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13 アンドレ・ヘルグレーンという男。 05-2

誤字報告有難うございますm(_ _)m

何故こんな誤字を・・というのがザックザクで・・・

皆様に助けられています、有難うございます。

精進します(´Д⊂グスン

「アンドレ様!!」

と、大きな声で呼び掛けられ、振り向く。


顔を見るのは二年ぶりか。婚約者候補の一人で、あの令嬢だと分かった。

公爵家に対する仕打ちを覚えていないのか・・?

立ち止まるアンドレに、以前の様な気安い態度で近づいて来る。


今は城でメイドとして働いているとの事。

どこぞの侯爵子息と婚姻したのではなかったか??と疑問を持つが、興味もないので質問はしない。


「不当な理由で離縁されてしまったの・・・子供もあちらの家に取られてしまって。実家にももう帰れなくて、何か仕事をと探していたら、知人の紹介で王城のメイドとして、何とか雇って貰えてどうにかなったのよ。」

やけに悲しげな顔で聞いてもいないのにペラペラとアンドレに話してくる。


以前のアンドレなら、こういう気楽な口調に好感すら抱いていたのだが・・・

馴れ馴れしい態度も口調も、不快な思いしか浮かばない。


私はこの令嬢を婚約者に迎え、妻とする予定だったのか。

何と愚かな選択をする所だったのか。

横からかっ攫ってくれた侯爵令息に心の中で感謝を捧げた。


それはそれとして、不当な離婚か・・・子供まで取られたのは可哀想に。

母親と子は切っても切れない絆で結ばれている。

アンドレは母に厳しく育てられたが、同時にとても愛情たっぷりにも育てられた。

あれから二年だ、まだ一歳程度の赤子ではないか。

子供を取られた目の前の女よりも、子供の方に同情した。


どちらにしろ、離縁理由は不明だが、愛していた子供を取られるのは可哀想だなと同情はしても、それだけである。



「アンドレ様もご結婚されたとか・・・」


まだ続きそうな話に、仕事に忙殺されている今、一分一秒すら惜しい。

くだらない話をするなら、メイド仲間にでもすればいい。


「私には勿体ない素晴らしい人と結婚して貰えたよ。私達は新婚だというのに父の仕事で忙しくてね。ゆっくりする時間すらないのだ。・・・それでは失礼する。」

これ以上引き伸ばされては堪らないと、追いすがる様な声を無視してその場を離れた。




―――そういう事が2度、3度とタイミング悪く重なる。


話しかけられ捕まっている時間は10分程度だが、そんな偶然も回数も重なればそれなりに元婚約者候補の今の実情も分かってきた。


「アンドレ様を選んでいれば。あの時、アンドレ様の事をお慕いしていた気持ちを押し通して居れば・・・」

「アンドレ様の事を、今でもお慕いしております。私が思うだけならいいでしょうか?」

「実は・・私、今ある高貴な方に迫られておりまして・・・お断りしてもお断りしても聞いてくれなくて。アンドレ様、助けて貰えませんか?怖いんです。」

「アンドレ様、聞いて下さいませ。私がアンドレ様に付き纏いその事にアンドレ様は迷惑している。と、同僚のメイドが言うのです・・・。アンドレ様とはたまたまお会いしてお話ししてるだけだというのに。」

「アンドレ様の奥様ってお美しい方なんですってね。羨ましいわ、アンドレ様に愛されて。その場所は私のって思ったら泣いてしまいました。」



逢う度に「世迷い言を・・・」と失笑したくなる様な話を聞かされ、うんざりだった。

それも、城内の人目のある所に居る瞬間を狙って話しかけてくる。


話しかけられても気付かぬ様に歩き続ければ、ずっと話しかけながら追いかけてくる。

同僚の話はウソではないぞ。間違いなく付き纏っている。迷惑だと言ってやりたくなった。


「今更の話を本当に今更言われても困るだけだ。」

「思うのは構わないが、わざわざ報告などと余計な話をしてくるのであれば、迷惑だ。」

「高貴な身分の方に迫られてるのであれば、メイド長に相談する事を勧めるよ。メイド長からすれば、そういうトラブルは良くある事だろうから、迅速に処理してくれるだろう。」

「私は今の妻に大変に満足している。私には勿体ない程素晴らしい人だ。」

「君は、何が言いたい。私からの解消ではなく、君側からの申し出だった。今更おかしな事を言わないでくれないか。失礼する。」


そういうやり取りが続いたある日。

もういいだろう!と、思った。


「ちょっといいかな?・・・私は妻の居る身。あまり目立つ場所で話しかけないで貰いたい。それも大きな声ではしたなくも私への思いを語られて、本当に迷惑している。大切にしている妻に要らぬ誤解を与えたくない。」


人当たりいい好青年も、過去の汚点相手には手厳しいのだな。と周りは思った。

たまたま見かける時も、一貫してアンドレ様に冷たく突き放されてるというのにと、失笑されていた。

「そんな・・っ、私そんなつもりじゃ・・・分かりました、次から気をつけますわ。」

涙で滲む目を向けて見せる。


「・・・頼んだよ。」


その後、今度は人目の少ない所を狙って現れるようになった。

聞いてもいないのに、高貴な身分の方に迫って来られた内容をひとつひとつ報告してくる。

内容を聞いて判断するに、高貴の方というのは王族でしかも第2王子ではないのか?と気付いた。

そうなってくると、この女の妄言でも無い限り、ちょっとしたどころでは無いスキャンダルではないのか。

第2王子は隣国の王女との婚約を控えた身。

それもこの婚約は、この国が望んで叶った婚約でもある。

そんな大事な時期に王子はこんな女に迫ってるというのか?

離縁され、子を取られ、尚且、元婚約直前まで行って捨てた相手に、あの時からお慕いしていただのなんだのと、人目憚らず言ってくる人間に?

――――この女の言う事が事実だとすればだが。


婚約候補時代にはこんな令嬢だとは分からなかった。

明るくていつも笑顔で、お茶の時間も苦痛ではなかった。

いつからこんなに押し付けがましい人間になったのか。それとも始めからだったのか。

そういえば、母には伯爵令嬢であったこの女性ではなく、侯爵令嬢の方にしなさいと言われていた。

母は見抜いていたという事なのかもしれない。


真実だとしたらどれほどの損失を負う事になるのか。

王子の相手は隣国の王女だというのに。

(とんでもない事に巻き込まれたのではないか?私は)

アンドレは頭を抱えるのだった。

いつも誤字報告を含め、読みに来て頂きまして有難うございます(*´ω`*)

貴方様の暇つぶしや就寝前のお供にでも、僅かでも楽しんで頂けたら嬉しいですm(_ _)m

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