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9-1 モフドラ、塔のダンジョンへ行く

マトはうなされた時と同じように飛び起きる。


ルチカとガウトも同じタイミングで飛び起きた。


そして突き刺さっていた槍が床に落ちてカランと音がした。


三人の動悸の激しさを見て護衛達は焦る。


マトをパーンがルチカをブリンジャーがガウトを親衛隊が菩提樹から降ろした。


「大丈夫か! マト!」


マトは少し混乱しながらも頷いて意思を示した。


そして自分の体を確認すると怪我などはなくそればかりか胸の槍が突き刺さった傷も治っていた。


マトは横を見てルチカの様子を伺う。


ルチカは既にいつも通りの様子でブリンジャーに「キモオタサンキュー」と言っていた。


ガウトも顔色が良く、胸の傷も治っていたが浮かない顔をしていた。


ガウトはそのままデスクの椅子に座って考え事をしているようだった。


親衛隊はデスクの前で整列して指示を待っていた。









マトとルチカは立ち上がってパーン、ブリンジャーと共にガウトの前に行く。


ガウトは夢のダンジョンでの出来事を行っていない七人に話した。


ブリンジャーは言う。


「泉はなかったのですか? 誘拐された方達は?」


「作戦は失敗しました。暴風などという言葉では言い表せないほどの風でした。マト君、ルチカ君も聞こえましたか?」


「『黄昏の報せ』ですね」


ブリンジャーは驚く。


「神の世界でも鳴っていたのですか⁉」


「はい。洞窟の外で聞きました」


ガウトは言う。


「私は諦めるつもりはありません」


「もう一度行くつもりですか?」


「いえ。別の方法を考えます。一つ気になっているダンジョンがあるのです」


神の世界へ行って誘拐された被害者を救うという任務の延期を告げ、その場は解散することになった。









一週間がたってマトとルチカに招集がかけられた。


それは騎士団との共同でダンジョンを攻略する任務だった。


集会所に任務資料を取りに行く必要はなく、そのまま現地集合とのことだった。


見廻隊と騎士団の合同部隊で攻略を行うダンジョンは『塔のダンジョン』だった。


塔のダンジョンは当然調査済みで普段は見廻隊管理のもと冒険者が潜っている。


マトとルチカは塔のダンジョンに訪れると騎士団二十人と見廻隊二十五人が集まっていた。


その中にはパーンとブリンジャーもおり、二人は合流した。


後衛部隊には医師チームが来ておりエンリもいた。


合同部隊の前にガウトとハーゲンが立った。


ガウトの後ろには五人の親衛隊が立っている。


部隊の人間達は皆二人の指揮官を見た。


部隊の前に立って話し始めたガウトの様子は一週間前までのそれとは違った。


柔らかな表情で相手をリスペクトして話すいつもとは違い、まるで部隊の人間達を脅しているかのような態度であった。


「今、我々の世界は危機に瀕している。際限なく増えるダンジョン、依然消えることのない魔物の脅威、正体不明の轟音『黄昏の報せ』。


これらを騎士団と見廻隊で対処してきたが終わりの見えない戦いであることは皆も感じているはずだ。


いつ、この均衡が破られるかもわからない。そんな不安に怯えながら日々を送っている国民は少なくない! 


今こそ我々騎士団と見廻隊の先鋭部隊がこれらの原因である『根源のダンジョン』を見つける必要がある! 


根源を見つけ、全てに決着をつけようではないか!」


ガウトの鬼気迫る表情での演説は合同部隊の人間の心に火を点けた。


しかし、マトやルチカ、パーン、ブリンジャーにはガウトが何を意図してこのような演説をしたのか理解できなかった。


続いてハーゲンが話し始める。


「ガウト隊長が言ったように全ての悪には根源が存在する。


その根源を突き止めるにはこの塔のダンジョンを攻略する必要がある。


塔のダンジョンは未だ攻略はされていない。理由は塔の頂上に誰も足を踏み入れることができていないからだ。


しかし、塔の頂上には誰一人目撃したことすらない『空のダンジョン』に続く道があるという。


天空では何が待ち受けているのか。君達には想像がつくだろう。それはまさしくこの世の存在ではない者達だ。


そこに必ず手掛かりがあるはずなのだ。根源ダンジョンを見つけるための。


だが、まずは塔のダンジョンを攻略しなければならない! 皆! 協力してくれ! 我らが人類のために!」


騎士団のボルテージが更に上がる。









初めて聞く話にやはりマトをはじめとした四人は疑問に思うことばかりだった。


(・・・悪?)


ブリンジャーは言う。


「ぼくはてっきり、神の世界へ行くための任務かと思っていたんだけど・・・」


「ええ。俺もです。ガウト隊長から直接招集がかけれたので、以前言っていた別の手段なのかと・・・」


ルチカが言う。


「な~んか、おっさん顔老けてな~い?」


パーンが言う。


「それだけこの任務が大切なんじゃね? 俺は根源とか悪とかそういうの聞いて、ベルセルクのことに繋がってんじゃないかって解釈したけど?」


マトは悩ましい表情になる。


「確かに、塔の頂上に空のダンジョン。これらは未知の場所だ。行き方も不確定。そういう意味では夢のダンジョンと同じか」


ブリンジャーは言う。


「やはり、隊長が仰っていた別の手段がこれですか・・・。神の世界へ、誘拐された被害者の方達を助けに行く方法・・・」


マトは言う。


「ガウト隊長に話を聞きに行くことはできないでしょうか」


ブリンジャーは「そうだね。行ってみよう」と同調して四人でガウトの近くまで行った。


しかし、ブリンジャーがガウトへ向かって声をかけるもガウトは四人を一瞥もしようとせず、そのまま塔のダンジョン入り口の前に行った。


ガウトは言う。


「準備はいいか! これより塔のダンジョン攻略を始める! 


出現する魔物は『マスメニアン』『ビシュリオン』『人食い花』『ハイドゥル』『ヘルムイ』『風船魚』


『ディール』『タンクムリ』『フラァイ』である! ハエ一匹残さず駆逐せよ!」


ガウトの掛け声と共に合同部隊は叫んだ。


塔の扉が開かれ、部隊がなだれ込むように突入した。

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