1 間違えられた魂
初心者です。宜しくお願いします。
ーーガヤガヤガヤガヤーーーーーー
体育館から制服を着た沢山の学生がぞろぞろと出てくる。
普段なら長くて眠ってしまう校長の話も、今日の学生達の顔はたるみ切っていた。
----ミーンミンミン------
湿気を含むジメっとした嫌な猛暑
生徒達は額から汗を流しタオルを首から掛けている
ただそんな暑さをも吹き飛ばすほど程ここに在るもの達は浮かれていた。
もちろん私も例外ではない。
「「やっと夏休みだ〜!」」
明日から夏休みが始まる
そして何より私の高校生最後の夏休みが始まる。
「莉音明日からどうする?」
そう尋ねてきたのは親友の工藤 舞花。
サッパリとした性格に、女性にしては165cmと高めのスタイルとクッキリとした顔立ちからモデルのような外見。
互いの両親同士が親友で、生まれた時からずっと一緒。
お互いにしっかりと両親の性格を引き継いだのか物心つく前から子供同士も波長が合った。
近所に住み今でも家族絡みで遊びに行ったりもする仲だ。
「やっぱり海もいいし遊園地も行きたいね!」
受験前に遊べる最後のお休み
そして高校生最後の夏に楽しい思い出を作る計画を立てなければと考えていた。
「きっと家族ともクラスメイトともBBQはやるだろうし、バイト頑張ったお金で遊園地にいって目の前の有名なホテルに泊まるのはどう?」
そんなこんなで暫く話しに盛り上がっていると、クラっと目眩がした。
健康が取り柄なのに、まさか暑さにやられた?
少しふらっとしたことに気付いた舞花が心配そうに声をかけられた。
まあ大丈夫だろう、と呑気にそんなことを思っていたら気づけばパタリと倒れていた。
キャーという悲鳴と舞花の心配する声が微かに聴こえたのを最後に意識を失っていた。
* * *
パチッ
次に私が気がつくとそこは何とも言えないふわふわした空間だった。
意識もふわふわとして全体的に白く見えた。
そして誰か分からない人が2人目の前に座っている。
倒れた事も忘れて誰だろう?と呑気に考えていた。
2人のうち1人は白い古代ギリシア風の服に白い髭が生えた高年の男性で、もう1人は青ぽい古代ギリシア風の服を着た中年男性
意識を取り戻して不思議そうにしている私に気付いた高年の男性が、中年男性に土下座をさせて開口一番謝ってきた。
「本当に申し訳ない。ほらお前も」
「申し訳ございませんでした。」
全然分からない状況と見覚えのない彼らに警戒心を持った。
ただ何故か皆危険を感じるような怖さはなかった。
「えっと・・・此処は、そしてどなたですか?」
知らない相手に慎重になる。
「我はこの世、そして全ての神を統括する始まりの神ラージアルだ。そして隣にいるのが我が息子であり地球の神ラーテアル。そして此処は神が創り出した空間なのじゃ。」
高年男性がラージアル、中年男性がラーテアルと名乗った。
「………神様?」
全然頭が追いつかない。
神様って神頼みとか神社で祈る神様?いや神様の信仰は自由だだが、どの神様であっても普通は見えるはずはない。
ましてや謝られる事など有るのだろうか。
そうかここは夢なのかと思考を放棄しよう。
理解が追いつかず思考を放棄しようとする私に神ラージアルと名乗る高年男性は説明を始めた。
「本来、難病や生きる気力のない者たちを、神が創り出した楽園で第二の人生を送れるように、魂が完全に消える前に保護するという活動をしていたのだが、この愚息は間違えて君の魂を保護してしまったのだ。」
全然意味がわからないが纏めると、
″神 ラーテアル″ は地球の神として見守り暮らしていた。
そしてもう尽きる命や、そこで終わる運命の命を、完全に消える直前に神が保護していた。
保護された魂の身体は現実では死亡し、悪い行いをしなかった人間の魂は、次に生まれ変わる為に神が創る楽園に送られるという。
ラーテアルが全ての者の魂を保護する行動を直接行うのではなく、所謂天使のような者を創り指示して活動していた。
ただその指示の伝達でミスが生じて、誤って私の魂を保護してしまったので有る。
ちなみにラーテアルはラージアルの息子らしい。
「では私は間違えられてえっと・・・死んだという事ですか?」
嫌な予感がした。
「そうじゃ、地球ではもうそなたは熱中症という設定で死亡してしまったのじゃ。戻ることはできない申し訳ない。」
説明を聞いていた時からそうだとは思っていた。
何となく予想はしていたけど、呆気なさすぎて全然実感がない。
だって普通に自分の意思を持っていられるんだから。
そっと自分の姿を見ようとしたが体が無かった。
きっと本当に魂だけの姿なんだろうと諦観した。
「これから私の魂はその楽園に送られてそちらで過ごす事になるのでしょうか?」
まあ仕方ない。
呆気ないなと思いつつ、割り切れないけど楽園と聞く限り悪い所では無さそうだしそちらで第二の人生楽しもう。
良い所なのか悪い所なのか、それとも親友の性格に似てきたせいか、驚くほどにあっさりしている自分に驚いた。
「困ったことにそれも出来ないのだよ。」
詳しく聞くと、なんと魂が尽きるまで消耗されてないと楽園には行けないらしい。
本来ならこのような場所に来る事もなくすり減った魂は癒しを求めて基本そのまま楽園に転送される仕組みになっていた。
ただ私は間違えられた為、魂は綺麗であり楽園にも行けず、既に熱中症として死亡している元の私に戻る事も出来なかった。
勿論地獄行きは行けたとしても行かない。
これからどうなるのか不安で、軽くパニックを起こしていたら神ラージアルが提案してきた。
「そこでだ、君には別の世界で過ごしてもらいたいのだがどうかね?」