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短編集

私のいる国

作者: 緋乃円



 ――私の住んでいる国は、つくづく変な国だと思う。



 まず最初に、この国の国王さまの第一子であらせられる王女さま。

 王女さまは大の賭博好きで、それを隠すことなく――むしろ国民に勧めてたりする――堂々と賭博場に出入りしている。

 最近では、負けが多くて父親である国王さまから賭博場の出入り禁止を言い渡されたらしい。出入り禁止の前に止めさせるべきじゃないのかな・・・。



 次は、元騎士さま。

 騎士だったころは、多くの武勇を打ち立てていった英雄並みの剣の腕を持った人だったらしいけど、何をどう間違ったのか、突然騎士団を辞めて無職のおっさんに成り下がってしまった。

 そんなわけで元騎士さまは、現在求職中である。求人広告を見てため息をつくくらいなら、最初から騎士を辞めなかったらよかったのにねぇ。



 その次は、王女さまの弟君である王子さま。

 顔はいいけど、意外とヘタレで小心者だったりする。

 姉である王女さまが賭博場へ行くたびに胃を痛めつつも、国王さまの補佐をしていらっしゃる王子さまは、度重なる精神的ストレスでとうとうノイローゼになってしまったらしい。

 ・・・今度、知り合いの薬師を紹介してみようかな。



 更にその次は、民間資格の魔法使い。

 『魔法使い』って言うくらいなんだから、国家資格なんじゃないの?って言ったら、本人に号泣されてしまった・・・。

 なんでも、国家資格を取った『魔法使い』は『魔法士』と呼ばれるらしい。この魔法使いは、国家資格を取る試験に落ちて、落ちて、落ちまくってるから、何年経っても『民間資格の魔法使い』、というオチだった。



 最後は召使さんたち。

 彼女(彼)らは実に働き者だと思う。主人の意志を汲み、空気のような存在感でありながらも、最高のものを仕上げる職人さんたちだ。

 そんな彼らのお給料は・・・・・・時給制だった。

 働き者で当たり前だよ。だって、きちんとお仕事する分だけ時給上げてくれるから、召使さんたちはこれでもか!というくらいの意気込みで仕事をする。

 うん。こんな裏事情知りたくなかったよね。




 私はというと―――。


「神子様!このようなところで何をなさっているのですかっ!」

「ん?小鳥さんとおしゃべり・・・?」

「もうすぐ祈祷の時間ですわ。早く準備をしてください!」

「はーい」


 異世界に召喚されてしまった、しがない女子高生です。


 私が言うのもなんだけど、この世界ってファンタジーの価値観歪んじゃうんだよねぇ。



 ・・・誰かまともな人っていないのかな。


 了.


 お題サイト:『確かに恋だった』さまより

   歪んだファンタジー5題

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