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まだ続いてたアンドレの甘々タイム……

読まなくても問題無い回ではあるので、糖分取りすぎな方はブラバして下さい(;´∀`)

鳥の囀りが聞こえる。


――――もう朝なのね。

ちゃんと眠った筈なのに、何故か気怠い朝だ。

そこで昨日のアンドレ様の暴走を思い出した。


…あんなに甘い方だとは。

甘いどころじゃない、激甘だ。

濃密な蜂蜜よりも、もっとずっと蕩けて甘い。


それらは、愛されてる実感が持てるから、嬉しいのだけれど…


離縁しなければいけない。

捨てられる前に捨ててやる…ここから逃げ出したい。

そんな気持ちで数日前は過ごしていた。

夫婦の寝室だって独り寝だった。

それが今や……である。複雑な気分なのだ。


意地悪したいのかもしれない、アンドレ様に。

もっともっと(たが)が外れて求めて欲しい。

私の事で頭をいっぱいにして欲しい。

私が寂しくて辛かった何日間かくらいは、形振(なりふ)り構わず求めて欲しい。


アンドレ様を愛しているのに、恥ずかしくて素直になれない。

積極的に求める姿が晒せないのは、前世の日本人特有かな?

ハグやキスがある文化の人にはなれないから。


求められて嬉しい癖に、求めてる癖に

ついつい…「ちょっとまって」なんて冷静な振りしてみたり。

恥ずかしいって態度取っちゃうのかなー。なんて。



前世の記憶なんてちっとも役に立っていない。

まるで初めて恋をした少女の様な、初心な態度しか取れないのだ。

アンドレ様より前世の記憶の分、経験値がある筈なのに……

何の役にも立たない。


キスも一度くらいは自分から返したいな。

少しでも気持ちが伝わるように、スキンシップしたい。

まだ最後までは怖いし不安だけど、私もアンドレ様を強く求めてるって

知ってほしい。









アンドレ様から全ての話を聞いた後、話したアンドレ様の(たが)が外れた。



何度も繰り返されるキスは、熱くて執拗で。


回数を重ねる毎に更に熱が増した。


後頭部を押さえていたアンドレ様の手が滑る様に耳に移り耳朶を撫でた。


唇を啄む様だったキスは、深くなりイルヴァの呼吸を増々奪っていく。


――――く、苦しい…


頭を振り、アンドレ様とのキスが中断された。


イルヴァのキスのし過ぎで赤く濡れた唇をアンドレが親指でそっと拭う。


その仕草に胸がキュンと鳴いた。


「イルヴァ………もう一回」


アンドレはイルヴァの唇の感触を確かめる様になぞる。


「ちょ、ちょっと休憩させて下さ…んっ」


待つ時間すら惜しいかの様に塞がれる唇。


――――全く何もない関係から、いきなり何なのーー!!


イルヴァの体にきつく巻き付くアンドレの両腕。


「ん…っアン…ドレ様っ」


キスの合間に何とか声を発する。


「ん…イルヴァ…ん…ずっと食べて……たい。」


唇を離し、荒い呼吸を整えながら、イルヴァの額と自分の額をくっつける。


「好きだイルヴァ…」


ちゅっ…


「大切にする。何よりも大事にする。」


ちゅっ…


そして、イルヴァの額、瞼、鼻先、両頬、唇にキスをした。


アンドレはイルヴァを見つめながら思う。

何て愛しいのだろう。何て可愛いのだろう。私の夜の女神。



降り注ぐキスに真っ赤になって気が遠くなりそうな私。


「これ以上キスすると、服を剥ぎ取ってしまいそうだから、今日はここまで。

イルヴァは、まだ最後までは……無理だよね?」


少し苦笑しつつアンドレは言う。



アンドレ様が望むなら…とも思ったが、今日このままなし崩し的にするのは嫌だ。


「もう少しこの甘い時間に慣れてから…アンドレ様と本当の夫婦になりたいです。」


と、息も絶え絶えになりつつ話した。


最後に唇にチュッとキスを落とし、アンドレ様は「お酒クサイから。」と浴室に行った。



昨日の回想を終え、ベッドの中で悶える。


凄いたくさんキスした……

アンドレ様の蕩けた瞳がずっと私から離れなくて……


と、考えたところで、ふと自分の背中を包む温もりと、腰に回された腕に気付く。



昨夜、久しぶりにアンドレ様と同じベッドで眠ったんでした!


アンドレ様の腕…

自分の腰に回された力強い腕を掌でなぞった。


この温もりが恋しかったのだ。別れを決意したあの時ですら。



アンドレ様の感触をもう一度と手を添えた所で、

その腕にグッと後ろに引き寄せられ、ピッタリと密着度が増した。


「おはよう。私の奥さん。」


耳元でアンドレ様が囁いた。


耳に熱が灯るのを感じながら、


「おはようございます、私の旦那様。」


と、囁き返す。


「ひゃっ」


強い力で体をぐいっと急に持ち上げられて、目を開けたらアンドレ様の身体の上に乗っけられている。


「私の奥さんは何て可愛いんだろう……

こんなに頬を赤くして…食べちゃいたいな。」


朝から甘い台詞に胸がときめく。

こんな朝をアンドレ様と迎えられるなんて。


「どうしたの?奥さん。こんなに頬を染めちゃって…食べて欲しいの?この赤い頬。」


イルヴァの赤い頬にキスをして、ギュッと抱き締める。


途端、更にイルヴァの頬の赤みが増す。


「アンドレ様…っ!昨日から甘すぎで…す…」


銀色の瞳に熱が爛々と灯っているのを見てしまい、言葉が尻すぼみになった。



――――朝から何の色気を出してるんですか!


昨日からの攻勢は引き続きアンドレに軍配が上がる様だ。





コンコンコンコン。




このタイミングで夫婦の寝室の扉がノックされた。


アンドレにとってはタイミング悪く。

イルヴァにとってはタイミング良く?


「アンドレ様、イルヴァ様、おはようございます。」



はぁ…っと溜息を零し、アンドレが声を張って話す。



「今日の朝食は部屋で取る!」



――――えっ!?


いえ嬉しいけど…この空気でここで朝食……砂糖過多になるんではないか。

もうこれ以上の羞恥プレイは勘弁して欲しい。

あーんとかしませんからね!



アンドレは驚いた顔のイルヴァを見つめ、フフッと笑う。



「かしこまりました。では朝食をお持ちします。朝食後に旦那様がお二人からお話を聞きたいそうです。」



「…わかった。心配をかけただろうから、なるべく早く向かう様にする。」



途端に先程までの色気ある表情が消え、眉を下げてアンドレ様が言った。



――――お義父様に心配かけてしまって、申し訳ないわ…。



「イルヴァ、何も心配する事はない。父には心配をかけてしまったが、私達は仲直り出来たのだから。

きっと大喜びしてくれる。」


心配気なイルヴァの頬を撫で、アンドレは優しい声でイルヴァに話す。


「はい。心配をかけてしまったのが申し訳なかったのです。」


しっかりと抱き寄せられながら、イルヴァはアンドレの身体の上に乗ったまま胸に頬を寄せた。


次回は公爵様登場です。


(そろそろ甘いアンドレは一休みさせます)


いつもご覧頂きまして有難うございます。

ブックマーク・評価などたくさん頂きまして、励みになっております。


稚拙な文章にめげて更新が遅れる事もあるかと思いますが、

引き続き見守って頂けますと嬉しいです。

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