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2 転生する魂



【そこでだ、君には別の世界で過ごしてもらいたいのだがどうかね?】


 その言葉に驚いた。


 ちらっと地球の神ラーテアルを見ると本当に申し訳なさそうな顔をしていた。


 ″別の世界″それは所謂異世界転生ということだろうか?

 小説なんかでよく聞く夢物語の異世界?

 

 私テンションが上がった。

 何を隠そう転生モノ異世界モノは大好物


「異世界転生という事でしょうか?他に行く当てが無いのであれば受け入れます。ただ私のお願いをいくつか聞いては頂けませんか?」


 異世界には頼れる者はいない。

 だからこそ事前準備に成功するか否かが今後の異世界で生き延びる鍵になるハズ


「よかろう。お詫びだ、何でも言ってくれ」


 いいだろうとニコニコしているラージアル


 心が広くて助かった。

 いや神様だから寛大なのは当たり前なのか罪滅ぼしなのかわからないがこれでお願いすることができる。


「質問なのですが、転生する世界はどのような世界なのでしょうか?地球とどの程度違うのかによってお願いしたい事も考えたいと思いまして・・・・」


「魔法がある世界だ。そしてある程度は魔物も出る。文明はどうかな、電気などは魔法で補ってるという感じだろうな。食はきっと今の方がいいかもしれないが」


 魔法の世界!!!少しテンションが上がったのを抑えた。


 ただ食が不味くなるのは耐えがたい事だ。

 だからいろいろ考えることにした。



「願い事1つ目は私も魔法を使えるようにしていただきたいです。生き延びれる程の力を」


「と、言うと?」


「私は信じれる人がいない世界に行くので、自力で生き延びるしかないのです。すぐに死んでは転生してもらった意味がありませんから。」


「なるほどな、よかろう」


 ラージアルは納得したように頷いていた。

 勿論本音で有るが、もっともせっかく魔法の世界に行ったのに使えないのはショックだ。


「そして2つ目はホームシックにならないようにして欲しいです。」


「どういう事だ?」


 意味がわからないようで2人とも頭を傾げている。


「食文化も衣服もいろんなものが違う筈です。きっとホームシックになってしまいます!勿論どんな方法でも大丈夫ですが、そういう力が有れば頂けたらと……」


「それは・・・」


 とても悩んでいる様子だ。


 これと言って具体例がない為、ホームシックにならないようにしてほしいと言われても何をどうしたらいいかと迷っているみたい。


「私も地球に残れるのであればこんな我儘は言いませが、きっと今頃は皆んな美味しそうなご飯食べてるんだろうなとか毎日毎日きっと寂しい思いを……」


 断りづらいようにショックそうに嘆いた。


 実際私は海外にも行った事がないので、日本の食文化が無い所で生活をした事がない。

 地球であれば材料を買えば作れるため、百歩譲って生きていけるかもしれないが地球でもないのだ。


「はぁ、分かった、どうにかしよう。」


 そんなよくわからない願いは面倒だが神の力があればどうとでもできるだろう。


 だからこそ神の力でもどうにも出来なかった彼女に申し訳ない気持ちもあったのだろう。



「先程出た2つの願いは、息子のお詫びだ私が責任を持って聞き入れた。あとはそなたが転生する世界の神に引き継ぐとしよう。そろそろだな、次の人生は素晴らしいものになるように祈っておる。」


「本当に申し訳なかった。私からも少しだが祝福させてくれ。君の第二の人生に幸運を。」


 今まで空気と化していた地球の神ラーテアルが最後に話したのを最後に意識を失った。




* * *

 

 次に目を覚ました場所は先程変わらず同じふわふわとした空間だった。

 ただ少し何か違う違和感を感じた。


「あら、莉音ちゃん起きたのね?」


 聞いたこと無い女性の声が聞こえた。

 馴れ馴れしくちゃん付けで呼んだ声が聞こえた方を見た。

 そこには金髪に白い神秘的なドレスを着た綺麗な20代程の女性が立っていた。


「えっと・・・?」


「あ、そうよね!初めましてだもんね〜!私は莉音ちゃんが転生する世界″タミフロア″の神 ユーリアティーよ、宜しくね」


 なるほど先程ラージアルが言っていた、引き継いだ新しい世界の神様だ。

 こっちの神様は女性みたい。


「私は黒崎くろさき 莉音りおんです。地球から来ました。よろしくお願い致します」


 今から暮らすことになる新しい世界の神様にしっかりと挨拶をしておく。


「ラーテアルとラージアルから聞いたわ、私からも謝らせて頂戴。」


 そう頭を下げようとしていたので慌てた。


「ユーリアティー様は、全く悪くないのですからやめてください」


「まあ直接は関係していなくても兄妹なのよね、だから私も何かお願いがあれば聞くわ」


 思わぬ申し出にどうしようか悩んだ


「ユーリアティー様とたまにお話しできる機会とかを頂きたいです……こっちの世界で私のこと知っているのはユーリアティー様だけなので…」


 ユーリアティーの驚く顔にどんどん声が小さくなる。


「もちろんいいわよ!私のことはユーリと呼んで!姉だと思って頂戴!!」


「ありがとうございます!分かりました!ユーリ様」


 ダメだと思っていたらまさかのOKでびっくりした。



「もうそろそろ時間ね。これから行く場所はこの世界タミフロアのマリオリア王国という国です。その国は一応私の目から見ても安全な国よ、折り合いが合わないなどが無ければこの国で過ごすのが良いでしょう。ただレミガリー帝国は危険だから辞めなさい。あとは自由に過ごしてくれれば良いわよ。それじゃあ【god luckグッドラッグ 】、また話しましょう〜♪」


 何故かgood luck をgod に変えた、神ならではのダジャレに気づく事もなくまた意識を失っていった。







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