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時には諦めることも大事

 ……門を出たのはいいんだけど、私次行く街の場所知らない。


「……」


 私は黙ってみんなの元に戻る。

 そして何事も無かったかのようにルーファの隣に移動した。


「……早く行こ」


 少し俯き、ルーファの服の裾を掴んでそう言う。


「そうですね行きましょうか」


 そう言ってルーファ達は私がさっき歩いて行っていた方向へ歩いて行く。

 あれ? もしかして私歩いていく方向間違ってなかった? だったら私がよく知りもしないで歩いていったとはバレてないかも。

 

「そういえばユア? さっき戻ってきたけど、道が分からないのに先行ったの?」

「えっ!?」


 バレてないと思った矢先にナナがそんなことを聞いてくるから、思わず声が出てしまった。


「い、いや? ち、違うよ? ……ナナも含めたみんなとの仲を深めたいなぁって思ったから、だよ?」


 う、嘘ではないしね。


「そうなんだ」

「う、うん」

「じゃあさ! 僕……ユアの匂い嗅ぎ――知りたいな……も、もちろん僕の匂いも嗅い――知ってくれていいからさ」


 ナナはそう言うと、ほらって感じで両手を広げている。

 てか、匂い知るって何!? なんならもうほぼ嗅ぎたいって言ってたし。


「知らなくていいから! そんなこと」

「えー、仲を深めたいって言ってたじゃん」

「そう、だけど……匂いは関係ないでしょ! 普通に恥ずかしいし……」


 いや、ナナにとっては関係あるかもだけど。


「ユアの匂い好き」

「フィオ!?」

「フィオは嗅いだことあるの?」

「ん」

「い、いつ!?」

「寝る時」


 寝る時って……い、いやまぁ、寝る時ならお風呂入ったあとだろうし、ま、まぁ平気平気。恥ずかしくはあるけど、お風呂入ったあとならまだマシだし。


「じゃあ僕も嗅いでいいよね? フィオが嗅いだことあるんだし、僕が嗅いでも文句はないよね? ユア?」


 ナナがそう言いながら近づいてくる。と言うかもう思いっきり嗅ぐって言ってるし! 


「ちょ、だ、ダメだから! せ、せめてお風呂入ってから! そ、その後だったら……ちょっとだけならいいから」

「やだ。僕は今のユアを嗅ぎたいの。お風呂に入ったあとじゃユアの匂いじゃなくて石鹸とかの匂いしかしないよ!」

「そ、それでいいじゃん。それでもかなり恥ずかしいんだから……」


 今は……臭かったら嫌だし。恥ずかしいし、死にたくなるから嫌だ。


「僕は臭くても気にしないよ? ユアの匂いならどんなのでも受け入れられるから」

「受け入れなくていいし、臭くないから!」

「臭くないならいいじゃん」

「だ、ダメだから!」


 私はそう言って逃げるようにルーファの元へと向かった。

 

「ルーファからも何とか言ってあげて!」

「今日はテントですし、寝る時に嗅げばいいと思いますけど」

「あっ、そっか! ありがとうルーファ」

「えっ? えっ?」


 ル、ルーファは何を言ってるの!? た、確かに今日はお風呂入れないけど……あれ? さっきフィオが言ってた寝る時って宿での話だよね? 今日みたいにテントで寝る時じゃないよね!? 


「フ、フィオ?」

「ん?」

「えっと、さっき言ってた私の匂いを嗅いだのって宿……とかでだよね?」


 私は恐る恐るそう聞く。


「違う」


 すると、そんな無慈悲な言葉が帰ってきた。


「……く、臭くなかった?」

「大丈夫」

「そ、そっか」


 そう言われた私は安心したような、恥ずかしさでどうにかなっちゃいそうな感じになってしまう。


「……今日は私一人で寝たり――」

「テントは一つしかありませんよ?」

「……もう好きにして」

「やったぁ」


 ナナは笑顔で嬉しそうにする。

 ……まぁ、ナナのこんな顔を見れたし、いいや。

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