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遅くなりました。続きです。

部屋の外で待機していたのだろう。

隊服を着た立派な騎士2人が颯爽と室内に入室してきた。

そして呆然と尻もちをついた状態のカルロッテの両腕を片方ずつ騎士が持ち立ち上がらせて拘束する。


「……なっ!何をするの!離しなさい!こんな事を私にして許されると思っているの!?」

両腕の拘束を外そうと激しく左右に身体を捩り、大声で騎士に喚くカルロッテ。

騎士2人はカルロッテが暴れても拘束した腕を解放する事などなく微動だにしていない。

若い女性を拘束しているのに、同情や申し訳無さを一切感じる事ない冷めた目付きでカルロッテを見つめる様は、恐らくカルロッテの事情を知っているのだろう。


「アンドレ様ぁ!…何ですのこれは…私は貴方の愛する女でしょう?

私の身代わりに娶った女など腕に抱いて…

私へのこの振る舞いは許しがたいけれど、今すぐ謝罪してその女と離縁して下さるのなら、

許してさしあげますわ。」


媚びた眼差しはそのままに上から目線で宣うカルロッテ。

今、何故自分が拘束されているのかは分からずとも、アンドレの憤怒の表情を見ても、

己がアンドレの愛する女だという事をひとつも疑っていない様は、薄気味悪く病的に見えた。



「お前は本当に笑えない冗談が好きだな。そして、究極の破滅主義と見える。連れていけ。」


一瞬、信じられない者を見る様にアンドレを凝視したカルロッテ。

騎士に引きずられる様に連れていかれつつも、

「何ですって!?離しなさい!離しなさいよっ!アンドレ様!アンドレ様!」

ずっとアンドレの名を呼び続けた。

公爵邸を出て外の馬車に押し込められるまで何度も。




「ああ、イルヴァ。怖い思いをさせてしまった…申し訳ない。怪我などないよね?大丈夫?」

眉を下げ困りきった顔でアンドレはイルヴァの全身に目を走らせる。


イルヴァはまだ呆然としていた。

カルロッテに飛びかかられそうになったと思ったらアンドレの胸に抱き締められ、

騎士2人が………耳にカルロッテのアンドレの名を呼ぶ声が未だに残っている。



「はい……大丈夫です。アンドレ様守って下さって有難うございました。」

「妻を夫が守るのは当然だよ。礼はいらない。

あの女とイルヴァを会わせたくなかったけれど、あの女を拘束する理由がなかった。

でも今回、イルヴァに対する侮辱と詐称と暴行未遂とたくさんの罪を犯してくれた。

平民であるあの女の処遇は後は皇太子が好きにするだろう。

もう二度とこんな不快な目には遭わせないと誓うよ。」


アンドレのカルロッテへの怒りの炎は“あの女”呼びの事から鎮火していない様だけど、

カルロッテの事が片付き、これで本当に憂いなくスッキリと新婚夫婦としての生活が始まるのだ。


アンドレがイルヴァの柔らかい身体を引き寄せ、ギュッと抱き締めた。

世界一安心出来る腕の中でイルヴァはやっと家に戻ってきたと思ったのだった。




その夜、就寝前のアンドレとの静かな時間――――


「明日、王城へ行くよ。そして色んなゴタゴタを整理した後、

休みを貰ったら…視察を名目として、一緒に領地へ行こう。

そこの領地はね温泉もあって、湖畔の近くに別荘があるんだ。

そこで2週間くらい、2人でゆっくりしない?」


と、アンドレ様に提案された。


「はい!!是非、アンドレ様と一緒に行きたいです。夢の様です…」

温泉!湖!アンドレ様!とご褒美かの様な素敵なプランだ。


「ふふっ、イルヴァ。そんなに喜んでくれるなんて…嬉しいよ。私もとても楽しみだ。

明日、必ず休みを確保してくるからね。楽しみにしておいて。」


イルヴァの喜びで上気した頬を手の甲でするりと撫でると、唇に軽くキスをした。


そっとイルヴァを胸の中に引き寄せベッドに横になる。


「イルヴァ、おやすみ。」

「…あ、アンドレ様……っ、おやすみなさいませ。」


アンドレの温かい胸に頬を寄せ…


――――ね、寝られるわけない!


と、胸中穏やかでないイルヴァである。

お読み頂きまして、有難うございましたm(_ _)m



誤字報告いつも有難うございますヽ(=´▽`=)ノ

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