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3-3 先輩・・・・・・⁉

「行くぜ! マト!」


勢いよく駆け出し、ダンジョンに突っ込もうとするルチカをマトは呼び止める。


「なんだよぉ〜」


「外観を見ろ。まずは外からダンジョンの状態を確認するんだ。」


「外から? ダンジョンは中に全てが詰まってるでしょ!」


「安全のためだ。崩れそうなところはないか?」


ルチカは一秒にも満たない速度で確認し「ない!」と応えた。


「魔物は徘徊していないか?」


「いない!」


「本当に確認してんのか?」


「もち! ドラゴンだからね!」


「お前それでなんでも乗り切ろうとしているだろ」


ルチカはゴマをするように「まさか、そんなこと! マトさんのきめ細かなお仕事! さすがですね! プロの仕事はちげぇです!」と誤魔化した。


マトは『細かい事へも気を使う』という仕事のスタイルに誇りを持っていた。


しかし、マトの努力が周りの人間に気付かれることはなく、元バディに至っては、気付いていたのにも関わらず嫌味を言って嘲笑う始末。


マトはゴマすりとわかっていても後輩からの誉め言葉に悪い気はしなかった。


「ま、まぁいい。行くぞ!」


「おーう!」


二人は校庭に足を踏み入れた。


校庭には確認した通り、魔物もいなく、安全性を脅かすものはなかった。


ドアの前に着く。


ルチカのゴマすりに気をよくしているマトは言う。


「いいかルチカ。色々あったがお前はもう見廻隊だ! 俺が先輩としてきっちり指導する! 俺は甘くないぞ!」


「よろっしゃっす‼ 先輩‼」


ルチカの反応がマトを気持ち良くする。


「それじゃあ、先輩の俺が先導し、魔物や罠を探る! はぐれたりして俺の足を引っ張るなよ!」


「うっす‼ 先輩‼」


「よし! 行くぞ! 俺についてこい!」


そう息巻いて、学校ダンジョンのドアを開いたマトはルチカより先にダンジョン内に踏み出した。


その瞬間、マトは後悔する。


ダンジョンに一歩立ち入りながら硬直するマトをルチカは不思議に思う。


「どうしたの? マト」


「すー」とマトが息を吐く音が聞こえる。


「ん?」


「えーとだなぁ・・・・・・」


もじもじするマトに


「どうしたんだよ~。早く入ってよ~」


ドンッとルチカはマトを押す。


「あー! 馬鹿やめろ!」


そう言ってマトはダンジョンに二歩目を踏み入れた。


その瞬間、グチャッと音が鳴った。


「ん? 何の音? ねぇマトォ!」


マトは溜息をつく。


「ルチカすまない・・・・・・恥ずかしい先輩に力を貸してくれないか・・・」


「ほー?」


「俺の足元を見てくれ」


ルチカはマトの足元を見た。


学校のドア付近の床にはネバネバした謎の物体が広がっていて、マトはそれを両足で踏んでいた。


ルチカは察する。


「ママママトさん・・・まさか動けないの⁉」


マトは顔を赤らめて言う。


「ああそうだよ! 早速罠にかかったんだよ!」


ルチカは顔を逸らして「ま、まぁそういうこともありますよね。先輩」と言って肩を震わした。


マトは恥ずかしくも悔しい気持ちを押し殺しながら言う。


「わ、悪いけど、ルチカの炎魔法でこのネバネバ溶かしてくれないか? これ熱に弱いんだ」


ルチカは誇らしげな顔をして「しょうがないなぁー。さっそく期待の新人の出番ですか」


「は、早く頼む」


「はいよぉー」


ルチカは人間の姿のまま、マトの足元めがけて口から炎を吐き出した。


マトは「自分の足元のネバネバを溶かして欲しい」くらいの気持ちで炎魔法を要求したのだが、マトの考えとは裏腹にルチカが吐き出した炎は玄関の床一面に広がった。


「あっち! あっちあっちあっちぃ!」


ネバネバは消滅したもののマトは熱さのあまり飛び跳ねた。


マトの慌てっぷりを見たルチカはふざけているのかと勘違いして、ゲラゲラと笑った。


「マト面白すぎぃー」


マトは必死な表情で「いやいやいや! 炎出し過ぎだろ!」と言った。


「えー? いつもこれくらい出してるよぉ」


「加減をしろ! 特にここは室内だぞ。燃え移ったらどうするんだ」


「ん〜。これより弱くはできないかなぁ~」


「学校で魔法習っただろ」


「もちろん! なんてったって飛び級生ですぜぇルチは!」


「そんなんで実技のテストどうやってクリアしたんだよ?」


ルチカは意気揚々と応える。


「そりゃぁもう! 全力ブッパよ!」


ルチカの応えにマトは嫌な思惑が頭に浮かぶ。


(ああ。そういうことか)


何故、魔法のコントロールができていないルチカが実技を飛び級合格になったのか。


そして、何故バッシ教官が不正(涙ぐましい努力)をしてまで無理矢理卒業にこぎつけたのか。


(あまりにも能力・態度(ルチカ)がめちゃくちゃだから、俺に教育を投げたんだ!)


考え込むマトにルチカは言う。


「ん? どしたん? マト」


ルチカの純粋な瞳を見る。


(今まで、ドラゴンとして魔物と共に生きてきたんだ。それを人間の世界に誘ったのは俺だ)


マトは言う。


「わかった。俺がルチカに1から魔法を教えてやる! ちょうどここは学校ダンジョンだし、お勉強にはもってこいの施設だ!」


マトの発言にルチカは「お・・・おべんきょ~~~~⁉」と動揺を隠せなかった。

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