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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

廃墟の蛇口から出る水

作者: 桜橋あかね

僕は廃墟兼心霊スポット巡りをしている、動画配信者だ。

―――今回は、あるお便りを頂いてある場所へと行きました。


▪▪▪


僕とS君は、カメラと携帯の動画を撮り始める。


「……さて、今回は某所にございます〇〇病院にやってきました」

と、S君は言い始める。


「ここは35年前に閉院後、廃墟化しまして……例に漏れず、色々な霊が出るそうです」


「普通に怖いよ、ここ。特に病院は」

と僕は言う。


「お便りが結構来たんです。『ここを調査して欲しい』と……で、許可を取ってきたのでやってきました」


今回の場所では『蛇口から水が出てくる』と曰く付きだと、S君は追加で言う。


「蛇口から、水……?どういう事なんだろうね」

僕がそう言うと、S君は首を傾げる。


「まあ、行ってみないと分からないという事で……早速行ってみましょうか」


▪▪▪


僕達は、病院の中に入っていく。


「やっぱり、中は大分荒らされてますね」

そうS君は言う。


物は散乱、壁の落書き……そう言われればそうだが、僕は違和感を感じていた。


「……なんか、壁の下とか錆びている箇所が多くない?」


僕に言われ、S君はライトを照らす。

「確かに、言われてみればそうですね。何でなんだろ」


それ以外には何事も無く、2階に上がる。


「こっちはまだマシな感じがしますね」

そうS君が言う。


「そうだね……」


と、僕が更に言おうとした時、何か物音が聞こえた。


「音、聞こえました?」

と僕が言うと、「いいや?」とS君は返す。


「『ぴちゃっ』て、水が滴る音なんだけど……」

「蛇口以外からも出る、みたいな話なんすかね」


僕達は、奥まで進んでいく。


「今のところ、本当に体感で怖い現象は……」

とS君が言いかけた時、僕は()()()()を見つけた。


「待って待って、S君……あそこの蛇口……」


僕はトイレの洗面台を指差す。

そこだけ、何故か()()()()()のだ。


「……えっ、まさか……ねぇ?」

S君が少し声を震わせて言う。


「回してみます?」

と僕が言うと、S君は「あ、あぁ……」と返す。


僕がトイレの方に行き、洗面台の蛇口に手をかける。


(何事もありませんように……!)


そう思いながら回すと、水がジャッと出てきた。


「「う……うわぁあああ!?」」


僕とS君は叫びながら、外へ出た。


「……マ、マジで、出ました、よね……」

「あ、ああ……出たな……」


僕達は、息を整えつつ冷静になる。


「もう一回、見てきます?」

そう、S君は静かに言う。


「もう怖いよ、S君さあ」

と僕は返す。


「でも、もしさっきのが本当だったら……水が止まらないじゃん?それはそれで、どうかとは」


S君に言われ、僕は確かにそう言われれば、となる。自分の方が先に言ったワケだし……。


「……じゃあ、もう一回行ってみましょう」


▫▫▫


僕達は、また同じ所へ戻る。

次はS君が先に行っている。


「……え、ちょっと待って」

と、トイレの中に入ったS君が言う。


「とうした?」

「……水、止まってるよ」


僕が後ろから見ると、何事も無かったように止まっている。


「……ええ、怖くない?」

僕が言うと、S君は頷く。


―――その後、後ろから気配を感じつつ病院を見終わった。


▫▫▫


その後、一階の壁が錆びれた理由を探るべく病院や周りの地域の歴史を調べた。


分かった事は、病院が閉院した年に3日の大雨によって川が氾濫し、病院含め一帯が床上浸水したらしいのだ。

ただ困った事に、その病院の救援が行われず亡くなった人が居たという。


水が滴る音や、水道から水が出てきたのは亡くなった方が成仏せず『気付いて欲しかった』のだろうか。












『10月29日 川に2人乗りの車が転落した模様。乗っていたのは、〇〇病院を撮った動画配信者で―――』

某動画配信者を見て思いついたネタでした。

……はい、少し無理があるのは御愛嬌で(スタイリッシュ不謹慎)

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― 新着の感想 ―
嫌な予感がしましたが、予想通りのバッドエンドでしたね 水道の水のように心に冷や汗が流れました
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