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結局無一文なんです

 ギルドへの報告が終わった。

 報酬とかよく見ないで受けたけど、報酬は銅貨10枚だった。お金の価値は銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨1枚で白金貨1枚らしい。そしてここからが重要で、ルーファに聞いたところ、あの宿の代金と食事の代金を足すと約金貨1枚だということが判明した。最初に街に入った時のお金とロングソードのお金もあるのに宿だけで金貨1枚……返せる気がしない。

 てかぼったくりでしょ! 宿だけで金貨1枚って! 昨日の夕食も美味しかっけど。

 そして問題は……


「今日も一緒に寝れますね」

「そ、そうだね……」


 私はまだ無一文なのだ。ゴブリン討伐の依頼の報酬は、私は何も出来てないんだからルーファに受け取ってもらったし、その報酬があってもルーファにお世話になることには変わりないけど。お金足りないし。

 ギルドでルーファが言ってた荷物を運んだり薬草を持っていく依頼を見てみたけど、薬草の方は数で決まるみたいだったけど、そんなに多く持ってける気がしないし、荷物を運ぶ依頼は単純に安くて、ルーファに一生お金を返せる気がしなかった。ただでさえ借金が増えてくのに。

 まぁ、でもそれは一旦忘れよう。

 私には重大な任務がある。


「ねぇ、魔法ってどうやって使うの?」


 そう、魔法だ! こんなファンタジー世界に来て魔法を学ばないなんてありえない! 神様には基礎ステータスを底上げするように頼んだんだから魔法だって使えるはず。魔法ならゴブリンだって倒せるかもだし。いや、もう戦う気ないけど。


「? 魔力があればイメージするだけで誰でも使えますよ?」


 ルーファは何をそんな当たり前のことを? って感じで首を小さく傾げて聞いてくる。可愛い。じゃなくて! 魔法ってそんな簡単に使えるの!? 詠唱とかないんだ。そういえばルーファと初めてあった時も特に詠唱無しで炎とか出てたよね。


「そ、そうだよね」

「?」


 取り敢えずルーファの頭を撫でて誤魔化した。

 ルーファも嬉しそうにしてたしごまかせたと思う。


「ね、ねぇ」

「どうしましたか?」

「や、やっぱり今日は別々の部屋で寝な……いで、一緒に寝ようね!」

「はい!」


 今日は別々の部屋で寝ない? そう私が言おうと思っていたのだがルーファの顔を伺おうとチラッとルーファの方を見ると今にも泣き出しそうな顔をしていたので咄嗟に誤魔化す。

 その誤魔化しを聞きさっきの泣きそうな顔が嘘みたいに笑顔になる。


 そもそも別々の部屋を借りるとなるとルーファに2人分のお金を出してもらうことになっちゃうから半分以上冗談のつもりだったしいいんだけどね。

 でもどうしよう、そろそろワープを試したいんだけど1人にならないと使えない……? あれ、別にルーファになら喋っても……いやいや、ルーファは転移の魔法とかは今の時代に使える人は居ないって言ってたし。

 それにルーファに言ったら私も一緒に行きたいです! とか言って一緒についてこようとするかもだし……2人以上で転移出来るかとか分からないし。いや、これは言い訳かな、神様のことはいまいち信用できないけど誰かと一緒にいる前提でこのマップのワープとかも設定されてるはずだし。大丈夫だとおもう。ルーファがいい人? いいエルフ? ってことは知ってるし、このワープの事を話したっていつも通りに接してくれるとは思うけど、それでも嫌な想像はしてしまう。

 はぁ、こんな自分が嫌になる。


「大丈夫ですか?」

「え? う、うん。大丈夫だよ」


 自分でも気づかない内に顔に出てたみたいだ。


「そうですか? それなら宿はあと何日分取りますか?」

「何日分?」

「この世界を回るんですよね? いつ行くんですか?」

「あ、そっか。ルーファはいつでもいいの?」

「はい! 私はいつでも問題ありません」

「じゃあ、明日にはこの街を出て違うところに行きたいんだけど、おすすめの場所とかある?」

「でしたら、ワユティス王国の王都に行くのはどうですか? 王都に行くまでにデネーデ、シューアー、バノルゴルという街がありますのでそこを経由しながらになりますが」

「何か名物とかないの?」

「正直行く予定がありませんでしたし、調べてもないので分かりません。ただ、後暗い噂は嫌でも流れてきますけど、そういった噂は聞かないので行ってみてのお楽しみもいいかもしれませんよ?」


 確かに面白そう。新マップが出た時とかの気持ちと似てるかも。


「うん。じゃあ、さっき話した通り明日にはこの街を出よう」

「はい! では私は旅の準備をしてきますのでユアさんはここで休んでてください」


 そう言ってさっき借りた宿を出ていくルーファ。

 思いがけず1人になれた。多分私に気を使ってくれたんだよね。ゴブリンの件とかあったし。

 取り敢えずここにワープポイントを設置しないとね。流石にワープポイントを設置せずにワープなんてしたら戻ってくるのに時間がかかっちゃうしね。


 【ワープポイントを設置しますか?「はい・いいえ」】


「はい」


 ルーファと初めてあった場所と同じようにマップ上に柱のようなものが表示された。

 そしてルーファと初めてあった場所のマップ上にある柱のようなものをタップする。


【ワープしますか? 「はい・いいえ」】

「はい」


 

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