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5-5 どすこい!! 鼻吹雪!!

照明魔道具で中を照らすとそこは洞窟だった。


館は岩壁に沿って建てられている。


その岩壁の中だとマトは考えた。


洞窟の中はマトとルチカが横に並んで歩けるぐらいの幅があった。


暫くは何も見つからず淡々と前へ進んだ。


ルチカは暇そうに欠伸をしながら言う。


「ね~。この奥にモニが見してくれた剣あんのかなぁ~」


「あるといいな。なんかモヤっとするし。それにあの剣の後ろにあった岩がなんか気になるんだよなぁ」


そんな会話をしていると先の方で薄っすらとした光が見えた。


二人は走って光に近寄る。


すると一匹の魔物が光る何かの前で立っていた。


「岩人間!」


岩人間は二人の姿を視界に捉えると、戦闘の構えをとった。


マトは焦って言う。


「岩人間! 俺達は戦いに来たわけじゃない! 話をしに来ただけだ!」


しかし、岩人間は聞く耳を持たず、二人に向かって突進を始めた。


マトの脇からルチカが飛び出し、岩人間とぶつかった。


岩人間は力が強い。


(竜人と言っても、今のルチカが真っ向から岩人間と力勝負をして勝てるとは思えない)


ルチカは岩人間と取っ組み合って岩人間を投げ飛ばそうと試みている。


岩人間は言う。


「ゴゴゴ! ゴッゴッゴッゴ! ゴー!」


「え⁉」


岩人間が話しかけてきたことで集中が切れたルチカは投げ飛ばされてマトのところまで転がった。


「いでっ!」


「大丈夫か?」


ルチカはマトの手をかりて立ち上がる。


「うん。アイツなんかルチ達のこと泥棒って呼んでたんだけど」


「泥棒? なんでだ?」


「さー。聞いてくる!」








ルチカは岩人間のもとへ行って再び取っ組み合いを始めた。


「やい! 岩人間! なんでルチ達が泥棒なんだ!」


「お前達はここへ何しに来た。館の魔物達を狩りつくして、もうこのダンジョンにはオレしかいない」


「ルチ達は見廻隊だっての! この館が取り壊されるから立ち退きをお願いしに来たの!」


「嘘をつくな! 全員殺したのだろう!」


「少し倒したけど、ほとんど出て行ったよ!」


「ぬ~ん! 許せぬ許せぬ! どうせこの先にある宝物が目当てだろう‼」


そう言って岩人間はルチカを投げ飛ばした。


ルチカはマトの足元にコロコロと転がった。


「いでぇぁ!」


「大丈夫か?」


心配するマトにルチカは言う。


「マト。ちょっとの間、地面に伏せてて」


マトはルチカの考えはわからなかったが、戦いは任せているので言うとおりにした。


岩人間は言う。


「あの宝物は魔力を放ってこのダンジョンを安全に維持している! それを持って行かせてはここに住む魔物達が危険に晒される!」


ルチカは怒りの表情を浮かばせ立ち上がる。


「だ~か~ら~! 立ち退きだって! 言ってんでしょーがぁ!」


ルチカは地面を力いっぱい蹴って頭から岩人間に向かって飛んだ。


鼻で精一杯息を吸い込み、そのまま息を吐いた。


風魔法を進行方向とは逆に放ったことでルチカの突っ込むスピードが格段に上がり、岩人間を焦らせた。


そのままルチカは岩人間に頭突きを当てて、岩人間はそれを受け止め切らず、後退しながら倒れた。


岩人間は「バカが。オレを倒したところで剣は抜けん。剣に認められた者にしかな・・・」と言って気絶した。


「ふぅ~。一件落着」








ルチカは「あっ」と思い出して、後ろを振り向くとマトが鼻水を垂らしながら情けない顔で地面にへばりついていた。


マトは言う。


「風魔法使うなら、言ってくれよ・・・・・・」


ルチカの後ろにいたマトにはルチカの全力風魔法が直撃していたのだ。


「いやぁ~。言っても変わらないかなぁて思って」


「心構えがなぁ・・・」


ルチカはマトに手をかして立ち上がらせた。


マトは情けない表情から切り替えて言う。


「アイツなんて言ってたんだ?」


「ん~。なんかこの先に宝物があるってよ」


二人は発光するモノの正体を確かめるために洞窟の奥に進んだ。








岩人間と戦った場所からほとんど距離はなく、すぐに二人は洞窟の奥にあるものを目の当たりにした。


そこにはモニが映した『岩の下に剣が刺さっている』光景があった。


二人は剣に近付いて観察した。


マトは言う。


「この剣、魔力を放っている」


「そういえば、岩人間がそんなこと言ってたよ~なぁ。ダンジョンの安全を守ってるとか」


「お前・・・そういうことは早く言えよ」


「てへっ! うっかり!」


「まぁでもこれで、このダンジョンに『制限』が組み込まれている理由がわかった」


「じゃあ、その剣がギミックの『主』ってこと?」


「そうだろうな。この剣が名剣なら自分を守るために館を含めたダンジョン全体を守護するだけの力があっても不思議じゃない」


「もう一つの絵に映ってた儀式のおっさんはなんだったのだろう」


「おそらく、この強力な魔力を発する剣をご神体としてなにかしらの儀式を行っていたんだろう」


「しゅーきょーってやつ?」


「かもな。この館も剣を偶然見つけたことで建てたのかもしれない」


館の謎が解けてきたところでマトにはもう一つ気になることがあった。


それは光っていたのは剣ではなく、その後ろにある岩だったことだ。


マトはそれを見て思い出す。


「これ、アラフィコスが守っていた生命の木に似てないか?」


「あー。なんか岩っぽい木ねぇ」


ルチカは岩には興味はないようで、躊躇いなく剣にベタベタ触っていた。


「ねーねー。抜いてもいい?」


マトは新人見廻隊のルチカに見廻隊としての『正しい判断』を教えようと口を開いた。


「一応それは御神体だぞ。丁重に扱うべきだ。それにダンジョンのギミックに関わっている。やめといたほうがいい。帰って本部に報告だ」


マトがルチカの好奇心にブレーキをかけようと、そう言うとルチカは柄を握った。


マトは嫌な予感がしてルチカに問う。


「なにしてんだ」


ルチカはニヤリとして「えい!」と剣を抜いてしまった。


マトは焦る。


「え? お、おい・・・」


ルチカは満足げに言う。


「抜けちゃった」

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