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電心交流
(何なんだ、一体)
(そう急くな。
話は変わるがな、此処が狙われるのは此処の土地に理由が在るらしい。
此迄も今も此れからもこの土地は呪われ血に塗れ死に満ちた場所なんだ。
そして、血と死と呪いを重ねる程土地の力は高まる。
だからこそ狙われる。)
全く初耳だった。
(なんだそれ)
(此れが本題だよ。
まあとにかく話を聞いてくれ。
そういう曰く付きの場所なんだ。
そして開演イベント。
だいぶ注目されているから、大勢の人が集まるだろう)
(それで得られる力は莫大なものだろうな。
そりゃあ、テロを起こしたくもなるだろうさ。
恐らく得られるのは力だけではないだろうしな)
力、だけでなく、金も動くことだろう。
(そゆこと。さすが祕稀。聡いね)
(馬鹿にしてるのか)
(さあね)
(まあいいさ。しかし何でまたそんな物騒な場所につくったんだろうな)
(知らない。園長に聞いてくれ。君の管轄だろう。
それに君には『耳』がある。土地の記憶も聞けるだろ)
(まあな。とりあえず礼を言っとく。助かった、有難う)
(どういたしまして)
(あ、あと、そのネタの出所は?)
(関谷さ。
といっても随分前にオベリオンについてちょっと調べてて、
その最近の活動を関谷が教えてくれたって感じかな。
物騒な場所で物騒な事を起こして何かを手に入れてる、ってね。
んで物騒な場所は幾つか聞いていたんだけど、
偶然その内の一ヶ所にエクリプスが建設されることとなり、
エクリプスのアトラクションの開発依頼を父様がうけたのさ。)
(関谷、か…。)
(オベリオンについてもまだもっと詳しく知ってると思う。挨拶がてら会いにいけば?)
それだけ言うと、イオは一方的に通信を切りやがった。
遠目に見てもタナトス博士と園長に顔を向けてるのは変わらないまま。
勝手なやつだ。
でも、まあ、自分から話し掛けることなんてしないと思っていたから、
情報を与えてくれただけでよしとしよう。
さて、そろそろ始めるか。
『傭兵、魔術師祕稀はイン・ユエからの依頼を引き受けた』
小声で呟く。言霊にして誓約を立てる。
仕事の開始の合図。
手始めは…情報収集だ。