第4話 前作活躍したやつ若い頃 〜サクレ14才当時〜
「お前はクビだ。じゃあな」
「あいつはとにかく人と分かり合おうとしないからな」
「何考えてんだかわかんねぇんよな。何があるとあんな根暗に育つんだ」
「なんて言えばいいのかな? 理解できないってことを理解してないんだよね」
人と会話できない。
人の言う事聞かない。
素直じゃない。
どこに行っても通用しない。
ねくらなやつ。
性根がゆがんでいる。
まったく、、さまざまな陰口を叩かれてきたものだ。
弱い俺が、どこの道場にも通わすに、1人毎日剣をふる姿すらも嘲笑の対象になっていたようだ。
自分の村と家族をモンスターの襲来で失った俺は冒険者で食いつないでいた。
冒険者とはいっても、他の冒険者パーティに雑用のための臨時メンバーとして雇ってもらっていた。
1人では最弱モンスターのゴブリンすら倒せないのだから。
自分には剣の才能がないらしい。
だが、俺はモンスターが憎かった。
しかし、それ以上に俺より強いくせに、ろくに仕事もしないで酒を飲んでゲラゲラ笑っている冒険者が憎かったのかもしれない。
周りとうまくやれなかったのはそのせいだろうか。
今の仕事をクビになり、俺は次の依頼を探していた。
ギルドの受付嬢も俺が来るとあからさまにイヤな顔をするようになった。
そろそろ他の町にうつるか、、。
そんなとき、やたら報酬の悪い仕事がでていたことを思いだした。
もう一ヶ月経つが、誰の目にもとまっていない。
それもそうか、命がけのモンスターの討伐依頼の割に報酬額が2桁は足りない。
それもいい。
誰もやりたがらない依頼なら、誰も雇いたがらない俺とお似合いだろう