5 町に行こう
この世界に来て、3日目。
昨日は、みぞれと出会って町の方向を教えてもらったけど、止められてそのまま一緒に帰宅した。
その後案の定自炊せずに、クリエイトで出来たご飯を食べてお風呂に入って寝た。
もちろん、みぞれにもご飯をあげましたよ。
因みに、みぞれは白いから汚れが心配だったが、流石というか全く汚れてなかった。
「んー、よく寝た!」
『おはよう、莉音』
昨日は急遽、ベッドの横に犬用ベッドをクリエイトで出してそこで寝てもらった。
「おはよう〜みぞれ、よく眠れた?」
『めちゃくちゃ柔らかい布団で寝心地最高だったよ』
嬉しそうに尻尾を振る。
朝起きて誰かがいると幸せだなと、3日目にして改めて実感させられた。
2階の寝室から1階に降りて身支度とご飯を済ませる
もちろん出来合いのご飯
みぞれは基本何でも食べられる&食べなくてもいいらしいがドッグフードをあげた。
それだけじゃ寂しそうだったので、犬用ふりかけをかけておく。
「今日は町に行きたいんだけど、やっぱり町って身分証とかお金とか無いと入れないものなのかなー?」
よく見る物語では、入れないこともよくあるし、どうしよう
『身分証が必要で無い場合はお金が掛かるんだけど、1回配布分のお金はユーリアティー様から預かってきたから大丈夫だよ!今後も入るなら中で身分証作った方がいいかもしれないね』
「ありがとう!みぞれ」
「身分証作るのにもお金ないし、何か売って換金してもらうべきだよね?何がいいかな?こういう時は塩砂糖あたりが定番だけど、こっちの価値が分からないし・・・でも他に思いつかないし…1袋くらいならいいかな、、、」
ぶつぶつ独り言を言っていたら不思議そうに、みぞれが見つめている。
結局、一袋くらいなら問題ないだろうと判断して、砂糖・塩・胡椒をそれぞれ予備含め3袋クリエイトして、アイテム袋に入れた。
このクリエイトは敷地内でしか多分使えない。
有難い能力だがついでに外でも使えるようにしておいて欲しかったな〜。
「よし!準備万端!みぞれ行ってくるね」
『私も行く』
流石に町がどんな所か分からないからテイマーした天使犬を連れていくのは辞めようとしたが、みぞれは光を宿してピカッと消えた。
みぞれが消えた場所には天使の羽をモチーフにした指輪が落ちていた。
指輪を中指につけた。
召喚魔法を使うと指輪が光ってみぞれが出てきた。
『これでいつも一緒にいれるよ〜!』
嬉しそうに尻尾を振っていた。
シンプルな服に身を包み、みぞれと町を目指した。
家を出て、20分ほど坂道を下ると塀が見えてきた。
どうやらこの塀の中に町があるらしい。
塀に沿って歩いていたら5分程で門が見えた。
念の為、みぞれを送還しておく。
門には門兵の男性がいた。
「嬢ちゃん身分証の提示お願いね」
「すみません、身分証持ってないんですけど・・・」
「それじゃあ、500Lになるよ。あとこよ水晶板に手を当ててね」
「お願いします。」
さっき家を出る前にみぞれに貰ったお金を出して、言われた通り水晶板に手を当てた。
「ん、犯罪履歴などもないし丁度だから通って良いぞ。」
無事に街の中に入ることができた。
「わ〜凄い!!」
町は、ヨーロッパ風の作りになっており石造や煉瓦造りの家が並んでいた。
そして奥にはお城らしき立派な建物が見えた。
海外旅行、行ったことないけど海外みたいだな〜
ハッと我に返り恥ずかしくなった。
完全におのぼりさん状態
周りでこんなに感動している人は居なかったから、多分この世界の町はこんな感じなんだろう。
門兵に身分証の事を聞いたら、ギルドで発行出来ると教えてくれたので目指すことにした。
日本語じゃないはずなのに、何故か会話も通じて文字も読めた。
暫く歩いて行くと中央の方に立派な建物が二つ並んでた。
一つは商業ギルド、もう一つは冒険者ギルド
こういう時どっちに行くべきか
「どうなさいました?」
悩んでうろちょろしているとギルド職員であろう、制服を着た20代の女性が声を掛けてきた。
「あの身分証を作りたいんですけれど、どっちに入るか迷っていて…」
お姉さんは察してくれたらしい。
「何か商売するなら商業ギルドだけど、そうじゃないなら冒険者ギルドですね。冒険者ギルドは初回1回の簡単な依頼を受ければ失効することは無いのでオススメですよ。」
なるほど、、執行する可能性があるのか
「ちなみに手数料とかってかかりますか?」
「発行手数料として500Lかかります。」
「あの、待ち合わせがなくて少しだけ砂糖や塩を持っているんですけど、買い取ってもらうことって可能ですか?」
「出来るわよ、それなら商業ギルドに行きましょう。そっちで買い取るわ。」
お姉さんの後に続いて商業ギルドに入った。
中は″THE ギルド″といったイメージ通り。
ヨーロッパ風の建物に銀行ぽい窓口がいくつか並んでいた。
さっきのお姉さんが向かった窓口についていくと、お姉さんが説明をしてくれていた。
「ここで買取できるように伝えておいたわ」
「ありがとうございます」
「いいえ、私は仕事に戻るわね。また何かあったら声を掛けてちょうだい」
そう言って持ち場に戻っていった。
「どうぞお掛けください。」
50代ほどの男性職員が声を掛けられ、座る
「ニコルから大体は聞いたが、商品を出してもらっても良いかね?」
ニコルは多分さっきのお姉さんなのだろう。
頷き、アイテム袋から砂糖、塩、胡椒を一袋ずつ出す。
「驚いた収納魔法が使えるんか、それじゃあ見させてもらう。」
窓口職員は、袋からそれぞれ少しずつ取り出して鑑定魔法を使い始めた。
「凄い、こんなに純度の高くて綺麗なものは見たことがない。これなら高値で買い取らせてもらう・・・それにしても、収納魔法といい貴重な商品といい驚くことばかりだ…」
収納魔法はすごい事なのか?
商品に関してはこの世界のものではないので驚くことも無理はない。
凄い驚いた顔をしながらも買い取りを進めてくれた。
「砂糖、塩、胡椒各1袋で1万5千Lだ。内訳はとしてはそれぞれ5千Lで買い取らせてもらう。」
驚いた。
ギルドに来る前にチラッと市場を見た感じ、1L=1円くらいの値段だったはず。
今回買い取ってもらった袋は、家庭用に売られている300円程度で買えるサイズ
それが10倍以上の値段だ買い取ってもらえるとは、
「こんな良い商品は滅多にない。これで商売するつもりか?お勧めはせんぞ。」
「いえ、流石にそんなに持ってません。ただあと2袋ずつあるのでついでに買い取って貰えますか?」
はあ、と驚かれながら残りも買い取って貰えた。
「私は商業ギルドのギルドマスターをしておるオッドだ。何か商売を始めるならまず相談しにするがいい。君の商品はいろんな意味で大変なことになるかもしれないからな」
「莉音です。宜しくお願いします。」
この人はギルマスだったのか・・・
とりあえず良い人そうでよかった。
ギルマスのオッドに挨拶をして冒険者ギルドを目指す。