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5-4 儀式の跡

二人は館の二階にある部屋を全て見廻った。


ワルガモリ二匹と好戦的なソックマンが三匹いたが難なく倒すことが出来た。


館の三階へ行くため階段を上った。


「三階で最後だ。目撃された閃サイや岩人間がまだ出てきてない。気を抜くなよ」


「ほーい。てか、やっぱサーチで魔物の場所見つけちゃった方がいいんでない?」


マトは苦い顔をして言う。


「それは最後の手段ということにしてくれ。それにさっきも言ったがあまり期待するな。サーチ範囲はそんなに広くない」


「そっか」


ルチカの提案を却下したことでマトは後ろめたい気持ちになる。


「まあ、本当に必要なら使うよ。サーチで安全を確保できることもあるしな」


「そうだね! 本気は取っておこう!」


三階に着くと二階と同じように廊下があって両サイドに部屋が幾つかあるのを確認した。


ただ、二階と違うことが一つある。


それは廊下の奥に大部屋があることだった。


二人は廊下の部屋を見て廻り、魔物がいないことを確認すると大部屋の前までやってきた。


「この部屋で最後だな」


マトがドアノブに手を掛けると、後ろからドシドシと足音が聞こえた。


二人が振り返ると小さな浮いた光が二人の方へ向かって来ていた。


マトはそれが『閃サイ』であるとすぐに気が付いた。


「どこから来たんだ?」


閃サイは二人の前で止まるとルチカに話しかけた。


ルチカはマトに言う。


「裏庭で寝ていたら騒がしいから来たんだって」


閃サイが好戦的でないことを察したマトは言う。


「そうか。すまない。ルチカ、立ち退きの話を伝えてくれ」


ルチカが閃サイに話しかけるとゆっくり返事をした。


「わかったってさ」


閃サイはまだルチカに話があるようでルチカにゆったりとした口調で伝える。


ルチカは言う。


「この部屋には入らない方がいいってさ」


「ん? なぜだ?」


「ここに来た時からこの部屋だけは不気味で入れなかったんだって。中には魔物がいるみたいだけど何をしているかわからない」


「不気味かぁ・・・。どんな魔物がいるんだ?」


「岩人間が入って行くのを見たけど、他には最古参の魔物がいるって。そいつがいつからいるのかはわからないってさ」


「そうか、取りあえずわかった。教えてくれてありがとうな」


閃サイは悩ましい表情をしながら去っていった。


マトは言う。


「そういえばフィンフィティいないな。ここ」


「閃サイにとっては住みやすい場所だったのかもね」









再びマトはドアノブに手を掛けた。


「開けるぞ」


「うん!」


大部屋のドアを開け、二人は中に入った。


中は異様な匂いがして、雰囲気も決して良いとは言えなかった。


部屋の中を見ると中央の床には、魔法陣が書かれており、その周りには魔法陣を囲うように菩提樹が五本立っていた。


更によく見ると菩提樹には『クロータ人形』がぶら下げられていてクロータ人形の胸の部分には槍が刺さっていた。


その光景にマトは呆然としていたが、ルチカは呑気に部屋の中を物色し「きっしょ」と言った。


マトは言う。


「これは・・・・・・儀式の跡か」


「マトはなんの儀式かわかるん?」


「いや、これがなんの儀式でなんのために行われたのか俺にはわからない」


マトは魔法陣を観察すると魔法陣の真ん中に長方形の小さい穴が開いているのを見つけた。


ルチカは言う。


「どうする?」


マトは顔を上げて部屋の中を見渡す。


大部屋の中にはドアが四つあり、小部屋に繋がっているようだった。


「取りあえず、他の部屋も見よう」


魔物の有無を確認してから本部へ帰って報告しようとマトは考えた。


二人は四つの部屋を一緒に一つ一つ見て廻った。


三つの部屋を見終えたところでルチカは言う。


「三つとも全く同じ部屋だったね。キモチワリィ」


それはマトも同感だった。


三つの部屋は全く同じ間取りで、机や椅子、本棚の位置まで一緒だった。更に本棚の本も三つの部屋で統一されている。


同じ部屋なのに三つとも使用された跡があった。


この館は元の持ち主が一人で住んでいた。


人付き合いも多くはなかった。


何故全く同じ部屋が三つもあるのか。


更にマトはまだ、岩人間を見ていないことも気になっていた。


大部屋に入ったのなら会ってもいいはず。


二人は疑問を抱えたまま四つ目の部屋の前に立った。


マトはドアノブに手を掛けて開けた。


すると部屋の中から人と魔力の気配が暴風のように二人に吹き荒れた。


それは一瞬だったが二人に冷や汗をかかせた。


二人が部屋の前で呆然としていると部屋の中からノソノソと黒い影が現れた。


二人はハッとして構えるが、その黒い影の正体が『モニ』であるとすぐにわかった。


モニには戦闘能力がないので二人は安堵してモニの進行の邪魔にならないように部屋の前からどいた。









モニが横を通過する時、ルチカは気付いた。


モニの背中にある殻に何か奇妙な絵が映し出されていたのだ。


「マトォ。なんか写っているよぉ」


マトはモニの殻に照明魔道具の光を当てた。


モニの殻の中にはモニの体でしか生成できない液体が入っている。


モニの殻に強い光を当てるとモニが見てきたモノを画像として見ることができる。


マトは表示された二枚の画像を見る。


一枚目は洞窟の中の画像だった。


岩壁に寄りかかるように別の岩があって、そのすぐ下に一本の剣が刺さっていた。


マトには特別な剣に見えた。


二枚目は大部屋の中での画像だ。


謎の儀式を行っている最中のようで魔法陣の真ん中には一枚目のモノとは違う普通の剣が刺さっていた。


そして、菩提樹には館の元持ち主であろう老人がクロータ人形と同じようにぶら下がっていたのだ。


マトはこの二枚の画像が何を意味するのかわからない。


そもそも洞窟は館の中にはない。


モニが館に来る前に見たモノなのか。


わざわざ見せてきたということは伝えたいことがあるのではないか。


しかし、モニには口がない。


これ以上モニから情報を得るのは難しい。


マトはモニに感謝と別れを告げて四つ目の部屋に入ることにした。









部屋の中に入るとドアを開けた瞬間にあった人と魔力の気配が薄く残っていた。


部屋の間取りや置いてある物も全て一緒だった。


二人は部屋の中を念入りに調べた。


(この嫌な気配の正体はなんだ? どこかに原因となるものがあるかもしれない)


マトは本棚の本を一冊一冊確かめた。


(この部屋だけ使い方が丁寧に感じる。他の部屋も使用していたようにカモフラージュしていたが明らかにこの部屋は違う。生活の跡がないのに人や魔力の気配がある)


マトは赤い本を手に取った。


この赤い本は、背の上の部分がくたびれていて他の本とは違っていた。


(ここを頻繁に触るからこの本だけくたびれているんだ)


しかし、魔法の基礎について書かれているだけの本で異常は見つからない。


他の本を見てもそれ以外の情報は得られなかった。


「ルチカ。なにか見つかったか?」


ルチカは「なにもないっ!」と即答した。


マトは溜息をついて「しょうがねぇ」と言って部屋の中央に行き、床に両手をついた。


ルチカは言う。


「お! やっとこさ!」


マトはサーチ魔法を発動した。


部屋の隅から隅まで意識を伸ばして部屋の詳細を探った。


マトはサーチを終えて立ち上がった。


「どうだった?」


マトは不安気だが少しスッキリした表情で「大体わかった」と言った。


マトは本棚の前に行って「この後ろに穴がある」と言うと赤い本を手に取った。


「どこかに繋がっているの?」


「たぶん洞窟だろうな」


「あー! さっきの!」


「たぶんな。で、この本棚は魔法がかかっていて普通にどかすことはできない。だからといって壊すことも『制限』のためできない」


「ふむふむ」


「だから正規の方法で開ける」


「せーきのほーほーとは?」


「さっきこの本を見た時、普通の本にしか見えなかった。だが、サーチをしたおかげでこの本に魔法陣が刻まれていることに気付いた」


マトは本のとあるページを開いてルチカに見せた。


「少し離れて見てみろ。魔法陣が浮かび上がってくるぞ!」


ルチカは本を凝視した。


そのページにはびっしりと文章が書かれていた。


少し離れて全体像を見ると『o』という文字だけで魔法陣が書かれていた。


「うお! ホントだぁ!」


マトがその魔法陣に手を置いて魔力を流すと


赤い本は光を帯びた。


そして赤い本をもとあった場所に戻すと本棚が音を立てて動き始めた。


本棚は横にスライドし、人が一人通れるくらいの穴が現れた。


マトは言う。


「中に岩人間がいるかもしれない」


「戦闘はルチにまかして!」


二人は穴の中に入った。

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