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13-1 モフドラ、聖域のダンジョンへ行く

騎士団の男はハーゲンの状態を確認する。


「しっかり呼吸をしています。顔の傷は酷いですが命に別状はなさそうです!」


ブリンジャーはホッとした表情で「それはよかったです」と言った。


巨人を不思議そうに眺めていたルチカが言う。


「ねーねーマトォ。あれ見てぇ」


ルチカが指さしたのは巨人の左脇でそこには歪があった。


「あれは、空間の歪!」


ブリンジャーと騎士団の男も歪を見る。


「あれが⁉」


マトは言う。


「あの歪に近付けば、触れずとも別の場所に移動します」


「じゃあ、今度こそ神の世界に・・・」


「だといいんですが・・・英雄達は当時未発見のダンジョンに飛ばされてしまったので・・・」


「そういう話でしたね。ですが、マト氏とルチカ氏は神の世界に行かなければならない使命を背負っているはずです」


ルチカは、やれやれと満更でもない表情で


「あーあ。神の世界の命運を託されるなんてルチの魅力がそうさせるのかねぇ」と言った。


マトは言う。


「・・・確かにブリンジャーさんの言う通りです・・・俺達は託された」


ルチカが「んじゃ! 行こうぜ!」と言うとマトはハーゲンを見て言う。


「ハーゲン閣下は・・・」


騎士団の男は「私が看ています。三人で行って来てください」と返す。


マトが騎士団の男に感謝を告げ、ブリンジャーに話しかけようとするとブリンジャーが悩ましげな表情を浮かべていることに気付く。


「どうしました? ブリンジャーさん」


ブリンジャーはハーゲンと騎士団の男を見て言う。


「ぼくもここに残ります」


「どうしてですか?」


「マト氏とルチカ氏のサポートをしたいのは山々ですが、やはりこの得体の知れない場所で意識のないハーゲン閣下と手負いの彼を置いて行くことはできません」


マトは不安な気持ちになるが、ハーゲンと騎士団の男の痛々しい傷を見て納得する。


「わかりました。お二人にここは任せます」


「それでいいのです。それにこのミッションは二人だけが行くべきです。たぶんぼくは招かれていません」


「不明なことが多い歪です。確かに、ここにいるメンバーが散り散りになるのは得策じゃないですね」


ルチカはマトの袖を引っ張って言う。


「マトだけ別のダンジョンに飛ばされることはないよねぇ?」


マトは頷く。


「俺もそれ、ありそうだなぁと考えたよ。でも、託された以上、こえーけど行くしかない!」









マトとルチカは開けた場所の奥にある独木舟の場所まで行った。


マトは言う。


「それでは行ってきます」


ルチカは言う。


「ルチがいなくて寂しくかったら泣いていいぞ!」


ブリンジャーは二人に尊敬の眼差しを向けて「頼みましたよ」と言った。


マトとルチカは独木舟に乗って漕ぎ始めた。


マト一人で漕ぎ、ルチカは舟の上に立って、ブロミヌが襲ってこないように威嚇していた。


二人は巨人の左腕の横に着くと体をよじ登って行った。


歪から六十センチ離れた位置でマトとルチカはタイミングを合わせて手を伸ばすことにした。


手を伸ばすと触れる間もなく白い光が二人を包み、歪の方が二人に迫ってきた。


二人が目を瞑ると急にフワッとしてそのままグルグルと体が回り始めた。


そしてギュイーンと音が鳴るとどこかに落ちた感覚が襲う。


二人は意識することもなく自然と目を開ける。








そこは吹雪によってもたらされた白銀世界で暴風が巻き起こりそこら中で雷が落ちていた。


初めて見る世界に思いを巡らせる余裕もなくマトは「きもちわりぃ~」と言ってえずく。


歪によるワープがマトには合わなかったのだ。


マトとは逆にルチカはマトが暴風で飛ばされないように服を掴んであげながら片手でミニ突撃アイスマンを作っていた。


マトは言う。


「ここが神の世界なのか・・・?」


「荒れすぎでしょ~。みんな死んじゃったんでない?」


すると大きな地響きと共にドスンドスンと大きな足音が二人に近付いてくるのを感じる。


二人が身構えていると目の前に大きな獣の影が現れた。


獣の影は言う。


「人間か。何をしに来た」


その体の芯にまで響く声を聞いてマトは一瞬怯みそうになるが、堪えて応える。


「神の世界に用があって来た」


「神の世界に? 用とはなんだ」


マトはりんごの事を話すか迷ったが相手との力量の差を考え、正直に話すことにした。


「神にりんごを食べさせろとドラゴンに言われたんだ」


「りんごだぁ? そんなものを食わせてどうする? 箔でも付けて売るつもりかぁ?」


「世界を安定させる方法がこの神がもたらしたりんごしかないんだ」


「神がもたらした・・・・・・。それは本当か?」


ルチカが言う。


「ホントーだよ! りんごをお母さんが食べたからルチが生まれたんだもん!」


その言葉を聞いて獣の影の声色が変わる。


「ほう。そうか。お前達は世界を救う救世主だったか。いいだろう。お前達に教えてやる」


「・・・⁉」


「ここは聖域のダンジョン。神の世界の入り口だ」


「神の世界の入り口・・・。どうやったら入れるのか教えてくれ!」


「このまま真っ直ぐ奥に行けば入れる」


「真っ直ぐだな! ありがとう!」


獣の影は二人に背を向け「行けるものならな」と言って去って行った。


「マトォ。あいつ今なんか言わなかった?」


「俺も聞き取れなかった。だが、神の世界へは行ける!」


マトは雪と暴風、雷で荒れ狂う聖域のダンジョンを見渡し、言う。


「ただ、この中を進めればだが・・・」

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