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3-2 モフドラ、学校ダンジョンへ行く

都市の出入り口である囲壁のすぐ近くでマトは足を止めた。


止まるとは思わないルチカはマトを少し追い越したところで気づいて振り返る。


「マト? 都市の出口あっちだよ?」


マトはハッとした表情で「ああ。まだダンジョンの場所も言ってなかったな」と言った。


「なーんも聞いてない」


顔にはてなマークを浮かべるルチカにマトは目の前の建物を示して言う。


「これが今回の任務で潜るダンジョンだ!」


ルチカはその建物を見ると「うげっ」と漏らした。


その建物はついこの間まで、ルチカが勉強させられていた見廻隊養成学校に酷似していたからだ。


「・・・がっこー?」


「そうだ! 学校ダンジョンだ!」


ルチカはしょんぼりしながら言う。


「せっかく学校から脱出したのに・・・また学校・・・」


「ちゃんとダンジョンだから安心しろ」


「魔物とかでる?」


「もちろん」


「ほう。ならバトルとかありそうだねぇ」


ルチカは指をポキポキならしながら「腕がなるぜ」と言った。


そんなルチカを見てマトは申し訳なさそうに言う。


「やる気になっているところ申し訳ないが、このダンジョンは普通のダンジョンとは違うんだ」


「何が違うの?」


「それじゃ、初任務の内容を説明するとするか」


「たのんだ!」


「ここは見廻隊員を育成する施設として建てられた人工ダンジョンなんだ」


「人工ってことは人間が作ったの?」


「そう。建物からなにまで。もちろん魔物も、教官達がダンジョンに潜って連れてきたんだ」


「野生の魔物をテイムしたの?」


「いや、ほぼ強引に連れてきた。でも今は受け入れてくれているようで関係は良好だ。簡単なコミュニケーションも取れる。もちろん毎月給料も払っているぞ」


「うわぁ・・・」


ルチカは人間による魔物の命への考えに違和感を覚えている。


ルチカの幻滅する表情を見てマトは焦る。


「いや、ちゃんと魔物の労働組合もあるし、離職をするチャンスも与えている。その上で残ってくれているんだ」


ルチカの表情はあまり変わらず「ふ~ん。説明の続きどうぞ」と冷たい口調で言った。


マトは咳払いをしてからダンジョンの説明に戻った。


「この人口ダンジョンの目的は、新人見廻隊をより安全にダンジョンデビューさせることにある。ルチカも実技を飛び級合格決まる前に一度だけダンジョンに教官と入っただろ?」


「うん。飛び級とはいえ、ダンジョンに入る授業だけは必ず受けなきゃダメだって、バッシのジジイと一緒に入った」


「バッシ教官な」


「へい」


「つまりは本物のダンジョンに入る前に練習でダンジョンに入って慣れさせるという方針で、設計の段階から管理された場所で安全に行うために造られた」


「ほーう。でも学校だよねえ。それを見廻隊の任務としてやるの? 教官がやればいいじゃん。学校の管理者とか」


「養成学校の教官も見廻隊だぞ」


「へー引退した人達かと思った」


「ここはまだ稼働していない。最近建ったばかりでな。俺達見廻隊に安全性やダンジョンとしての再現度を調査して欲しいと依頼があったんだ」


「なるほど! なんか! 未開のダンジョンの調査みたいだ!」


ルチカの機嫌が直ったとマトは思った。


「魔物の強さや罠の危険度含めダンジョンの難易度を見る」


「早くいこーよー!」


ルチカはウキウキしているようでその場で足をパタパタして走る動きをする。


「おっと。ルチカ。先に注意をしておく」


「なに?」


「ここはダンジョンだか、あくまで見廻隊の施設の一つ。中にあるものは養成学校の備品だ。中で暴れて備品を壊したりするなよ」


ルチカは動きを止めて言う。


「うーん。それは約束できないなぁ」


「魔物もできるだけ狩らないようにということだ。気絶程度に済ますぞ」


「善処しまぁす‼」


(大丈夫・・・か?)


マトはルチカの性格に不安を覚える。


(ルチカはなんだかんだ言っても魔物にも容赦ないからなぁ。交渉の時も警告を無視した腹いせにゴブリンをぶん殴ってたからなぁ)


再びパタパタとルチカが動き始めた。


(ホントこいつ、じっとしてないなぁ)


「マト! 早く行こうぜぇ!」


マトはルチカの頭に手を置いて言う。


「まだ、説明は終わってないぞ」


ルチカはがっくりした表情でマトを見上げる。


「まだあるのーん」








「大切な確認事項だ。まずはダンジョンのギミックについてだ。ダンジョンには『特徴』『制限』『ルール』『魔物』という特性があってそれを総じてギミックと言っている」


「ほうほう」


「『特徴』とは、一言で言えばそのダンジョンの個性みたいなものだな。

例えばゴブリンの多いダンジョンは『ゴブリンダンジョン』とそのまま名前になったりする。

今回で言う『学校』がそれにあたる。入ってみればわかるが『学校』に関するモノに溢れている」


(なんだ? 眠いぞ。まさか! これは授業か⁉)


「『制限』とは、そのダンジョン内での行動に関する制限を指す。

これは見廻隊側が『制限』を課す場合とダンジョン側が強制的に課してくる場合がある。

例えば発見されたばかりの洞窟ダンジョンに調査チームが入る時、炎魔法を使用しないよう『制限』がかかる」


「・・・備品壊すなってのもそれね」


「そういうことだ。ちゃんと話聞いてるじゃん!」


(もう眠くて限界・・・)


「『ルール』とは、そのダンジョン自体の動きのことだ。別の言い方をすれば『法則』だな。ダンジョンはなんらかの法則をダンジョン内に生み出している。それを解明することはダンジョン攻略に必要不可欠だ」


(・・・・・・どいうこと?)


「理解してなさそうだな。まあ、これは入ってみればわかると言いたいところだが、今回のダンジョンは新人用だから『ルール』を体感することはできないかもな」


寝落ちしそうなルチカにマトは「あと少しだ」と声をかける。


「最後に『魔物』だ。これは言うまでもなくゴブリンなどの一般的に使われている言葉通りの魔物を指す。魔物もダンジョンの一つ。ダンジョン攻略をするには対処しなければいけないギミックだ」


マトはルチカの鼻からでている鼻提灯を指で突っついて割る。


「はっ! ルチ寝てない!」


「いや、寝てたよ」


「話は終わったようだね。さあ! 入ろう!」


「待て」


「まだあるの!」


「今の説明はルチカが初任務だからしたんだ。今からダンジョンに入る前に必ず行う確認をするぞ」

「はやく! ルチは準備万端だよぉ!」


「よし! 確認するぞ! 

この学校ダンジョンに生息している魔物は五種類『ベイナグリット』『オバトキャフティ』『イチヌウ』『化け布』『プリビタルバサ』だ。ちなみにボス部屋があるそうだ」


「ほほう。ボスはルチが倒す!」


「気絶な。この魔物達とダンジョンのギミック。これらを攻略し難易度諸々を調査する。いいか?」


「まかせなさい!」


マトは(普通に不安だなぁ)と思った。

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