薇が添えられた桃色の手紙だった。

その手紙に書いていた住所の所へ行くと、私が今住んでいる家があった。表札には「白咲 葵」と書いてあった。

中に入ると、玄関には赤い鍵が置いてあった。この家の鍵だった。

そして、居間には二つのプレゼントがあった。

一つは、総額1億円はありそうな金だった。もう一つは、……鋏だった。刃の部分まで真っ赤な鋏。綺麗だった。

その鋏には手紙が添えられていた。その手紙は、一文だけ書いてあった。

「この鋏の、斬れ味を確かめてみましょう。by.Die」

Die……?死、ぬってことなのかな?純粋な女の子だったあの頃は、意味はよく分からなかった。それで、私はこう解読した。

「人を斬り、この鋏の斬れ味を確かめてみましょう」

これをこう解読した時、私は純粋ではなくなった。なぜ、こう解読したのかは私でもわからない。私は、穢れてしまった。この、目の前にある赤い鋏のせいで。

私は、五人……いえ、六人を鋏の斬れ味を確かめる為に斬った。さっきも話したけれど。一人は死ななかったが、後は死んだ。可哀想?そんな気持ちはない。だって、彼らは……私を虐めた人達なのだから。別に、仕方ないことだわ。

六人を斬り……この鋏は、殺人器へと変わった。

鋏は、紅さを増し、なんど洗っても色は失せなかった。

もしかしたら……これをくれた誰かも、この紅さを望んでいたのかもしれない。



だが、私はこの過去を忘れたかった。

誰だって、嫌だ。だって、殺人だよ。

でも今。この手紙のせいでまた思い出してしまった。

あはは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははは!

なんなんだ、この世界はぁ!この世は狂っている!そして……私も狂っている!



8/15。

この手紙が届いた日。つまり、光の家でパーティーを楽しんだ次の日。私は……家で一人で過ごしました。お腹も空いたけど、我慢しました。苦しかったけど、我慢しました。今、外に出たら私の全てが壊れそうだったから。


「ごめんなさい、ごめんなさい……」


そうして過ごしていたら、今日は終わりました。

そして……極悪パーティーの日になってしまいました。

by. (シザーキラー)


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