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「祕稀、進展はありましか?」
エクリプスの売りの一つである美味しいファーストフード店に立ち寄ったとき、
後ろからそう声をかけてきたのはマーフィスだった。
「ああ、マーフィス、探して…なんだそれは」
振り返った先に立っていた奴は馬鹿みたいに大量の買い物袋をぶら下げていた。
全部にこのエクリプスのロゴが入っている。
「いやぁ…、エクリプスをちゃんと知っておこうと思いましてね、
ほら、まだ開園してないですから人はいませんけど
マスコミやVIP向けのプレオープンように商品はありますし
アトラクションの試験運転もありますしね。
しかも、傭兵に関しては割引料金が適応されるのですよ、
ほら買わないわけにはいきません、乗らないわけにはいきません」
何をふざけた事をぬかしてやがる。
聞いてもいないのに余計な事をべらべらと。
とりあえず、無言で一発殴っておいた。
マーフィスは袋を落とすわけにもいかず、泣きそうな顔で苦しんでいる。
「私が何をしたっていうんですかぁ、ひどいですよ、祕稀~。
あなたにもお饅頭を買っておいて上げたのに」
もう一発。
「…」
漸く黙った所でまた話を続けることにした。
「オベリオンのことについてわかった事などを話したいんだが、いいか?」
そう言うと一瞬でマーフィスの顔が仕事の顔になる…が大量の土産袋をぶら下げていたので全く様にならない。
「アライエルも探してくる。それから落ち合おう。だからお前その荷物置いてこい」
一時間後、俺たち三人は隣のカフェに集まった。
もともと人がいないうえに、
皆俺たちにあえて近寄ろうしないので、内緒話に最適ではある。
「それで、祕稀は何をしったんた?」
最初に口火を切ったのはアライエルだった。
そしてその時、大音量の叫び声が響いた。
「行くぞ!」