1章10話 アランの意志
ごめんなさい、今回はいつもより短いです(汗)
「ここで話をするのもアレなので、奥の部屋にどうぞ」
俺らは店の奥にある部屋を進められ、移動した。
途中、男性は店員にあれこれ指示をしているのが見えた。
(俺ら、いやこの場合は俺だけか、もてなしの準びや俺の欲しそうな商品を持ってくるように言ってんだろうな)
男性の様子をぼーっと見ていると、俺の後ろを歩いていたルーチェが声をかけてきた。
「アラン様。先ほどの話ですが……」
「どうかした?」
「アイシャ様とラルシャ様の分はわかるのですが、私の名前もあったように聞こえたのですが」
「そうだよ?」
アランは当然と言わんばかりに即答した。
(流石にメイドとはいえ女性の目の前で別の女性の分は買うが、一緒にいる人の分は買わないってわけにはいかないでしょ)
アランは前世の世界で女性と交際したことはなかったが、それくらいの気配りはすぐ思いついた。
だが、それは前世の世界では当たり前だったかもしれないが、こちらの世界ではメイドや付き人に何か買うといったことは普通しない。
前世基準に物事を考えてしまうアランはこのことを知らなかった。
ルーチェはアランはまだ4歳なため貴族の一般常識を知らないのだと思い、教えることにした。
「アラン様、普通はメイドや付き人に物や食べ物を買ったりしないのですよ」
「どうして?」
「下の者にあれこれしていたは貴族としての威厳がなくなってしまうからです」
(何それ? 貴族ってそんなプライドや威厳が大事なの?)
アランはルーチェの話を聞きどこか納得のいかない表情をした。
「だったらそんなそんな威厳いらないや」
「ちょ、アラン様……」
「だってそうでしょ、自分の為に色々と頑張ってくれているのに自分は下の者に何もしれあげない。それのどこに威厳があるの。もしあるとしても俺はそんな威厳いらない」
「ですが……」
「俺は確かに貴族のことはまだよくわかっていない。でも貴族に権力があるのは領民がいて、自分達を支えてくれている人達がいるからじゃないの?」
「…………」
「それなのに自分達は偉い、何かあると人のせいにする、自分達の見栄だけを重視して他の人達のことは考えない。それが貴族であり、貴族の在り方だと言うなら、俺はそんな貴族になりたいとは思わないし、変わった人だと思われてもいい」
「アラン様……」
「それに、やっぱり人に慕われる人になりたいからね。その為なら無駄なプライドや見栄はいくらでも捨てるよ」
アランはこの考え方がこの世界では異常だと理解はしていた。
だがこの四年間色々な人達に支えられて成長してきた。
その人達の為にも何かをしたい、今まで支えてきてよかったと思ってもらえる人になりたい。
いつからか本人もわからないがそう考えるようになっていた。
(昔の俺なら絶対考えないことだろうけどな。だいぶ俺も変わったのかもしれないな)
アランは自分の変化を感じつつ、これはこれで悪くない考えていた。
一方、ルーチェはアランの話を聞き感動したのと同時に不安も感じていた。
メイドとし考えるとやはりアランのような人の方が嬉しいし、支えていきたいと思う。
だがアランの考えが貴族社会では異端で、いつか足元を掬われれ苦労するのがわかるだけに不安を感じてた。
ルーチェは悩んだ末、アランの考えを尊重しなるべく苦労しないよう支えていく頃にした。
ご視聴ありがとうございました。
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