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お待たせしました。

まだ書き慣れぬ甘々タイム・・・

甘い匙加減って難しい(;´Д`)

「アンドレ様…これは何の為でしょうか?」


イルヴァは横抱きにされ、アンドレの膝の上に乗せられている。


「これは、私の…精神安定の為だよ。イルヴァ。」


イルヴァの長い黒髪を指でそっと梳きながら答える。


アンドレの顎下に頭が収まり、頬を喉元に寄せている為、低い声が耳に直接響く。

その声は、今までよりも低く甘く感じた。


…私が、アンドレ様の精神安定の為になっている?


私がアンドレ様の役に立てるなら、この今までにない恥ずかしい体勢も耐えられ……


――――ない!無理です恥ずかしすぎる。

前世でだってこんな事された事ない。


「恥ずかし過ぎます…アンドレ様。お話に集中出来ません。」


どんどん上がる体温もきっとアンドレ様に伝わっている筈なのに。


――――お酒の力ってヤツなのかしら。



頭を上げて至近距離で蕩けたシルバーグレーの瞳を見つめる。

酒瓶を何本も空けたのだ、酔っていない訳がない…そしてお酒クサイ。


「――――アンドレ様、酔ってらっしゃいますよね?」

「…酔ってるね。でも、イルヴァの甘い香りにも酔ってる……」


そう言うと、イルヴァの首筋に鼻先を押し付けた。


「ああ、イルヴァの香りだ。甘い花の様な……」


ボボッとイルヴァの顔に血が集まり、全身をプルプルさせ始めた。


いつにないアンドレの甘い態度にお酒の力と分かっていても、恥ずかしくてたまらない。



イルヴァの真っ赤になった顔を見つめながら、頬にキスを落とす。

頬へ触れたアンドレの唇の感触に、ビクッと肩が跳ねた。


「私達は、結婚したというのに…キスもあまりして来なかった。唇へのキスは婚姻のあの時だけ。」


「は、はい……」


手を繋いだり、頬や瞼にはキスは貰っていたけど、そんなに頻度が多かった訳ではなく、

その頬へのキスも就寝前だったり、庭を二人で散歩している時にふいにだった気がする。



「二人で時間をかけて関係を深めよう。なんて言わなければよかったって何度も何度も後悔した。

可愛い寝顔で私の隣に眠る君を見て、何度こうやって口づけたかったか、分からないだろうな…」


イルヴァの耳元に唇を寄せ、囁いた。



――――後悔だなんて、そんな風に見えなかったけど……



囁いた唇がそのままイルヴァの耳の形をなぞるように辿っていく。


そして、イルヴァの耳朶をパクリと口に含んだ。



「ひゃあ!!」



イルヴァはアンドレの膝の上で飛び上がり、ソファから落ちそうになる。


腰にしっかりと回されたアンドレの腕が、更にキュッと力が込められ、ぴったりと固定された。


「な、なな、なにをなさるんですか!アンドレ様!」


今までにない積極的な態度に戸惑うイルヴァ。


耳はジンジンと熱を持ち、心臓が飛び出る程に胸を叩いた。


もしかしてアンドレ様は酒癖が悪いのか…?とジト目になる。



「イルヴァのそんな表情初めて見た……可愛い、可愛いねイルヴァは。」


優しい目がイルヴァの更に赤みを増した頬を見つめる。


イルヴァは大きく深呼吸をして気持ちを落ち着けた。


――――これじゃいつまで経っても話出来ないわ!



「アンドレ様の秘密にせざるを得なかった話をお聞かせ下さい。」


真っ赤になった顔を両手で押さえ、ジト目になりながらアンドレに上目遣いで話しかけるイルヴァ。

それを見つめつつ、どうしてやろうか…と考えるアンドレ。


アンドレはひとつ溜息をついて、頷く。


「そうだね、嫌な話は全て終わらせてから、ゆっくりイルヴァを愛でる事にするよ。

もうイルヴァは私の傍から居なくなったりしない…そうだろう?」



シルバーグレーの瞳が射抜く様にイルヴァを見つめる。



「はい。アンドレ様の愛が私にあるなら、もう逃げたりしません。――――でも、

また放ったらかしにしたら、分かりませんよ?

使用人に言付ける事だって、私への手紙を書く事だって出来た筈ですからね?

次に同じ事をされたら、私も分かりません。」


段々冷たくなるイルヴァの瞳に慌てる。


「勿論だよ!もう二度と僕も逃げたりしない!イルヴァを悲しませる事は二度としない。

――――誓うよ。」


慌て過ぎ、自分の事が僕呼びになってる事にも気付いていない。


膝に乗せたイルヴァをそのまま胸に引き寄せ、しっかりと抱き締めた。


先程の恥ずかしくて堪らない気持ちの抱擁ではなく、安らぎを感じる。


「それなら大丈夫です。アンドレ様、お話し下さい。」



アンドレは話した、事の発端とそれに繋がる現在を。

第二王子の相手がカルロッテで無ければ、ここまで拗れる事は無かったのだと。


「何故、アンドレ様ばかりが大変な目に!」


イルヴァは憤った。

アンドレが説明した様にカルロッテは監視付きで軟禁しておくべきだったのだ。

わざわざアンドレと行動を共にさせる事はない筈だ。


アンドレはイルヴァの手を取り、気持ちを宥める様に親指で甲を撫でる。


「我が主ながら人が悪い。恐らく…最も第一王子に近い側近である私の醜聞に集る、

第二王子を担ぎあげていた勢力を炙り出したい意図があったと思われる。

第一王子は『“子も居ないうちから女に現を抜かす側近”を見出した無能な皇太子、

臣下すら御せないのか。やはり第二王子ではなく第一王子が婿入りすべきでは?』と噂でも出れば大喜びしただろう。

その噂の出処を辿り、排除する為に。」


――――そういう意図もあるのね。


アンドレとイルヴァに対するただの嫌がらとしか思えない策も、

見方によっては不穏分子の炙り出しとなるのだ。


巻き込まれたイルヴァ達はたまったものではない。

箝口令を敷かれた事で、離縁一歩手前であったではないか。


「秘密にされるから、こんなに拗れたのですよ。

勿論、その間アンドレ様が私を放っといた事が一番悪いですけど。」


温もりを分け合う様に密着するうち、イルヴァもアンドレに遠慮がなくなってきている。


ふと、それに気付いたアンドレ、嬉しそうに微笑むと


「私が何もかも悪かった。こんなに愛しているのに…それ故に罪悪感に耐えられなかったのだ。

イルヴァ以外の女と如何わしい食事処の個室で二人っきり。

皇太子命令で説明も出来ず…イルヴァとの距離は日を追う毎に離れていったから。

もう間違わない様にするよ。それでも、もし間違えそうになったら、今度は遠慮しないでくれ。

引っ叩いても蹴っ飛ばしてもいい。私の元へ来て欲しい。」


イルヴァはニヤリと意地悪く微笑んだ。


「ええ。言質は取りましたわアンドレ様。次に間違えたら…遠慮はしませんよ!」


――――もう絶対に離れたりしない。


「私は、何があろうと何が起ころうとも、絶対にイルヴァと離縁はしない。

手放したりなどしない。ずっと傍に居てくれイルヴァ………」


イルヴァの頬にアンドレの手がそっと添えられた。


銀色に輝く瞳に熱が灯る。


「私も離れませ……」


イルヴァの言葉を閉じ込める様に、甘く優しいキスで塞いだ。



お読み頂きまして有難うございます。

更新頻度が落ちたにも関わらず、ブックマーク・評価をして頂けて…

感無量です(TдT)


一日一度の更新だけは頑張って行きたいと思っていますので、

隙間時間にでも、また読みに来て頂けると嬉しいです♡

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